英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

NHK杯将棋トーナメント 決勝 渡辺竜王・王将-羽生王位・王座・棋聖

2013-03-17 13:33:16 | 将棋
 惨敗だった。
 出だしから不可解な羽生三冠の指し方だった。▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△8四歩と振り飛車模様の出だしから矢倉に変化。矢倉を指さない相手に強引に矢倉戦に持ち込みたかったという訳でもないので(渡辺竜王は矢倉の名手)、飛車先を2五に伸ばす型に限定したかったのだろうか?
 しかし、この指し方は角の動きの点で先手が1手得しやすい。渡辺竜王もその手得を実現させるべく▲3五歩と歩交換に動く。羽生三冠はそうはさせじと、その瞬間に△6四角と覗き、その結果、先手は飛先歩交換を果たし、後手は銀立ち矢倉となった。羽生三冠としては、矢倉の不定形、力将棋に持ち込みたかったのかもしれない。
 渡辺竜王は自然に指し、羽生三冠は屈折した指し手が目立った。3筋に位を取り、その方面で勢力を張る指し方だが、それに反して右銀を7筋に出動したのは、ちぐはぐさを感じる。
 2筋が先手飛車の利きが直通のまま指し手が進んだが、▲2四歩と垂らされた手に対して△2二歩と屈服。解説の藤井九段も「△2二歩と謝るくらいなら、初めから△2三歩と打っておくべきだ」と。
 その後、7四銀・7三桂・9三香・6四角の後手陣の弱点を突く▲6五歩の開戦で、羽生三冠の構想は破綻していった。▲6五歩は△同桂と取られる手が角銀両取りとなり、まったく、意表を突く指し手だったが、これが決め手と言っていいほどの決定的な一着となり、正直言って、羽生三冠はサンドバック状態になってしまった。
 7二、5二と歩を謝らさせられ、玉も5一に引っ張り出され、駒損も重ね、全く勝負処、見せ場も作れないまま投了。

 NHK杯5連覇ならず、連勝も24でストップ。これも残念なのだが、そんなものも吹っ飛ばしてしまうほどの惨敗だった。


 実は、対局前から敗戦は知っていた(準決勝の前から)。おかげで、惨敗のショックは軽減された。
 連盟のホームページの記録の欄を見ていたら、羽生三冠の敗数が一つ増えていた。「ああ、この1敗はNHK杯だろうなあ」と。
 あまり、情報を求めてはいけないなあと後悔。昨年も同じような失敗をしたが、同じ失敗を繰り返す学習能力のなさ。それにしても、この決勝戦(例年のことだが)、2月25日に行われていた。せめて、数日前の収録にして欲しい。そうしてもらうと、その数日だけ情報に気を付ければよい。
 それに、敗局を知ってから放映日までの期間が長いと、そのもやもやとした引っ掛かりのある残念も長く味あわなくてはならない。ssayさんの記事を読んで、そのモヤモヤさが増幅してしまった。

 渡辺竜王、NHK杯戦、初優勝、おめでとうございます。

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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
渡辺竜王でしたか (勝手新四朗)
2013-03-17 19:00:54
今日は、色々と大変でしたので まだ観ていません。
結果は分かりました。
渡辺竜王は強いですね~。
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申し訳ない ()
2013-03-17 19:35:25
 今日はお疲れ様でした。
 日曜日も休みではないので、なかなか手伝いに行けません。でも、手が足りない時は声を掛けてください。声を掛けられない時も手伝いに(邪魔をしに)行くかもしれませんが。

>まだ観ていません。
>結果は分かりました。

 録画を観る前に結果が分かってしまった(ばらしてしまった)ようです。申し訳ない。

>渡辺竜王は強いですね~。

 ぬぬぬぬ……
返信する
わっはっはっはっは(笑)!!! (ssay)
2013-03-18 00:44:54
英さん、夜中にすみません。

23時半頃、録画を見終わって、
喜び勇んで、ブログ記事を書いて、
途中で0時を過ぎてしまい、日付を調整しました。

なかなか優勝できなくて、その期間が長かったので、
素直にうれしいです。

しかし、連盟のHPで勝敗がばれてしまうというのは、
以前からネット上では指摘されていましたが、
全然改善する気がないのですね。
批判しつつも、自己防衛策を取るしかありません。

あれ?しかし、以前NHK杯の決勝って生中継していませんでしたっけ?
いろいろ都合があるのでしょうが、
せめて対局は、放送予定の前の週にすべきですよね。

ほんと、エンターテイメントを仕事にしているのに、
日本人ってどうしてこうなんでしょうね?

なんて、世知辛い世の中なので、
この優勝はひと際、うれしいです。
あー、うれしい。
竜王防衛より、王将獲得より、うれしいです。
(ここぞとばかりに当てつけて、すみません。)
返信する
Unknown (じゅんいち)
2013-03-18 08:03:13
オールラウンダーの羽生さんは、「解説者を意識した戦型を選んでいる」なんて噂も以前ありました。
今回の変則的な出だしから、私がまず連想したのは解説の藤井9段の事です。
オールドファッションな振り飛車っぽい出だしから矢倉に移行することで、振り飛車党総裁から矢倉も指せる居飛車力戦派へと転身を遂げた藤井9段を表現しつつ、竜王の研究にない力勝負へと持ち込もうという構想かな、と…
考えすぎですかね。

王将戦では佐藤(前)王将が破れ、郷田棋王も追い詰められ、NHKも決勝で敗れ…羽生世代が徐々に渡辺竜王一人に追い詰められているようで、羽生世代応援派としては少し苦しい時期です。
先週の羽生-郷田戦は本当に感動しました。この先どうなるかはわかりませんが、ずっと応援していくつもりです。
もちろん、優勝した渡辺竜王も立派でした。
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いい将棋とおもいますが (岡本 哲)
2013-03-18 09:51:58
 押さえ込みから受け潰しの将棋が破綻して負けるときはこんなもんですから、そう悪い将棋とはおもえませんでした。
 6五歩がすごい手だということです。
返信する
Unknown (九鬼)
2013-03-18 09:52:21
おはようございます。

私も期せずして事前に結果を知ってしまった一人です。間が悪くて、何処にも書き込まないつもりでしたが、英さんの記事を読んで是非連盟HPのシステムを改善して欲しいと思い、コメントさせていただくことにしました。影響力のある方がWeb上でアンケートか何かやってくれると嬉しいのですが…。
返信する
Unknown (tomov)
2013-03-18 11:04:13
テレビ放映の難しさですね。
これと新聞等に

「○○棋士が○○勝をあげて昇段した」

的なものがNHK杯などならそのまんまですものね。
難しいです。
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聞こえてきましたよ ()
2013-03-18 16:58:25
 夜中に変な笑い声が聞こえると思ったら、ssayさんでしたか(笑)。

>連盟のHPで勝敗がばれてしまうというのは、
>以前からネット上では指摘されていましたが、
>全然改善する気がないのですね。

 連盟のシステムは仕方ないような気がします。対局結果のテレビ将棋の勝敗だけ伏せてあるのもおかしいと言えばおかしいです。そもそも、勝敗を実施日に反映させ、対局結果は放映日に合わせるというのも変ですね。
 それよりも、NHKが放映日と収録日を近付けるべきですね。冠位名や段位の訂正のテロップを付けるくらいなら。
 佐藤九段が優勝した時、生放送でしたが、千日手などの可能性もあり、スタッフはひやひやしたのではないでしょうか。

 あ、コメントを読んで下さっている皆さん、ssayさんが、おちゃらけていますが、実際は謙虚で優しいんですよ。きっと、おそらく、たぶん、もしかすると……
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確かに、そう思えるような時も ()
2013-03-18 18:47:23
じゅんいちさん、はじめまして。

>オールラウンダーの羽生さんは、「解説者を意識した戦型を選んでいる」なんて噂も以前ありました。
>今回の変則的な出だしから、私がまず連想したのは解説の藤井9段の事です

 確かに、そう思えるような戦型の選択をする時があるような気がします。
 今回は、藤井九段を意識したとすると、片矢倉や早囲いでもなく、角交換振り飛車でもなく、藤井システムでもありませんでした。深読みすると、角交換振り飛車をするつもりだったのが、うっかり角道を止めてしまったなんて……

>王将戦では佐藤(前)王将が破れ、郷田棋王も追い詰められ、NHKも決勝で敗れ…羽生世代が徐々に渡辺竜王一人に追い詰められているようで、羽生世代応援派としては少し苦しい時期です

 また、巻き返してくれると信じています。

>先週の羽生-郷田戦は本当に感動しました。この先どうなるかはわかりませんが、ずっと応援していくつもりです。

 いっしょに応援していきましょう。
返信する
ちぐはぐさを感じました ()
2013-03-18 20:33:57
岡本さん、こんばんは。

>押さえ込みから受け潰しの将棋が破綻して負けるときはこんなもんですから、そう悪い将棋とはおもえませんでした。

 ええ、そう思います。結果を知っていたから、一方的に感じてしまったのかもしれません。
 ただ、藤井九段もおっしゃっていましたが、玉頭に位を張り、その上、右翼も攻撃陣を張るのは一貫性がなく、△2二歩と謝るのでは、位を張った陣形の意味を無にしてしまう指し手で、のちに▲2六桂で銀桂交換になってしまう弱点となってしまいました。
 9三香と上がったため▲5七角の利きが絶好になり、角銀桂も負担になってしまいました。
 抑え込みが破たんすると、一方的になるのは重々承知していますが、今回の将棋はそれだけでないような気がしました。

> 6五歩がすごい手だということです

 ええ、この手には感服しました。本文でもそう書いたつもりですが、褒め方が足りませんでした。とにかく、渡辺竜王が強かったです。

 あっ、岡本さんのコメントに逆らうようなことを書いてしまいましたが、ファンの負け惜しみです。お許しください。
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