JXの気力の勝利だった。
第3戦の完敗、大神、渡嘉敷の故障欠場、出場している選手も完調ではない。もちろん、体調管理も勝負の内なので、それを言い訳には出来ないのは、当のチームが一番自覚している。
第3戦の完敗は、トヨタにゴール下を支配され、リバウンドを取れなかったことが要因だったが、そうなってしまったのは、疲労からの身体の切れがなく、ゴール下の競り合いだけでなく、オフェンス、ディフェンス共に後手に回ってしまったことにある。疲労状況を考慮すると、第4戦を落とすのは許されない状況と思われた。
トヨタは思い切った作戦を取ってきた。第3戦のスターティングメンバーの久手堅、川原、小池、森、天津が機能していたので、このメンバーでスタートするのが常道と見るが、JXも対応してくるとの読んだのであろう。久手堅、川原、小池、池田、冨崎でスタート。
JXにとっては、有り難いような布陣だが、意表をつかれたのではないだろうか。特に、冨崎は想定外だったはず。主力温存の意も感じ、疲労が大きいJXは嫌な感じだ。
これが功を奏したのか、トヨタペースの序盤だった。さらに驚かされる作戦をトヨタの丁 海鎰ヘッドコーチが取った。5人全員交代だ。金原、藤井、鈴木、矢野、森がコートに。こうして見ると、改めてトヨタの層の厚さを感じる。
さらにその3分半後、再び全員交代でスターティングメンバーに戻す。コート上の戦力が多少落ちても、それを動きでカバーするという作戦なのだろう。リバウンドを頑張れば点差をつけられることはないし、交代で吉田をマークすれば吉田の疲労度も増す。JXの疲労を感じていた私は非常に不安になった。
問題は、普段からこのメンバーで練習をしているかだが、どうなのだろう?ギャンブルにも思えるが、先述のリバウンドとスタミナ(特に吉田つぶしの狙い)重視の策だとしたら、有り得る作戦かもしれない。
対するJXのスターティングメンバーは吉田、新原、田中、木林、諏訪。内海ヘッドコーチの第3戦の反省で「第3戦で木林を3番で使ったが、本来は4番の選手なので自分のリズムがつかめず流れが悪くなってしまった」ということから、新原を入れ修正した。
しかし、私の新原の評価は低い。ボールキープ力は高くなく、アシストパスも少ない。ミドル、ロングシュートもなく、虚を突くドライブシュートがあるぐらい。吉田と同時に使うと、新原にボールが渡っても、結局、吉田に渡してしまうことが多い。吉田の負担を減らせず、タイムのロスをするだけだ。練習では大神や吉田を相手にすることが多いらしいので、それなりの能力はあるはずだが、あの二人を相手にすると自信を失くしてしまうのかもしれない。時々、何本かのパス回しの後、やや離れた位置でほぼフリーで新原がパスを受けることがある。ここでシュート打たないとパスを回した意味がなくなると思うのだが、パスを回してしまうことが多い。
吉田の負担軽減という目的なら(内海ヘッドコーチは別の狙いだった)、吉田を下げて新原一人に任すべき。やや荷が重いと思うが、残りメンバーを間宮、諏訪、木林と中を強くしてゴール下で勝負、または中にボールを入れてディフェンスを小さくして、田中の3ポイントといったオフェンスではダメだろうか?
それはともかく、第1クォーターはJXが困惑したのか、3連続ターンオーバー(吉田2本)の得点が止まり2-7。一旦、残り6分の時点で8-9と1点差に迫るが、そこから4分間無得点(8-13)とトヨタペース。
この間、本田と寺田をコートに入れ吉田、木林、諏訪のメンバー。ここまでほとんど使われなかった二人だが、動きの良いふたりを入れたことで、ディフェンス、オフェンスがともに機能するようになったことで、完全にトヨタにペースを渡さなかったことが大きかった。特に、残り2分弱、第1Q終了直前に寺田のシュートが決まったのがこのゲームのポイントだったかもしれない(寺田が乗ってしまった)。
とにかく第1クォーターを1点差で終えたのは上出来だった。運が良かったと言っても良いだろう。
第2クォーター、トヨタは久手堅、川原、鈴木、矢野、池田と通常メンバーに戻す。素人目線だが、第1Q同様の作戦ではなく、ホッとした。後半のスタミナ勝負なら、第1Qだけというのは中途半端ではないのか。
第2Qの序盤は、木林、間宮が得点を入れ、JX本来のオフェンスも機能し、点数の上でもペースもJXに傾いた。更に、寺田や田中も当たりだしオフェンスの展開にも余裕が出てきた。
トヨタも川原、矢野を中心にそれぞれが点を入れ対抗するが33-39と6点差をつけられ前半終了。
第3クォーターも一進一退の攻防が続くが、残り3分弱で58-47とJXが11点差をつける。トヨタも踏ん張り、第3Qを51-59で終了。ここまで、JXは間宮16点、寺田14点、木林10点、やはり寺田の14点が大きい。
トヨタも頑張るが、寺田が想定外で、ターンオーバーも予定外だった。(このクォーター、矢野と天津が3本)
第4クォーターもJXペース。残り7分40秒で64-55。ここからトヨタが意地を見せ、残り4分16秒で64-65と1点差に迫る。この間は川原の3ポイントシュートもあったが、森の活躍が目立った(4点、1ブロック、1スティール)。もっと使えばいいのに。
JXは9点リード(残り7分40秒)で吉田を下げ新原を入れ、残り6分22秒(5点差)で吉田を戻す(田中と交代)したが、流れを変えられず残り4分56秒でタイムアウト(タイムアウト明けに新原を田中にチェンジ)。
やはり吉田・新原のコンビは機能しない。それに吉田の疲労が大きそう。
しかし、1点差に詰め寄られて、JXが気力を振り絞る。特に、吉田の闘志に火がつき、ドライブインシュートを2本。特に、2本目は執念でねじ込んだシュートは凄かった。2本目のシュートの前に2本のオフェンスリバウンドをJXに取られたのも大きく、このプレーでトヨタがしぼんでしまった。
結局、77-66でJXが勝ち4連覇を達成した。
それにしても、残り4分でなぜ矢野を引っ込めたのだろうか。ここで矢野を使ってのトヨタではないのか?直前の矢野のファールが気に入らなかったのだろうか?何かヘッドコーチの指示を無視したのだろうか?不可解なベンチワークだった。
JXは苦しいシリーズだったが、控え選手を含めたチーム力、精神力の勝利だった。今後の課題というか、私の注文だが、新原を鍛えるか(新原さん、ごめんなさい)、シューティングガードの育成をして欲しい。田中や寺田はロングシュートを決めるが、ガードポジションはできない。かつての大山、桜庭タイプの選手の必要性を感じた。
大神、吉田は、どちらがポイントガードをしても機能するが、ひとりになるとシューティングガードが必要になる。(チーム力が高いと必要がないと思うが)
個人的には、どちらかが移籍して、大神×吉田というマッチアップも観たい気がするが、JXファンとしては困る。
今シリーズ、更に吉田選手のファンになった。
【どうでもいい追伸】
試合後の田中選手のインタビューで
「第3戦で負けて、ミーティングで今日は死ぬ気で頑張ろうと、話した。全員バスケットで勝つことができた。今日負けていたら、みんなをビンタするつもりだった。勝てて本当に良かった」
田中選手になら、ビンタされたいなあ……(決してマゾじゃありませんよ)
第3戦の完敗、大神、渡嘉敷の故障欠場、出場している選手も完調ではない。もちろん、体調管理も勝負の内なので、それを言い訳には出来ないのは、当のチームが一番自覚している。
第3戦の完敗は、トヨタにゴール下を支配され、リバウンドを取れなかったことが要因だったが、そうなってしまったのは、疲労からの身体の切れがなく、ゴール下の競り合いだけでなく、オフェンス、ディフェンス共に後手に回ってしまったことにある。疲労状況を考慮すると、第4戦を落とすのは許されない状況と思われた。
トヨタは思い切った作戦を取ってきた。第3戦のスターティングメンバーの久手堅、川原、小池、森、天津が機能していたので、このメンバーでスタートするのが常道と見るが、JXも対応してくるとの読んだのであろう。久手堅、川原、小池、池田、冨崎でスタート。
JXにとっては、有り難いような布陣だが、意表をつかれたのではないだろうか。特に、冨崎は想定外だったはず。主力温存の意も感じ、疲労が大きいJXは嫌な感じだ。
これが功を奏したのか、トヨタペースの序盤だった。さらに驚かされる作戦をトヨタの丁 海鎰ヘッドコーチが取った。5人全員交代だ。金原、藤井、鈴木、矢野、森がコートに。こうして見ると、改めてトヨタの層の厚さを感じる。
さらにその3分半後、再び全員交代でスターティングメンバーに戻す。コート上の戦力が多少落ちても、それを動きでカバーするという作戦なのだろう。リバウンドを頑張れば点差をつけられることはないし、交代で吉田をマークすれば吉田の疲労度も増す。JXの疲労を感じていた私は非常に不安になった。
問題は、普段からこのメンバーで練習をしているかだが、どうなのだろう?ギャンブルにも思えるが、先述のリバウンドとスタミナ(特に吉田つぶしの狙い)重視の策だとしたら、有り得る作戦かもしれない。
対するJXのスターティングメンバーは吉田、新原、田中、木林、諏訪。内海ヘッドコーチの第3戦の反省で「第3戦で木林を3番で使ったが、本来は4番の選手なので自分のリズムがつかめず流れが悪くなってしまった」ということから、新原を入れ修正した。
しかし、私の新原の評価は低い。ボールキープ力は高くなく、アシストパスも少ない。ミドル、ロングシュートもなく、虚を突くドライブシュートがあるぐらい。吉田と同時に使うと、新原にボールが渡っても、結局、吉田に渡してしまうことが多い。吉田の負担を減らせず、タイムのロスをするだけだ。練習では大神や吉田を相手にすることが多いらしいので、それなりの能力はあるはずだが、あの二人を相手にすると自信を失くしてしまうのかもしれない。時々、何本かのパス回しの後、やや離れた位置でほぼフリーで新原がパスを受けることがある。ここでシュート打たないとパスを回した意味がなくなると思うのだが、パスを回してしまうことが多い。
吉田の負担軽減という目的なら(内海ヘッドコーチは別の狙いだった)、吉田を下げて新原一人に任すべき。やや荷が重いと思うが、残りメンバーを間宮、諏訪、木林と中を強くしてゴール下で勝負、または中にボールを入れてディフェンスを小さくして、田中の3ポイントといったオフェンスではダメだろうか?
それはともかく、第1クォーターはJXが困惑したのか、3連続ターンオーバー(吉田2本)の得点が止まり2-7。一旦、残り6分の時点で8-9と1点差に迫るが、そこから4分間無得点(8-13)とトヨタペース。
この間、本田と寺田をコートに入れ吉田、木林、諏訪のメンバー。ここまでほとんど使われなかった二人だが、動きの良いふたりを入れたことで、ディフェンス、オフェンスがともに機能するようになったことで、完全にトヨタにペースを渡さなかったことが大きかった。特に、残り2分弱、第1Q終了直前に寺田のシュートが決まったのがこのゲームのポイントだったかもしれない(寺田が乗ってしまった)。
とにかく第1クォーターを1点差で終えたのは上出来だった。運が良かったと言っても良いだろう。
第2クォーター、トヨタは久手堅、川原、鈴木、矢野、池田と通常メンバーに戻す。素人目線だが、第1Q同様の作戦ではなく、ホッとした。後半のスタミナ勝負なら、第1Qだけというのは中途半端ではないのか。
第2Qの序盤は、木林、間宮が得点を入れ、JX本来のオフェンスも機能し、点数の上でもペースもJXに傾いた。更に、寺田や田中も当たりだしオフェンスの展開にも余裕が出てきた。
トヨタも川原、矢野を中心にそれぞれが点を入れ対抗するが33-39と6点差をつけられ前半終了。
第3クォーターも一進一退の攻防が続くが、残り3分弱で58-47とJXが11点差をつける。トヨタも踏ん張り、第3Qを51-59で終了。ここまで、JXは間宮16点、寺田14点、木林10点、やはり寺田の14点が大きい。
トヨタも頑張るが、寺田が想定外で、ターンオーバーも予定外だった。(このクォーター、矢野と天津が3本)
第4クォーターもJXペース。残り7分40秒で64-55。ここからトヨタが意地を見せ、残り4分16秒で64-65と1点差に迫る。この間は川原の3ポイントシュートもあったが、森の活躍が目立った(4点、1ブロック、1スティール)。もっと使えばいいのに。
JXは9点リード(残り7分40秒)で吉田を下げ新原を入れ、残り6分22秒(5点差)で吉田を戻す(田中と交代)したが、流れを変えられず残り4分56秒でタイムアウト(タイムアウト明けに新原を田中にチェンジ)。
やはり吉田・新原のコンビは機能しない。それに吉田の疲労が大きそう。
しかし、1点差に詰め寄られて、JXが気力を振り絞る。特に、吉田の闘志に火がつき、ドライブインシュートを2本。特に、2本目は執念でねじ込んだシュートは凄かった。2本目のシュートの前に2本のオフェンスリバウンドをJXに取られたのも大きく、このプレーでトヨタがしぼんでしまった。
結局、77-66でJXが勝ち4連覇を達成した。
それにしても、残り4分でなぜ矢野を引っ込めたのだろうか。ここで矢野を使ってのトヨタではないのか?直前の矢野のファールが気に入らなかったのだろうか?何かヘッドコーチの指示を無視したのだろうか?不可解なベンチワークだった。
JXは苦しいシリーズだったが、控え選手を含めたチーム力、精神力の勝利だった。今後の課題というか、私の注文だが、新原を鍛えるか(新原さん、ごめんなさい)、シューティングガードの育成をして欲しい。田中や寺田はロングシュートを決めるが、ガードポジションはできない。かつての大山、桜庭タイプの選手の必要性を感じた。
大神、吉田は、どちらがポイントガードをしても機能するが、ひとりになるとシューティングガードが必要になる。(チーム力が高いと必要がないと思うが)
個人的には、どちらかが移籍して、大神×吉田というマッチアップも観たい気がするが、JXファンとしては困る。
今シリーズ、更に吉田選手のファンになった。
【どうでもいい追伸】
試合後の田中選手のインタビューで
「第3戦で負けて、ミーティングで今日は死ぬ気で頑張ろうと、話した。全員バスケットで勝つことができた。今日負けていたら、みんなをビンタするつもりだった。勝てて本当に良かった」
田中選手になら、ビンタされたいなあ……(決してマゾじゃありませんよ)
JXは個々の選手が高い意識を持ってプレーをして、チームの結束力も素晴らしかったですね。
チョンヘッドコーチの普段の指導がどのようなものかが分からないので、容易に判断はできませんが、タイムアウト時の言動には疑問を感じることは多いですね。
でも、もしかしたら、友人にすると頼もしい人かもしれません。
>JXは吉田も間宮も、自分からファールを吹いてもらう動きを意識的にしていましたね
初めからファールをもらいにいくのは問題に思いますが、接触してしまったあと、ファールを取られないよう倒れるのも技術だと思います。いえ、技術というと意図的なものが強くなってしまいますね。ええと、ファールを取られないようにするのは、プレーヤーの本能的なものかもしれませんね。
NBAのそういった行為はやりすぎに感じることはあります。(ディフェンダーめがけて体を預けるようにジャンプシュートをして、ファールをもらうなど)
サッカーでPKをもらうため、ペナルティーエリアでわざと倒れる(シミュレーション)は、サッカーをつまらなくさせますね。
エスカルゴさんの記事は、私の気づかない視点や鋭さがあり、非常に勉強になります。これからも楽しみにしています。