今日は王位戦の最終局(2日目)。
現段階(午後5時40分)で、かなりの優勢。
心中に安堵の拡がりを感じつつ、この記事を書いています。と言っても、投了の声を聴くまで、安心はできません。
(他にもたくさん書きたい記事があるのに、わざわざ増やしてどうするんだと、自分で突っ込みたくなります)
昨日、心配で巷の声を拾っていたが、その中に「羽生三冠は最終局に部類の強さを発揮する」というものがあった。
しかし、私は「最終局に強くはない」というイメージを持っている。竜王戦でのあの3連勝4連敗、深浦九段に王位戦で連続3勝4敗で敗退、森内九段にも名人戦で2度、3勝4敗の苦杯を喫している。一度目の七冠挑戦も、谷川王将に3勝4敗で退けられている。
巷の声は正しいのか?……
★第1期……七冠達成まで(1989~1995年度)
この間は、まさに破竹の勢い(でないと、七冠は達成できない)。
タイトル戦の番勝負としての勝敗は、何と!25勝3敗(0.893)。7番勝負は9勝3敗、5番勝負は16勝0敗。
1局単位では88勝39敗で、さすがに勝率は7割を切る0.693。 と言っても、タイトル戦で7割近くは脅威の高率。
7割を切ると言っても、番勝負の星の流れも圧倒し、最終局までもつれ込んだのは、28シリーズのうち6シリーズのみで、最終局は5勝1敗。7番勝負では3勝1敗。5番勝負は2勝0敗。
19シリーズは星を2つ以上離しての勝利(内10シリーズはストレート勝ち)。
★第2期……王位戦(深浦戦)直前まで(1996年度~2006年度)
なぜ、ここで区切ったかというと、2007年度の最初のタイトル戦が第48期王位戦で、最終局までもつれ込み大熱戦の末、深浦八段(当時)に敗れたシリーズ。この後、最終局敗退のイメージが強くなった気がするからである。(この第2期までは、勝負強さを感じていた)
七冠達成後は、羽生将棋も研究され、将棋界全体のレベルも高くなり、タイトル戦敗退も増えてきた。特に、森内九段にはかなり痛い目に遭っている。
タイトル戦の番勝負は、41勝15敗、勝率0.732。7番勝負は22勝10敗、5番勝負は19勝5敗。相変わらずの強さ。特に1997年度の王位戦から2000年度の王座戦まで、出場したタイトル戦では連続15連続でタイトル戦勝利している。
1局の勝敗としてカウントすると、171勝97敗、勝率0.638。
最終局の成績は9勝5敗、0.642。物足りない気もするが、この間の全勝敗を少し上回っており、通常と変わりなしと言える。7番勝負では5勝2敗、5番勝負では5勝3敗。7番勝負で敗れる場合(失冠や挑戦失敗)は、1勝4敗や2勝4敗(0勝4敗も1度)が多く、“少なくとも最終局になれば勝つ”というイメージである。
★第3期……現在まで(2007年度~現在・2016年度棋聖戦)
深浦八段との王位戦の後、“アンダー羽生世代”(深浦、久保)や若手(渡辺、広瀬)らが、タイトルに絡むようになってきた。
と言っても、羽生三冠自体は、渡辺、森内以外には、ほとんど敗れていない(あとは久保、深浦)。
この間の戦績は、タイトル戦の番勝負としては29勝14敗、勝率0.674。7番勝負は12勝11敗、5番勝負は17勝3敗。1局の勝敗としては126勝86敗、勝率0.594。これまでに比べて、率を落としているが(渡辺と森内のせい)、それでも大した数字である。
最終局の成績は、9勝6敗、0.600。7番勝負では3勝5敗と負け越し、5番勝負では逆に6勝1敗と勝負強さを発揮している。以前の5番勝負(特に王座戦、棋聖戦)は、相手を圧倒するシリーズが多かったが、最近は若手の挑戦を苦労して退けている。7番勝負は最終局に限らず、(名人戦と竜王戦での敗退もあり、全般的に苦手にしているイメージがある。最近の王将戦も冴えない。最終局もその苦手を反映しているような成績である。
そんなわけで、7番勝負の最終局に関しては、大きな不安を持っていた。
でも、何とか勝ったようです!
今日負けて王位を失うと、王座戦で糸谷八段に3連敗を喫して大逆転での王座失冠というイメージが一気に浮かび上がるところでした。
全期間を通すと(今期の王位戦を加えて)、タイトル戦としては96勝32敗、勝率0.750(392勝225敗。0.635)。7番勝負は44勝24敗、5番勝負は52勝8敗。
恐るべき戦績です。
現段階(午後5時40分)で、かなりの優勢。
心中に安堵の拡がりを感じつつ、この記事を書いています。と言っても、投了の声を聴くまで、安心はできません。
(他にもたくさん書きたい記事があるのに、わざわざ増やしてどうするんだと、自分で突っ込みたくなります)
昨日、心配で巷の声を拾っていたが、その中に「羽生三冠は最終局に部類の強さを発揮する」というものがあった。
しかし、私は「最終局に強くはない」というイメージを持っている。竜王戦でのあの3連勝4連敗、深浦九段に王位戦で連続3勝4敗で敗退、森内九段にも名人戦で2度、3勝4敗の苦杯を喫している。一度目の七冠挑戦も、谷川王将に3勝4敗で退けられている。
巷の声は正しいのか?……
★第1期……七冠達成まで(1989~1995年度)
この間は、まさに破竹の勢い(でないと、七冠は達成できない)。
タイトル戦の番勝負としての勝敗は、何と!25勝3敗(0.893)。7番勝負は9勝3敗、5番勝負は16勝0敗。
1局単位では88勝39敗で、さすがに勝率は7割を切る0.693。 と言っても、タイトル戦で7割近くは脅威の高率。
7割を切ると言っても、番勝負の星の流れも圧倒し、最終局までもつれ込んだのは、28シリーズのうち6シリーズのみで、最終局は5勝1敗。7番勝負では3勝1敗。5番勝負は2勝0敗。
19シリーズは星を2つ以上離しての勝利(内10シリーズはストレート勝ち)。
★第2期……王位戦(深浦戦)直前まで(1996年度~2006年度)
なぜ、ここで区切ったかというと、2007年度の最初のタイトル戦が第48期王位戦で、最終局までもつれ込み大熱戦の末、深浦八段(当時)に敗れたシリーズ。この後、最終局敗退のイメージが強くなった気がするからである。(この第2期までは、勝負強さを感じていた)
七冠達成後は、羽生将棋も研究され、将棋界全体のレベルも高くなり、タイトル戦敗退も増えてきた。特に、森内九段にはかなり痛い目に遭っている。
タイトル戦の番勝負は、41勝15敗、勝率0.732。7番勝負は22勝10敗、5番勝負は19勝5敗。相変わらずの強さ。特に1997年度の王位戦から2000年度の王座戦まで、出場したタイトル戦では連続15連続でタイトル戦勝利している。
1局の勝敗としてカウントすると、171勝97敗、勝率0.638。
最終局の成績は9勝5敗、0.642。物足りない気もするが、この間の全勝敗を少し上回っており、通常と変わりなしと言える。7番勝負では5勝2敗、5番勝負では5勝3敗。7番勝負で敗れる場合(失冠や挑戦失敗)は、1勝4敗や2勝4敗(0勝4敗も1度)が多く、“少なくとも最終局になれば勝つ”というイメージである。
★第3期……現在まで(2007年度~現在・2016年度棋聖戦)
深浦八段との王位戦の後、“アンダー羽生世代”(深浦、久保)や若手(渡辺、広瀬)らが、タイトルに絡むようになってきた。
と言っても、羽生三冠自体は、渡辺、森内以外には、ほとんど敗れていない(あとは久保、深浦)。
この間の戦績は、タイトル戦の番勝負としては29勝14敗、勝率0.674。7番勝負は12勝11敗、5番勝負は17勝3敗。1局の勝敗としては126勝86敗、勝率0.594。これまでに比べて、率を落としているが(渡辺と森内のせい)、それでも大した数字である。
最終局の成績は、9勝6敗、0.600。7番勝負では3勝5敗と負け越し、5番勝負では逆に6勝1敗と勝負強さを発揮している。以前の5番勝負(特に王座戦、棋聖戦)は、相手を圧倒するシリーズが多かったが、最近は若手の挑戦を苦労して退けている。7番勝負は最終局に限らず、(名人戦と竜王戦での敗退もあり、全般的に苦手にしているイメージがある。最近の王将戦も冴えない。最終局もその苦手を反映しているような成績である。
そんなわけで、7番勝負の最終局に関しては、大きな不安を持っていた。
でも、何とか勝ったようです!
今日負けて王位を失うと、王座戦で糸谷八段に3連敗を喫して大逆転での王座失冠というイメージが一気に浮かび上がるところでした。
全期間を通すと(今期の王位戦を加えて)、タイトル戦としては96勝32敗、勝率0.750(392勝225敗。0.635)。7番勝負は44勝24敗、5番勝負は52勝8敗。
恐るべき戦績です。
10月からNHKでアニメが放映される「3月のライオン」では主人公をぼろぼろにする先輩棋士に木村八段がモデルの棋士が登場します。木村八段がモデルとなぜわかるかというと某有名かつらメーカーからCMの依頼がくるエピソードがあるからなんですが。アニメの一期ででてくるかどうかは微妙です。
木村八段は、3番目に好きな棋士だったので、複雑な思いです。
>木村八段がモデルとなぜわかるかというと某有名かつらメーカーからCMの依頼がくるエピソード
そうですか、そういう棋士が登場するのですか?
木村八段の気質を考えると、CMは断りそうな気がします。
私も『3月のライオン』は読んでいたのですが、途中から面白く感じなくなって、中断しています。
奇しくもこの二人は、タイトル戦で3連勝から4連敗を経験している将棋界でただ二人だけの棋士。しかも木村八段は、これで、「勝てば人生初タイトル」という将棋を8連敗だそうです。
終局直後の無言の姿は、胸を打つものがありました。
軽妙な解説や、扇子に「楽勝」と揮毫するファンサービス満点の木村八段。
必ずまた、他のタイトル戦の舞台で見たいです。
>奇しくもこの二人は、タイトル戦で3連勝から4連敗を経験している将棋界でただ二人だけの棋士
そう言えばそうですね。
“あの深浦戦をものにしておけば”という思いは強いですが、あれがあったこそ、今の木村八段があるのだと思います。
人気が高く、「一度はタイトルを獲って欲しい」という声が多いです。羽生三冠からタイトルを奪取するのは難易度が高いので、他のタイトルを目指せばよいという意見もありますが、「その場合、挑戦者決定戦までに羽生三冠を破らなくてはならない」という指摘もあり、なるほどと思いました。
「楽勝」と揮毫するのですか。「楽しんで勝つ」という意味でしょうか。私は「楽して勝ちたいです」