広島サミットが閉幕した。
被爆地・広島での開催、ゼレンスキー大統領の訪日、首脳たちの芳名録を公開したことなどもあって、発信力はあった。
また、日本の調整力もあり、おおむねスムーズに会議が進み、「広島ビジョン」発信や決議や宣言も方向性を持ったものとなった。表向きには、世間的には成功したと評価できる。
ただし、今回のサミットについて、「形をなぞっただけだ」と被爆者、関係者は、全く納得していないかという意見・記事もネットではあちこちで見られた。そのことについて、NHKではきちんと報道していないのは、どういうことなのか?(5月21日放送)
被爆体験を首脳に証言した小倉桂子さんが「かなり長く話をさせてもらった。本当に質問もたくさんあった。お願いしたことは、絶対に核を威嚇のために使ってほしくないということ」とプラス面を強調する報道だった。
一部、広島県被団協・箕牧智之理事長の「なかなか私たちが期待したほどのことにならなかった」
(中略)「一方で」(←アナウンサーの声)
「10年先に《ああ、広島のサミットはよかったやのぉ》というような言葉がでりゃぁね、一番有難いですよね。
あれから、核兵器の問題が少しずつ解決して、核兵器の廃絶までいけば(”広島サミットはよかったなあ”と言える)」
と、言葉の表面だけ聞くとプラス面を印象付ける言葉で締めていた。
箕牧理事長は、今回のサミットに満足していない様子だったし、中略された言葉がどういうモノかわからなかった。最後の言葉は、政府や運営に携わった人たちに気を遣った言葉だったと思われるが、そのことばをNHKが採用(利用)しただけ?
【追記】(5月22日 NHK『ニュース7』放送)
広島県被団協・佐久間邦彦理事長
「G7に向けて(核兵器禁止条約の議論など)いろいろ要求を出したが、その要望がほとんど聞き入れらない。非常に残念だ。
一日も早く、核兵器がなくなる日が来るように、負けずに頑張っていきたい」【追記終り】(広島県被団協の理事長は二人いるのか、謎)
今夜の『クローズアップ現代』で
「密着!G7サミット ヒロシマの思いは届いたのか?」
ヒロシマの思いは届くのか―。19日からG7広島サミットが始まる。ロシアによるウクライナ侵攻後、核兵器使用の懸念が高まる中、被爆地・広島に初めて首脳たちが集う。ただ、被爆者をはじめとする市民の間では、サミット開催がパフォーマンスに終わるのではないかとの不安も根強い。国際政治の舞台裏で世界の首脳やメディアに情報やメッセージを伝えようと、自ら奔走する広島の市民たちに密着。サミットの意義を検証する。
番組は、被爆者の怒りの声から始まった。
(広島サミットが終わって……)
「胸が潰れるような思いがしました」……サーロー節子氏(13歳で被爆)
「希望は完全に打ち砕かれて、怒りに震えています」……木戸季一氏(5歳で被爆)
NGO、ANT-Hiroshimaの理事長、渡部朋子氏(被爆二世)……NGOは30年間以上にわたり、被爆者の声を国内外に届け続けている。
《被爆地で開かれるサミットだからこそ、核廃絶への具体的な道筋を示してほしい》
……半年前から議論を続けている………「C7」=Civil7~~世界中の市民社会組織が集まる公式エンゲージメント・グループ。環境・経済・保健・人道支援・市民社会・核兵器廃絶に関する政策提言活動を行っている~
4か月にわたる議論でまとめた提言書
・アメリカとロシアの核軍縮条約 新STARTに代わる新たな条約の交渉を支援すること
・2045年までに核兵器廃絶を実現するため、速やかな交渉の計画を打ち出す事
など具体的な政策を打ち出すことを求めた
岸田総理に直接渡された提言書の前文には
「G7首脳は広島の地で、1945年に戦争時に、初めて放たれた原子爆弾により、命を奪われた数十万人の人々の遺骨の上を歩くことになります。
広島を訪れるこの機会に、被爆者から直に話を聞き、核兵器の使用が人々や環境にもたらした被害を知ってください」と書かれていた。
岡島由奈さん(18歳・曾祖父を原爆で亡くしている)……首脳たちに被爆者との面会を求め、2万を超える署名を集め、外務省に提出
高見藤枝さん(95歳)(岡島さんから、“もしG7の首脳たちに会えるとしたら、何を話したいか?”と尋ねられて)
「戦争をしないでください」
「どこの国も大切な子どもを抱えて、大事な親を抱えているのだから、
“ピカドン”(原爆)を受けて
歩けんようになって……もぉ~う、あんな目にはだれにもあってほしゅうない!」
しかし、『広島ビジョン』にはG7を含む核保有国がどう核を減らしていくのか、新たな具体策は示されなかった
渡部朋子氏、『核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン』の文書を見て
「…“核軍縮”どこにありますか?
自分たちの姿勢を顧みる姿、一文もない!」
「しかも、広島でこれを言えば、広島がこれを許容したように思われる。
広島の名前を使って欲しくない!」
国際政治が専門の東京大学教授・藤原帰一氏
「今回のサミット(G7首脳が広島の原爆資料館を訪れ、献花を行うなど)は、出発点…核軍縮の出発点としては意義があった」
会見で岸田総理は2つの責任があると
・国民の安全を守り抜く
・「核兵器のない世界」を追究し続ける
と、述べた。でも、《核兵器のない世界を実現する》と《核兵器のない世界を追究し続ける》とは言葉の響きは似ているが、全然違う!
追究し続けるというのは、実現しなくてもいいんだよね!
岸田総理は、今回の広島サミットで非常に大きなことを成し遂げた感をアピールしていたが、
『広島ビジョン』にはとんでもないことが書かれていた!
・ロシアによる核の威嚇を非難
・中国の核戦力増強への懸念
・核抑止
「我々の安全保障条約は、核兵器はそれが存在する限りにおいて、防衛目的のための役割を果たし、侵略を抑止し
並びに戦争及び威圧を防止すべきとの
理解に基づいている」
3番目の項目……“核抑止”とあるが、これでは”核容認”!…それどころか、”核推奨”ではないか!
藤原帰一氏
「核に頼ること(核の傘によって)安全が保たれている現実はあるけれども、(このビジョンでは)軍縮は出てこない。
核に頼らない安全保障をどう実現するかは表現されてない」
藤原氏は「表現されていない」という柔らかい表現をしたが、「核廃絶はもちろん、核軍縮する気はない」のである。
「広島ビジョン」はとんでもない内容だった。
日本は「核兵器禁止条約」に参加しないと、全く信用できない。「核の傘」という事情はあるが、被爆国という事実は参加する理由に値するはず。
せめて、オブザーバーとして参加すべきだ。
……それはともかく、NHKも根幹報道番組では政府に忖度し過ぎ。
『クローズアップ現代』で(こっそり)批判する……これが精一杯なのかも。
被爆地・広島での開催、ゼレンスキー大統領の訪日、首脳たちの芳名録を公開したことなどもあって、発信力はあった。
また、日本の調整力もあり、おおむねスムーズに会議が進み、「広島ビジョン」発信や決議や宣言も方向性を持ったものとなった。表向きには、世間的には成功したと評価できる。
ただし、今回のサミットについて、「形をなぞっただけだ」と被爆者、関係者は、全く納得していないかという意見・記事もネットではあちこちで見られた。そのことについて、NHKではきちんと報道していないのは、どういうことなのか?(5月21日放送)
被爆体験を首脳に証言した小倉桂子さんが「かなり長く話をさせてもらった。本当に質問もたくさんあった。お願いしたことは、絶対に核を威嚇のために使ってほしくないということ」とプラス面を強調する報道だった。
一部、広島県被団協・箕牧智之理事長の「なかなか私たちが期待したほどのことにならなかった」
(中略)「一方で」(←アナウンサーの声)
「10年先に《ああ、広島のサミットはよかったやのぉ》というような言葉がでりゃぁね、一番有難いですよね。
あれから、核兵器の問題が少しずつ解決して、核兵器の廃絶までいけば(”広島サミットはよかったなあ”と言える)」
と、言葉の表面だけ聞くとプラス面を印象付ける言葉で締めていた。
箕牧理事長は、今回のサミットに満足していない様子だったし、中略された言葉がどういうモノかわからなかった。最後の言葉は、政府や運営に携わった人たちに気を遣った言葉だったと思われるが、そのことばをNHKが採用(利用)しただけ?
【追記】(5月22日 NHK『ニュース7』放送)
広島県被団協・佐久間邦彦理事長
「G7に向けて(核兵器禁止条約の議論など)いろいろ要求を出したが、その要望がほとんど聞き入れらない。非常に残念だ。
一日も早く、核兵器がなくなる日が来るように、負けずに頑張っていきたい」【追記終り】(広島県被団協の理事長は二人いるのか、謎)
今夜の『クローズアップ現代』で
「密着!G7サミット ヒロシマの思いは届いたのか?」
ヒロシマの思いは届くのか―。19日からG7広島サミットが始まる。ロシアによるウクライナ侵攻後、核兵器使用の懸念が高まる中、被爆地・広島に初めて首脳たちが集う。ただ、被爆者をはじめとする市民の間では、サミット開催がパフォーマンスに終わるのではないかとの不安も根強い。国際政治の舞台裏で世界の首脳やメディアに情報やメッセージを伝えようと、自ら奔走する広島の市民たちに密着。サミットの意義を検証する。
番組は、被爆者の怒りの声から始まった。
(広島サミットが終わって……)
「胸が潰れるような思いがしました」……サーロー節子氏(13歳で被爆)
「希望は完全に打ち砕かれて、怒りに震えています」……木戸季一氏(5歳で被爆)
NGO、ANT-Hiroshimaの理事長、渡部朋子氏(被爆二世)……NGOは30年間以上にわたり、被爆者の声を国内外に届け続けている。
《被爆地で開かれるサミットだからこそ、核廃絶への具体的な道筋を示してほしい》
……半年前から議論を続けている………「C7」=Civil7~~世界中の市民社会組織が集まる公式エンゲージメント・グループ。環境・経済・保健・人道支援・市民社会・核兵器廃絶に関する政策提言活動を行っている~
4か月にわたる議論でまとめた提言書
・アメリカとロシアの核軍縮条約 新STARTに代わる新たな条約の交渉を支援すること
・2045年までに核兵器廃絶を実現するため、速やかな交渉の計画を打ち出す事
など具体的な政策を打ち出すことを求めた
岸田総理に直接渡された提言書の前文には
「G7首脳は広島の地で、1945年に戦争時に、初めて放たれた原子爆弾により、命を奪われた数十万人の人々の遺骨の上を歩くことになります。
広島を訪れるこの機会に、被爆者から直に話を聞き、核兵器の使用が人々や環境にもたらした被害を知ってください」と書かれていた。
岡島由奈さん(18歳・曾祖父を原爆で亡くしている)……首脳たちに被爆者との面会を求め、2万を超える署名を集め、外務省に提出
高見藤枝さん(95歳)(岡島さんから、“もしG7の首脳たちに会えるとしたら、何を話したいか?”と尋ねられて)
「戦争をしないでください」
「どこの国も大切な子どもを抱えて、大事な親を抱えているのだから、
“ピカドン”(原爆)を受けて
歩けんようになって……もぉ~う、あんな目にはだれにもあってほしゅうない!」
しかし、『広島ビジョン』にはG7を含む核保有国がどう核を減らしていくのか、新たな具体策は示されなかった
渡部朋子氏、『核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン』の文書を見て
「…“核軍縮”どこにありますか?
自分たちの姿勢を顧みる姿、一文もない!」
「しかも、広島でこれを言えば、広島がこれを許容したように思われる。
広島の名前を使って欲しくない!」
国際政治が専門の東京大学教授・藤原帰一氏
「今回のサミット(G7首脳が広島の原爆資料館を訪れ、献花を行うなど)は、出発点…核軍縮の出発点としては意義があった」
会見で岸田総理は2つの責任があると
・国民の安全を守り抜く
・「核兵器のない世界」を追究し続ける
と、述べた。でも、《核兵器のない世界を実現する》と《核兵器のない世界を追究し続ける》とは言葉の響きは似ているが、全然違う!
追究し続けるというのは、実現しなくてもいいんだよね!
岸田総理は、今回の広島サミットで非常に大きなことを成し遂げた感をアピールしていたが、
『広島ビジョン』にはとんでもないことが書かれていた!
・ロシアによる核の威嚇を非難
・中国の核戦力増強への懸念
・核抑止
「我々の安全保障条約は、核兵器はそれが存在する限りにおいて、防衛目的のための役割を果たし、侵略を抑止し
並びに戦争及び威圧を防止すべきとの
理解に基づいている」
3番目の項目……“核抑止”とあるが、これでは”核容認”!…それどころか、”核推奨”ではないか!
藤原帰一氏
「核に頼ること(核の傘によって)安全が保たれている現実はあるけれども、(このビジョンでは)軍縮は出てこない。
核に頼らない安全保障をどう実現するかは表現されてない」
藤原氏は「表現されていない」という柔らかい表現をしたが、「核廃絶はもちろん、核軍縮する気はない」のである。
「広島ビジョン」はとんでもない内容だった。
日本は「核兵器禁止条約」に参加しないと、全く信用できない。「核の傘」という事情はあるが、被爆国という事実は参加する理由に値するはず。
せめて、オブザーバーとして参加すべきだ。
……それはともかく、NHKも根幹報道番組では政府に忖度し過ぎ。
『クローズアップ現代』で(こっそり)批判する……これが精一杯なのかも。
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