「日本の皆さんは、政治に興味がないんじゃありませんか?
国政を担う方々が、とんでもない失言をしても、お友だちに便宜を図っても、大して問題にならないんですか?」
「樹は敦盛家の血を引くたった一人の男子です」
「犯人は敦盛家の人間を苦しめたいんじゃないかしら?」
事件の本質を暗示していた上記の台詞……
脚本家による先入観を持たないために、視聴前に担当脚本家についての情報はカットしているが、途中から太田愛氏の脚本という気がしてきた。
太田愛氏は昨年の元日スペシャル「サクラ」を手掛けており、本作を含めると元日スペシャルは5作目。
太田脚本の特徴は「サクラ」でも述べていて、読み返してみると、けっこう細かく分析していた。自分で書いておきながら、≪えっ、そうなの?≫という項目もあった。
それはともかく、太田脚本の特徴としては
・巧みな“伏線⇒回収”がたくさんある。多くの謎(伏線)がラストで見事に収束していく。
・愛情をテーマにすることが多い
・レギュラー陣がいつもより少し優しい
などが挙げられる。
★今回もいろいろな伏線が貼られている。上記の台詞も伏線と言える。
①演歌歌手が意味深な笑顔で花束を瞳子(大地真央)に渡した
⇒過去に瞳子に塩酸を浴びせた女性だった。
ちょっと分かりにくくてずるい伏線だったかも(太田氏なので許す・笑)
②別荘の管理人と「人が住んでいたことに周囲は気付かなかった」という聞き込み情報
⇒そもそも住んでいなかった。劉造(西岡德馬)もそう思っていただけ
③孫の命が懸かっているとはいえ、貴巳(河井青葉)は娘の槙(優希美青)のケガを心配しない
⇒劉造の犯罪を暴くための狂言誘拐だった
④“その子”と言わず“あの子”と表現した
⇒一面識もない少女の事を話すのであれば、普通は“あの子”ではなく“その子”と言う筈
⑤現場検証の際に劉造のDNAを採取
⇒槙の子・樹の父親が劉造だと証明するため
現場検証の際の痕跡分別の為なら、DNA鑑定よりは指紋の採取・提供なのでは?
【補足】(「尾幡の爪の間から犯人の皮膚片が採取されたから」と言うべきだったのでは?)
★樹の誘拐での一連の細工と真相
①樹は同じマンションの別の部屋にいた。防犯カメラをうまく逆用していた。
②首謀者の瞳子(大地真央)は巻き込まれたと思わせると同時に、三雲生命の悪事を表沙汰にする
③貴巳(河井青葉)と瞳子(大地真央)は共犯だが、表向きは敵対
これらは見事な筋書きで、瞳子たちの目的が劉造の2つの犯罪を暴くことだった。
★劉造の2つの犯罪とは?
Ⅰ.いわゆる“忖度”を強いて、政治家の都合のいいように事を運ばせる。
しかも、不正な金は一切動いておらず、証拠が残らない案件=G案件
Ⅱ.槙に乱暴して妊娠させた
“敦盛家の血”に拘る劉造らしい暴挙……真希の父は優(劉造の息子)ではなく、劉蔵は敦盛家の血を引く男子が欲しかった
★劉造の犯罪を暴く手段
・瞳子の記者会見中の不可解な告発
・劉造の暴言の隠し撮り動画のネットでの拡散
・死体発見現場に劉蔵を誘導し、現場検証の為に劉造のDNAを採取し、樹との親子関係を立証
劉造の犯罪を暴くための瞳子らの犯行と右京たちが推理・捜査して真相究明するストーリーは見事だった。
ただし、疑問点や不満点も多かった。
暴力団、フリーライターの尾幡関連はご都合主義的
・尾幡暴行時にハードディスクを奪い引き出しにしまったが、そのまま放置(三雲生命への切り札として保管するなら、もっと厳重にすべき)
・冠城が暴力団事務所に忍び込んだとき、若い女を監禁中に関わらず留守
・取材妨害の為に暴力団に暴行されたというかなりやばい状況のはずだが、彼らの手が届く範囲に留まる
・尾幡と市原幸雄(実行犯)との協力関係の描写が弱いし、ジャーナリストとしての使命感も感じられなかった
なんだか取って付けたような暴力団の存在だった。
冠城が彼らに囚われる経緯も冠城が迂闊過ぎるし、尊の冠城の救出劇も締まりがなかった。(尊の活躍シーンがあったのはうれしい)
ただし、尾幡の存在(尾幡が殺されること)は必要不可欠(劉造のDNA採取)
【どうでもよい疑問】
劉蔵は爆弾が仕掛けてあるスーツケースから何故離れない?
満足できる内容だったが、塩酸ぶっ掛けシーンや、敦盛家の真の血縁関係が分かりにくかった。
そもそも、ほとんどフランスにいたらしいのに、貴巳や槙や幸雄らと家族のような感情や一体感を持つのは不思議
それに、尾幡や暴力団絡みのエピソードは不出来だった。
美彌子(仲間由紀恵)、神戸尊(及川光博)たちの登場は嬉しかったが、美彌子はほんの顔見せだった。
ゲストの大地真央さんには気を使い過ぎの脚本だったが、西岡德馬さんの役に対しては容赦ない扱いだった(笑)
第1話「ボディ」、第2話「ボディ ~二重の罠」、第3話「辞書の神様」、第4話「バクハン」、第5話「計算違いな男」、第6話「ブラックパールの女」、第7話「うさぎとかめ」、第8話「微笑みの研究」、第9話「刑事一人」
【ストーリー】番組サイトより
凱旋帰国した世界的歌姫を巻き込む誘拐事件が発生!!
さらに、世間を震撼させる“殺人の告発”が…
右京は元特命係・尊に協力要請!! 前代未聞の難事件に挑む!!
年末の朝、110番通報が発信されたマンションに駆けつけた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、室内で血を流して倒れている少女・槙(優希美青)を発見。彼女の幼い息子が誘拐されたと分かり、槙の母親・貴巳(河井青葉)は亡き夫の父親である衆議院議員の敦盛劉造(西岡德馬)の元に向かう。身代金目的であれば、劉造に連絡してくるはずだと考えたらしい。
その後、槙は意識を取り戻したものの、息子の父親については黙秘。偽装誘拐の可能性も浮上し、捜査は難航する。そんな中、犯人から連絡があり、意外な要求がなされる。それは、来日中の大物シャンソン歌手・神崎瞳子(大地真央)に、マスコミの前で告発文を読ませろという奇妙なものだった。内容は、「三雲生命の社員・天野弘は自殺ではなく殺された」という告発。犯人はなぜ瞳子を巻き込み、こんな手の込んだことをするのか?
天野弘について調べ始めた亘は、急速に業績を伸ばしている三雲生命について不穏な情報を入手する。そして、右京に相談しないまま単身、暴力団事務所に乗り込むが、それから消息を絶ってしまう。いっぽう、瞳子と誘拐事件の関係を探っていた右京は、貴巳と瞳子の過去にある接点があったことに気づき、劉造と三雲生命が浅からぬ関係にあることも指摘。
そして、亘と連絡が取れないことから、元特命係の神戸尊(及川光博)に協力を依頼する!!そんな中、犯人から劉造に再び連絡があり、事態はついに殺人事件にまで発展してしまう…!!
誘拐と殺人、2つの事件に意外な繋がりが!?
世界的歌姫と一連の出来事の関係とは…?
そして、亘の捜索のため、尊が大胆な行動に!
特命係の命を懸けた戦いが始まる!
出演:水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 芦名星 及川光博 榎木孝明 杉本哲太 仲間由紀恵 石坂浩二
ゲスト:大地真央 河井青葉 優希美青 西岡德馬
脚本:太田愛
監督:権野元
国政を担う方々が、とんでもない失言をしても、お友だちに便宜を図っても、大して問題にならないんですか?」
「樹は敦盛家の血を引くたった一人の男子です」
「犯人は敦盛家の人間を苦しめたいんじゃないかしら?」
事件の本質を暗示していた上記の台詞……
脚本家による先入観を持たないために、視聴前に担当脚本家についての情報はカットしているが、途中から太田愛氏の脚本という気がしてきた。
太田愛氏は昨年の元日スペシャル「サクラ」を手掛けており、本作を含めると元日スペシャルは5作目。
太田脚本の特徴は「サクラ」でも述べていて、読み返してみると、けっこう細かく分析していた。自分で書いておきながら、≪えっ、そうなの?≫という項目もあった。
それはともかく、太田脚本の特徴としては
・巧みな“伏線⇒回収”がたくさんある。多くの謎(伏線)がラストで見事に収束していく。
・愛情をテーマにすることが多い
・レギュラー陣がいつもより少し優しい
などが挙げられる。
★今回もいろいろな伏線が貼られている。上記の台詞も伏線と言える。
①演歌歌手が意味深な笑顔で花束を瞳子(大地真央)に渡した
⇒過去に瞳子に塩酸を浴びせた女性だった。
ちょっと分かりにくくてずるい伏線だったかも(太田氏なので許す・笑)
②別荘の管理人と「人が住んでいたことに周囲は気付かなかった」という聞き込み情報
⇒そもそも住んでいなかった。劉造(西岡德馬)もそう思っていただけ
③孫の命が懸かっているとはいえ、貴巳(河井青葉)は娘の槙(優希美青)のケガを心配しない
⇒劉造の犯罪を暴くための狂言誘拐だった
④“その子”と言わず“あの子”と表現した
⇒一面識もない少女の事を話すのであれば、普通は“あの子”ではなく“その子”と言う筈
⑤現場検証の際に劉造のDNAを採取
⇒槙の子・樹の父親が劉造だと証明するため
現場検証の際の痕跡分別の為なら、DNA鑑定よりは指紋の採取・提供なのでは?
【補足】(「尾幡の爪の間から犯人の皮膚片が採取されたから」と言うべきだったのでは?)
★樹の誘拐での一連の細工と真相
①樹は同じマンションの別の部屋にいた。防犯カメラをうまく逆用していた。
②首謀者の瞳子(大地真央)は巻き込まれたと思わせると同時に、三雲生命の悪事を表沙汰にする
③貴巳(河井青葉)と瞳子(大地真央)は共犯だが、表向きは敵対
これらは見事な筋書きで、瞳子たちの目的が劉造の2つの犯罪を暴くことだった。
★劉造の2つの犯罪とは?
Ⅰ.いわゆる“忖度”を強いて、政治家の都合のいいように事を運ばせる。
しかも、不正な金は一切動いておらず、証拠が残らない案件=G案件
Ⅱ.槙に乱暴して妊娠させた
“敦盛家の血”に拘る劉造らしい暴挙……真希の父は優(劉造の息子)ではなく、劉蔵は敦盛家の血を引く男子が欲しかった
★劉造の犯罪を暴く手段
・瞳子の記者会見中の不可解な告発
・劉造の暴言の隠し撮り動画のネットでの拡散
・死体発見現場に劉蔵を誘導し、現場検証の為に劉造のDNAを採取し、樹との親子関係を立証
劉造の犯罪を暴くための瞳子らの犯行と右京たちが推理・捜査して真相究明するストーリーは見事だった。
ただし、疑問点や不満点も多かった。
暴力団、フリーライターの尾幡関連はご都合主義的
・尾幡暴行時にハードディスクを奪い引き出しにしまったが、そのまま放置(三雲生命への切り札として保管するなら、もっと厳重にすべき)
・冠城が暴力団事務所に忍び込んだとき、若い女を監禁中に関わらず留守
・取材妨害の為に暴力団に暴行されたというかなりやばい状況のはずだが、彼らの手が届く範囲に留まる
・尾幡と市原幸雄(実行犯)との協力関係の描写が弱いし、ジャーナリストとしての使命感も感じられなかった
なんだか取って付けたような暴力団の存在だった。
冠城が彼らに囚われる経緯も冠城が迂闊過ぎるし、尊の冠城の救出劇も締まりがなかった。(尊の活躍シーンがあったのはうれしい)
ただし、尾幡の存在(尾幡が殺されること)は必要不可欠(劉造のDNA採取)
【どうでもよい疑問】
劉蔵は爆弾が仕掛けてあるスーツケースから何故離れない?
満足できる内容だったが、塩酸ぶっ掛けシーンや、敦盛家の真の血縁関係が分かりにくかった。
そもそも、ほとんどフランスにいたらしいのに、貴巳や槙や幸雄らと家族のような感情や一体感を持つのは不思議
それに、尾幡や暴力団絡みのエピソードは不出来だった。
美彌子(仲間由紀恵)、神戸尊(及川光博)たちの登場は嬉しかったが、美彌子はほんの顔見せだった。
ゲストの大地真央さんには気を使い過ぎの脚本だったが、西岡德馬さんの役に対しては容赦ない扱いだった(笑)
第1話「ボディ」、第2話「ボディ ~二重の罠」、第3話「辞書の神様」、第4話「バクハン」、第5話「計算違いな男」、第6話「ブラックパールの女」、第7話「うさぎとかめ」、第8話「微笑みの研究」、第9話「刑事一人」
【ストーリー】番組サイトより
凱旋帰国した世界的歌姫を巻き込む誘拐事件が発生!!
さらに、世間を震撼させる“殺人の告発”が…
右京は元特命係・尊に協力要請!! 前代未聞の難事件に挑む!!
年末の朝、110番通報が発信されたマンションに駆けつけた右京(水谷豊)と亘(反町隆史)は、室内で血を流して倒れている少女・槙(優希美青)を発見。彼女の幼い息子が誘拐されたと分かり、槙の母親・貴巳(河井青葉)は亡き夫の父親である衆議院議員の敦盛劉造(西岡德馬)の元に向かう。身代金目的であれば、劉造に連絡してくるはずだと考えたらしい。
その後、槙は意識を取り戻したものの、息子の父親については黙秘。偽装誘拐の可能性も浮上し、捜査は難航する。そんな中、犯人から連絡があり、意外な要求がなされる。それは、来日中の大物シャンソン歌手・神崎瞳子(大地真央)に、マスコミの前で告発文を読ませろという奇妙なものだった。内容は、「三雲生命の社員・天野弘は自殺ではなく殺された」という告発。犯人はなぜ瞳子を巻き込み、こんな手の込んだことをするのか?
天野弘について調べ始めた亘は、急速に業績を伸ばしている三雲生命について不穏な情報を入手する。そして、右京に相談しないまま単身、暴力団事務所に乗り込むが、それから消息を絶ってしまう。いっぽう、瞳子と誘拐事件の関係を探っていた右京は、貴巳と瞳子の過去にある接点があったことに気づき、劉造と三雲生命が浅からぬ関係にあることも指摘。
そして、亘と連絡が取れないことから、元特命係の神戸尊(及川光博)に協力を依頼する!!そんな中、犯人から劉造に再び連絡があり、事態はついに殺人事件にまで発展してしまう…!!
誘拐と殺人、2つの事件に意外な繋がりが!?
世界的歌姫と一連の出来事の関係とは…?
そして、亘の捜索のため、尊が大胆な行動に!
特命係の命を懸けた戦いが始まる!
出演:水谷豊 反町隆史 鈴木杏樹 芦名星 及川光博 榎木孝明 杉本哲太 仲間由紀恵 石坂浩二
ゲスト:大地真央 河井青葉 優希美青 西岡德馬
脚本:太田愛
監督:権野元