英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

アニメ『AIの遺電子』 第5話「調律」

2023-08-09 20:16:58 | アニメ
第5話 ストーリー(番組サイトより)
ヒューマノイドは人間とは異なり、電脳を書き換えることで様々な精神治療ができる。生きづらさを抱える患者に、そうした「調律」はどこまで許されるのだろう。睡眠に悩むワケありの男と、学校に馴染めずピアノを弾いてばかりの子供。2人の患者が須堂の心を揺さぶる。


患者1 松村
【症状など】
・悪夢、不眠症に悩んでいる(悪夢は《現実の日々が幻ではないかという不安》を暗示している?)
・《毎月、かなりの額をどこかの団体に振り込んでいる》ことを、妻が問いただすと「、非常にお世話になった伯父(叔父)さんの主宰する慈善団体に寄付している」と言うが、架空の団体らしい
【須堂の診断】
・松村には記憶を改ざんした形跡がある

  この処置に心当たりのある須堂は大学時代の友人・瀬戸を訪ねる(友人…学生時代のスナップ写真に写っている)
【松村の当時の状況】
 松村は当時、バーチャルポルノや電子ドラッグに嵌まるなど、自堕落な生活。
 松村本人は「酒さえやめられれば」と訴えるが……
【瀬戸の診断】
・アルコール依存症を直しても、また、別の何かに依存してしまう(その言葉に、松村は自分の駄目さを嘆く)
・頭も体も悪いところはない。悪かったのはあなたではない。あなたの人生だ!  と、人生そのものを否定!
【瀬戸の治療】
・自分史を振り返らせる
・要所で誘導して、過去(記憶)を改良していく
・松村の場合、《人生の支え》を創作してやれば、自然と立ち直る
《人生の支え》=架空の伯父さん
 「泣いているだけでは何も変わらない。怒るべき時には、きちんと怒るべきだ」(by 伯父さん)
 (その信条を実践した結果)「乱暴だった親も、虐めた奴らも、最後は謝った。勇気を出して起こったからだ」と偽りの過去を補足
・(学校に行かなかったことに不安を示す松村に対して)
 「学校に行かなかったことも、伯父さんのアドバイス。
  大切なことは、すべて伯父さんが教えてくれたんだ」
   ………学校に行かなかったという事実は変えられないので、正当性を植え付けて巧妙にごまかす

 治療内容は松村の了解を得たが、記憶を改ざんした事実は記憶から消してしまった
   これに対し、須堂は批判的だったが、瀬戸は《症状が改善されればよい》という考え


 帰る須堂に対し、サボテンを進呈。
「サボテンは生命力が強いので、育てるのは簡単。
 しかし、どんな個体でも、水がなければ枯れる。
 弱り切っている奴は、諦めるしかない」
「だから、時間を巻き戻して、嘘っぱちの水をやったことにするのか!」と須堂は痛烈に批判


 須藤新医院を退院する松村と妻と娘。
 不眠は治まって、喜ぶ一家。

 でも、実際にどういう治療をしたのかは不明?
 人間への治療のように、根気強く、カウンセリングしたのだろうか?(でも、須堂の治療の領域ではないような…)
 結果オーライで倫理観はない瀬戸の治療だが、《“人生の支え”を創作する(構築する)》というのは、ヒューマノイドに限らず、有効な方法に思える
 ただし、「怒るべき時には、きちんと怒るべきだ」というアドバイスは、「ダメな松村」+「激しい気性」となるだけのような気がする……


患者2 ユウタ
【症状】
 《ピアノは自分を裏切らない……“ド”を叩けば、必ず“ド”が返ってくる》
 《音をたくさん並べていく…すごく気分のいい時間》
           ↓他人の介入
 《幸せな時間を邪魔されるのは耐えられない》
 《頭の中が(いらいらで)いっぱいになる》
 《辛い気分になる 苦しくなる》
 《ピアノがあればいい……(邪魔をする)みんながいなくなってしまえばいい》
           ↓
    邪魔をした者に対して、攻撃し排除しようとする


【医療用AI・ジェイの治療方針】
情動系の“調律”を行う
・人間への治療(カウンセリング)は時間がかかるが、ヒューマノイドの場合は、情緒のメカニズムそのものを微調整することで、効果的に治療できる
【治療に対する須堂の見解】
“調律”というのは性格を無理やり変えることだ」とかなり批判的
【母親の躊躇】
《自分の感情をコントロールできない》というのは、ユウタの個性ではないのか?(性格を矯正しても良いのか?)

 結局、(須堂の予見通り)初診後にクラスメイトと争い(喧嘩)が起こり、“調律”を行うことに。
    ↓
 心に余裕が生まれ、クラスメイトとも仲良く過ごすことができるようになった。
 しかし、処置前の音に対する渇望感がなくなり、緊迫した音色が出なくなってしまった
 ユウタ自身も、ピアノ演奏は好きだが、以前とは音色が違うように感じている。




 瀬戸もヒューマノイド。
 ジェイは医療用AIだが、医療用AIに留まらない能力を持っているらしい。
 この両者は、電脳的処置《メモリ-の改ざん(記憶の改ざん)や調律(性格矯正)》をするのが、効果的かつ効率的と考えている
 これに対し、須堂は否定的考え。

 しかし、今回は“調律”処置をした。
 この“調律”は、記憶の改ざんよりより強制的(強引な)処置であろう。
 まあ、人生を否定した瀬戸も罪は重いが、”人生の支えの存在”=“架空の伯父さん”を創造することで、記憶の改ざんは限定的にとどめている。
 (とは言え、伯父さんの教えも、かなり適当)
 タイトルも“調律”としており、作者の意思が込められていると思う。



 瀬戸が配るサボテンに深い意図はあるのだろうか?


参照:「第1話・第2話」「第3話」「訂正1・第3話について」「第4話」「訂正2・タイトルについて」「第5話」「第6話」「第7話」「第8話」「第9話」「第10話」「第10話・追記」「第11話」「第12話(最終話)」

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