実朝暗殺を巡る義時の思惑の推移
①実朝を襲撃殺害した公暁を、太刀持ち役の自分(義時)が討ち取るつもり
②太刀持ち役を仲章に奪われたので、成り行きを見つめるだけ(悔しそう)
仲章を含めた護衛は、襲撃を予期していないので、実朝の殺害自体は成功する可能性が高い(少なくとも実朝は深手は負うだろう。クーデターが成功するかは不明)。
《成り行きを見つめるだけという状況は、悪くはない》と考えていたと思われるが、まだ、自分も標的になっていたことは知らない。
③自分も標的になっていたこと泰時に知らされる。襲撃を阻止しようとする泰時を制する。
④実朝死亡、さらに仲章も殺害された。その後、公暁も義村に討ち取られた。……予定外の太刀持ち交代により、難を逃れると同時に、邪魔者の仲章も殺害されたという願ってもない結果となった。
「《まだ自分にやることがある》と天が守ってくれた」と頼朝張りの思考
義時vs義村
公暁の企てを後押しする目論見だったが、義時に気取られ拝賀式への参加を止められてしまう。
拝賀式を陰で観ながら、今後の算段を思案していたが、後ろから肩を叩かれ振り向くと、式に参列しているはずの最も警戒を要する義時がいた!そりゃ驚くだろう。……太刀持ち交代させられたことを告げる義時……
「公暁はどこに潜んでいる?」の義時の問いに、義村は「そこまで知っていて、なぜおまえは動かない?」と問い返す。
「思いは同じだ」と義時。
真意が分かりにくい。《それぞれの理由は違うが”公暁の計画が成功してほしい”という思いは同じ》という意味なのだろう。
「実朝は自分(義時)に対して憤っていて、暗殺が失敗し、(実朝が健在のままだと)北条は終わりだ」と漏らす。
《太刀持ち交代、お前は用無しだ》と言ったのは仲章で、実朝の真意は義時は知りようがなかったはずだが(義家の死の真相を実朝が知ってしまったことを、義時は知らないはず)、仲章の勝ち誇った顔でそう思ったのだろうか?
実朝と仲章が殺害され(公暁は逃走)、一段落?した後、義時が義村を問い詰める
「(計画を)どこまで知っていたか?」
「公暁に焚きつけて実朝を殺し、天辺に登り詰めようと思ったが、やめた。
力にしがみついて恨みを集め、怯え切っているお前(義時)の姿を見て、取って代わろうとは誰が思うか!」
《自分は天に守られている》という義時に
「頼朝気取りか。せいぜい、馬から落ちないように気をつけるんだな」と捨て台詞?(会心の皮肉?)
対して義時、
「公暁が自分を殺そうとしていたことを知っていたのか?私に死んでほしかったのではないのか?」と強く問う!
「それを知ったら、その場で殺していた」と言って義村は去っていく……
……しかし、暗転する直前、義村は襟を直していたような……じっと佇む義時の背中……
(多くの視聴者が《襟、直したよね》と思ったことだろう)
三浦を頼ってきた公暁を討った義村
公暁に義村にとって拙いことを語られてはお終いだ。
《義時が頼家を殺した》と公暁に義時への怨念を植え付けたのは義村。義時の想像以上の義村の暗躍だった。
内心とは裏腹に、表向きは、《北条と三浦が手を携えて鎌倉を盛り立てていく》図を演じていたふたり……
義時vs泰時
実朝暗殺を阻止しようとしたのを、義時に止められたのを問いただす泰時、そして、
「父上は鎌倉殿の死を望んでおられた。すべて父上の思い通りになりました。これから好きに鎌倉を動かせる。しかし、そうはいきませぬ。私がそれを止めて見せる。あなたの思い通りにさせない」と反抗宣言。
「面白い。受けて立とう」と義時
二人の対決が盛り上がるシーンだが、こういうやり取りって、これまでも何度かあったような……デジャブ?
義時vsのえ
「お前も救われたな。(仲章が生きていたら)いずれお前は言わなくてよいことをしゃべっていただろう。私はお前を斬っていたかもしれない」
「八重も比奈も、もう少しできた女子だった」
のえは
「言っていいことと悪いことがございます。今のはどちらでしょうか?」と激怒
……前妻と比べるのは、最もしてはいけないこと。
“言わなくてよいこと”を言ってしまったのは、義時だ。
それにしても義時は、いつから“のえ”を蔑むようになったのだろうか?
雪降る石段での惨劇 実朝&公暁with仲章
「義時ぃ~!」と叫んで斬りつける公暁
実際に斬られたのは、“太刀持ち”の大役を奪った仲章……痛みと驚愕と恐怖で、のたうち回る……(その後、2度、突き刺され…絶命)
護衛や参列者が呆然とする中、公暁が実朝ににじり寄り、両者が対峙。
実朝は懐の短刀(←泰時から強引に渡された)を取り出すが、それを自ら手放した。公暁の太刀を受け入れる……《斬ってくれ)という表情。
しばしの間の後、公暁は袈裟懸けの一閃!
父・頼家の死の真相などを書き記した文書を取り出して、大義を宣言しようとするが、文書を落とし、おびただしい血で書面が台無しに……
頃合いを見定めた義時の「捕えよ~」の号で賊、護衛が入り乱れる……公暁、逃走
両者の後押しをしたのは「天命に逆らうな」という歩き巫女の言葉。
公暁にとっての天命とは……《実朝から“鎌倉殿”の地位を奪うこと》だったのだろうか?
実朝にとっての天命は……《公暁に討たれること》だったのだろうか……
歩き巫女の予言「雪の降る日には災いが待っている」(第35話「苦い盃」)を実朝は思い浮かべたのかもしれない。
実朝は、辞世の歌(別れの歌)を残しており、覚悟をしていたようだ。
実衣
・凶事を知り、姉のもとに駆け付ける
・実朝(息子)を失った姉・政子の心を慮り、「公暁を討つのです!」と声を荒げる
が、事件が一段落すると
「ここが正念場」「必ず鎌倉殿にしてみせます。この母に任せておきなさい」と野心が頭をもたげる……
実朝、公暁が亡くなった今、源氏嫡流の血を引くのは、実衣の息子の阿野時元のみ(時元の父・全成は頼朝の異母弟)。
政子&公暁
上記の実衣の言葉に対して「命ばかりは助けてあげて」と請う
公暁は政子の前に現れ、“鎌倉殿の証”の髑髏を取り出す。
政子は慈悲の心から「なぜ、このような愚かなことを。謀反を起こした者に、従う者はいない」(←意訳)
公暁「愚かな行為だということは分かっているが、武士の証を示したかった。私が4代目の“鎌倉殿”だ」(←意訳)
「もうお目にかかることはないでしょう」(←意訳)と別れを告げ、去る
大江広元
「御無事で何よりです」と義時の無事を喜ぶ。が、実朝の死を悲しむ言葉はない。
「気の毒だった」と仲章の死を悼むが、「手間が省けた」と非情さを見せた。
政子&トウ
悲しみのあまり、自ら命を絶とうとした政子を、寸前でトウが止める。「殺して」と請う政子。
「主の命がなくては殺せぬ。自ら命を死んではならぬ」と言い、去っていく。
義時vs政子
悲しみに打ちひしがれ《伊豆に帰る》と言う政子に、《それは許さない》という義時(政子が自ら命を絶とうとしたのを、寸前でトウに止められたことを、義時は知らない)
「頼朝様のご意向を示すことができるのはあなただけです。立場は今まで以上に重くなる。今こそ北条の鎌倉を作るのです」と言い放つ
さらに、
「鎌倉の闇を忌み嫌うのは、けっこう。
姉上は今まで何を為された?…闇を絶つために、あなたは何を為された?!」
「頼朝様から学んだのは、私だけではない。
我らは一心同体、これまでも、そしてこの先も」
……少し分かりにくい。
《全部、自分に汚いことを押し付け、あなたは何もしていない。(少しはあなたも手を汚せ)》
《見ていた(容認した)ということは、やっていたのと同じ》
《頼朝と行動を共にしてきたのだから、私にできることはあなたにもできるはずだ》
と、解釈すればいいのだろうか。
義時vs運慶
運慶を言い負かして、自分を基にした仏像を作れと命じる。
運慶は、どういう仏像を彫るのだろうか?
ところで……
義時の夢の中に、薬師如来につき従う十二神将のうちの戌神将が現れ・・・ 「今年の将軍の参拝は無事であったが、来年の拝賀の日には供奉しないように」と告げたという伝説があり、前話の冒頭でも、義時と犬が対峙するシュールな画があったが、この大河では、《仲章が自ら、義時の身代わりになってしまった》という筋にした。
どちらも面白いが、脚本の三谷氏は流石だなと思った。
【一つの不満】
小栗旬の台詞……心の内を呟いたり、吐き出すように言うときは、が聞き取りにくいことが多い。
今回は義村とのシーンと、"のえ”とのシーンがそう。
特に、「着替えてから御所に行く」とか言うセリフは2度再生して、ようやく聞き取れた。
――今までもそうであったが、今話で更に、姉・政子、息子・泰時、親友・義村、妻・のえ、仏師・運慶とますます溝を深めた義時……その行く末は?――
(親王を鎌倉に迎えるかどうかの、鎌倉と京の思惑云々は、書くのに疲れたので省略)
第1話「大いなる小競り合い」 第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」 第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」 第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」 第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」 第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」 第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」 第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」 第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」 第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」 第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」 第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」 第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」 第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」 第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」 第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」 第32話「災いの種」
第33話「修善寺」 第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」 第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」 第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」 第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」 第44話「審判の日」
【ストーリー】番組サイトより
京から大納言ら公卿を招き、鶴岡八幡宮で盛大に執り行われる源実朝(柿澤勇人)の右大臣拝賀式。
泰時(坂口健太郎)が警固をする中、公暁(寛一郎)は門弟と共に木の陰に潜んでいた。御家人たちに交じり、状況を静観する三浦義村(山本耕史)。今後の鎌倉と自身の命運を賭し、儀式を見守る義時(小栗旬)と時房(瀬戸康史)。
式を終えて楼門から出てきた実朝を公卿と源仲章(生田斗真)が迎えて整列すると、牡丹ぼたん雪が降り積もる中……
脚本:三谷幸喜
①実朝を襲撃殺害した公暁を、太刀持ち役の自分(義時)が討ち取るつもり
②太刀持ち役を仲章に奪われたので、成り行きを見つめるだけ(悔しそう)
仲章を含めた護衛は、襲撃を予期していないので、実朝の殺害自体は成功する可能性が高い(少なくとも実朝は深手は負うだろう。クーデターが成功するかは不明)。
《成り行きを見つめるだけという状況は、悪くはない》と考えていたと思われるが、まだ、自分も標的になっていたことは知らない。
③自分も標的になっていたこと泰時に知らされる。襲撃を阻止しようとする泰時を制する。
④実朝死亡、さらに仲章も殺害された。その後、公暁も義村に討ち取られた。……予定外の太刀持ち交代により、難を逃れると同時に、邪魔者の仲章も殺害されたという願ってもない結果となった。
「《まだ自分にやることがある》と天が守ってくれた」と頼朝張りの思考
義時vs義村
公暁の企てを後押しする目論見だったが、義時に気取られ拝賀式への参加を止められてしまう。
拝賀式を陰で観ながら、今後の算段を思案していたが、後ろから肩を叩かれ振り向くと、式に参列しているはずの最も警戒を要する義時がいた!そりゃ驚くだろう。……太刀持ち交代させられたことを告げる義時……
「公暁はどこに潜んでいる?」の義時の問いに、義村は「そこまで知っていて、なぜおまえは動かない?」と問い返す。
「思いは同じだ」と義時。
真意が分かりにくい。《それぞれの理由は違うが”公暁の計画が成功してほしい”という思いは同じ》という意味なのだろう。
「実朝は自分(義時)に対して憤っていて、暗殺が失敗し、(実朝が健在のままだと)北条は終わりだ」と漏らす。
《太刀持ち交代、お前は用無しだ》と言ったのは仲章で、実朝の真意は義時は知りようがなかったはずだが(義家の死の真相を実朝が知ってしまったことを、義時は知らないはず)、仲章の勝ち誇った顔でそう思ったのだろうか?
実朝と仲章が殺害され(公暁は逃走)、一段落?した後、義時が義村を問い詰める
「(計画を)どこまで知っていたか?」
「公暁に焚きつけて実朝を殺し、天辺に登り詰めようと思ったが、やめた。
力にしがみついて恨みを集め、怯え切っているお前(義時)の姿を見て、取って代わろうとは誰が思うか!」
《自分は天に守られている》という義時に
「頼朝気取りか。せいぜい、馬から落ちないように気をつけるんだな」と捨て台詞?(会心の皮肉?)
対して義時、
「公暁が自分を殺そうとしていたことを知っていたのか?私に死んでほしかったのではないのか?」と強く問う!
「それを知ったら、その場で殺していた」と言って義村は去っていく……
……しかし、暗転する直前、義村は襟を直していたような……じっと佇む義時の背中……
(多くの視聴者が《襟、直したよね》と思ったことだろう)
三浦を頼ってきた公暁を討った義村
公暁に義村にとって拙いことを語られてはお終いだ。
《義時が頼家を殺した》と公暁に義時への怨念を植え付けたのは義村。義時の想像以上の義村の暗躍だった。
内心とは裏腹に、表向きは、《北条と三浦が手を携えて鎌倉を盛り立てていく》図を演じていたふたり……
義時vs泰時
実朝暗殺を阻止しようとしたのを、義時に止められたのを問いただす泰時、そして、
「父上は鎌倉殿の死を望んでおられた。すべて父上の思い通りになりました。これから好きに鎌倉を動かせる。しかし、そうはいきませぬ。私がそれを止めて見せる。あなたの思い通りにさせない」と反抗宣言。
「面白い。受けて立とう」と義時
二人の対決が盛り上がるシーンだが、こういうやり取りって、これまでも何度かあったような……デジャブ?
義時vsのえ
「お前も救われたな。(仲章が生きていたら)いずれお前は言わなくてよいことをしゃべっていただろう。私はお前を斬っていたかもしれない」
「八重も比奈も、もう少しできた女子だった」
のえは
「言っていいことと悪いことがございます。今のはどちらでしょうか?」と激怒
……前妻と比べるのは、最もしてはいけないこと。
“言わなくてよいこと”を言ってしまったのは、義時だ。
それにしても義時は、いつから“のえ”を蔑むようになったのだろうか?
雪降る石段での惨劇 実朝&公暁with仲章
「義時ぃ~!」と叫んで斬りつける公暁
実際に斬られたのは、“太刀持ち”の大役を奪った仲章……痛みと驚愕と恐怖で、のたうち回る……(その後、2度、突き刺され…絶命)
護衛や参列者が呆然とする中、公暁が実朝ににじり寄り、両者が対峙。
実朝は懐の短刀(←泰時から強引に渡された)を取り出すが、それを自ら手放した。公暁の太刀を受け入れる……《斬ってくれ)という表情。
しばしの間の後、公暁は袈裟懸けの一閃!
父・頼家の死の真相などを書き記した文書を取り出して、大義を宣言しようとするが、文書を落とし、おびただしい血で書面が台無しに……
頃合いを見定めた義時の「捕えよ~」の号で賊、護衛が入り乱れる……公暁、逃走
両者の後押しをしたのは「天命に逆らうな」という歩き巫女の言葉。
公暁にとっての天命とは……《実朝から“鎌倉殿”の地位を奪うこと》だったのだろうか?
実朝にとっての天命は……《公暁に討たれること》だったのだろうか……
歩き巫女の予言「雪の降る日には災いが待っている」(第35話「苦い盃」)を実朝は思い浮かべたのかもしれない。
実朝は、辞世の歌(別れの歌)を残しており、覚悟をしていたようだ。
実衣
・凶事を知り、姉のもとに駆け付ける
・実朝(息子)を失った姉・政子の心を慮り、「公暁を討つのです!」と声を荒げる
が、事件が一段落すると
「ここが正念場」「必ず鎌倉殿にしてみせます。この母に任せておきなさい」と野心が頭をもたげる……
実朝、公暁が亡くなった今、源氏嫡流の血を引くのは、実衣の息子の阿野時元のみ(時元の父・全成は頼朝の異母弟)。
政子&公暁
上記の実衣の言葉に対して「命ばかりは助けてあげて」と請う
公暁は政子の前に現れ、“鎌倉殿の証”の髑髏を取り出す。
政子は慈悲の心から「なぜ、このような愚かなことを。謀反を起こした者に、従う者はいない」(←意訳)
公暁「愚かな行為だということは分かっているが、武士の証を示したかった。私が4代目の“鎌倉殿”だ」(←意訳)
「もうお目にかかることはないでしょう」(←意訳)と別れを告げ、去る
大江広元
「御無事で何よりです」と義時の無事を喜ぶ。が、実朝の死を悲しむ言葉はない。
「気の毒だった」と仲章の死を悼むが、「手間が省けた」と非情さを見せた。
政子&トウ
悲しみのあまり、自ら命を絶とうとした政子を、寸前でトウが止める。「殺して」と請う政子。
「主の命がなくては殺せぬ。自ら命を死んではならぬ」と言い、去っていく。
義時vs政子
悲しみに打ちひしがれ《伊豆に帰る》と言う政子に、《それは許さない》という義時(政子が自ら命を絶とうとしたのを、寸前でトウに止められたことを、義時は知らない)
「頼朝様のご意向を示すことができるのはあなただけです。立場は今まで以上に重くなる。今こそ北条の鎌倉を作るのです」と言い放つ
さらに、
「鎌倉の闇を忌み嫌うのは、けっこう。
姉上は今まで何を為された?…闇を絶つために、あなたは何を為された?!」
「頼朝様から学んだのは、私だけではない。
我らは一心同体、これまでも、そしてこの先も」
……少し分かりにくい。
《全部、自分に汚いことを押し付け、あなたは何もしていない。(少しはあなたも手を汚せ)》
《見ていた(容認した)ということは、やっていたのと同じ》
《頼朝と行動を共にしてきたのだから、私にできることはあなたにもできるはずだ》
と、解釈すればいいのだろうか。
義時vs運慶
運慶を言い負かして、自分を基にした仏像を作れと命じる。
運慶は、どういう仏像を彫るのだろうか?
ところで……
義時の夢の中に、薬師如来につき従う十二神将のうちの戌神将が現れ・・・ 「今年の将軍の参拝は無事であったが、来年の拝賀の日には供奉しないように」と告げたという伝説があり、前話の冒頭でも、義時と犬が対峙するシュールな画があったが、この大河では、《仲章が自ら、義時の身代わりになってしまった》という筋にした。
どちらも面白いが、脚本の三谷氏は流石だなと思った。
【一つの不満】
小栗旬の台詞……心の内を呟いたり、吐き出すように言うときは、が聞き取りにくいことが多い。
今回は義村とのシーンと、"のえ”とのシーンがそう。
特に、「着替えてから御所に行く」とか言うセリフは2度再生して、ようやく聞き取れた。
――今までもそうであったが、今話で更に、姉・政子、息子・泰時、親友・義村、妻・のえ、仏師・運慶とますます溝を深めた義時……その行く末は?――
(親王を鎌倉に迎えるかどうかの、鎌倉と京の思惑云々は、書くのに疲れたので省略)
第1話「大いなる小競り合い」 第2話「佐殿の腹」
第3話「挙兵は慎重に」 第4話「矢のゆくえ」
第5話「兄との約束」 第6話「悪い知らせ」
第7話「敵か、あるいは」 第8話「いざ、鎌倉」
第9話「決戦前夜」 第10話「根拠なき自信」
第11話「許されざる嘘」 第12話「亀の前事件」
第13話「幼なじみの絆」 第14話「都の義仲」
第15話「足固めの儀式」 第16話「伝説の幕開け」
第17話「助命と宿命」 第18話「壇ノ浦で舞った男」
第19話「果たせぬ凱旋」 第20話「帰ってきた義経」
第21話「仏の眼差し」 第22話「義時の生きる道」
第23話「狩りと獲物」 第24話「変わらぬ人」
第25話「天が望んだ男」 第26話「悲しむ前に」
第27話「鎌倉殿と十三人」 第28話「名刀の主」
第29話「ままならぬ玉」 第30話「全成の確率」
第31話「諦めの悪い男」 第32話「災いの種」
第33話「修善寺」 第34話「理想の結婚」
第35話「苦い盃」 第36話「武士の鑑」
第37話「オンベレブンビンバ」 第38話「時を継ぐ者」
第39話「穏やかな一日」 第40話「罠と罠」
第41話「義盛、お前に罪はない」 第42話「夢のゆくえ」
第43話「資格と死角」 第44話「審判の日」
【ストーリー】番組サイトより
京から大納言ら公卿を招き、鶴岡八幡宮で盛大に執り行われる源実朝(柿澤勇人)の右大臣拝賀式。
泰時(坂口健太郎)が警固をする中、公暁(寛一郎)は門弟と共に木の陰に潜んでいた。御家人たちに交じり、状況を静観する三浦義村(山本耕史)。今後の鎌倉と自身の命運を賭し、儀式を見守る義時(小栗旬)と時房(瀬戸康史)。
式を終えて楼門から出てきた実朝を公卿と源仲章(生田斗真)が迎えて整列すると、牡丹ぼたん雪が降り積もる中……
脚本:三谷幸喜
2週にわたって「鎌倉最大の悲劇」が描かれました。いろいろなことがありすぎてコメントするのも難しいので、義時と義村に絞ります。
義時が「私に死んでほしかったのではないのか?」と問い詰める場面、ここだけ義時の声が震えていて、不安そうな表情をしています。
損得勘定で動くとは言え、幼いころからの盟友だった義村が自分を裏切るはずがない、信じたいという気持ちはあったのでしょうね。
しかし、例の襟を直すしぐさで、義時は義村の本心を知ってしまいました。この場面、後ろ姿だけで義時の表情が写らない演出が絶妙です。
一方の義村は、邪魔な存在でしかなくなった公暁を殺害。義時を討ち損じた以上、今は北条と争うのは得策ではないと判断し、当面は面従腹背を決め込んだようですね。
義時も義村の思惑は承知のうえで、茶番に乗っかりました。もはや二人は盟友ではなく、利害関係だけで繋がっている状況ですね。
それにしても、のえとの関係、運慶の仏像、次の鎌倉殿、承久の乱などの展開が予想されますが、あと3回で回収しきれるのでしょうか?(おそらく最終回は時間延長されるのではないかと思いますが。)
>損得勘定で動くとは言え、幼いころからの盟友だった義村が自分を裏切るはずがない、信じたいという気持ちはあったのでしょうね。
>しかし、例の襟を直すしぐさで、義時は義村の本心を知ってしまいました。この場面、後ろ姿だけで義時の表情が写らない演出が絶妙です。
まったく、同感です。
襟の直し方が、緩やかでした。サッと直すときと緩やかな時とでは、真偽が違うということはないですよね。
>のえとの関係、運慶の仏像、次の鎌倉殿、承久の乱などの展開が予想されますが、あと3回で回収しきれるのでしょうか?(おそらく最終回は時間延長されるのではないかと思いますが。)
ええ、端折られないか不安です。通例だと15分延長のような気がしますが(大河ドラマは3回に1回ぐらいしか見ていません)、2話分(90分)でお願いしたいです。出来れば2時間で。でも、3時間だと疲れてしまうので、嫌かも(笑)