久しぶりのバスケットボールの記事です。
”久しぶり”という感覚はあったのですが、「ウインターカップ2019 [女子決勝]桜花学園-岐阜女子 (簡単感想)」で2019年12月31日以来というのはびっくり。本来ならば、吉田亜沙美の再引退、藤岡麻菜美の引退、昨年(2020年)12月の皇后杯などの記事を書かなければいけないのですが……なんという体たらく(ていたらく)!
正直言って、バスケットの記事は大変で、余力がない時に書くのは結構しんどいです。あ、でも、将棋の記事も、『相棒』のレビューも大変(ドラマレビューは手抜きはできるが、セリフを拾い出したら内容も濃密になって大変)。
………苦労が大きい記事でも、多忙な時でも、結局、悔しさや怒りや感動のエネルギーが大きければ書いてしまう。新型コロナウイルスに関しては、不満が溜まっているんだろうなあ…。将棋の記事なんかは、ある程度書いてエネルギーを発散させてしまい、放置してしまっている記事がたくさんあるような気がする……
記事が溜まっていることを言い訳に、簡単感想です。
ENEOSのスターティングメンバーは宮崎(167cm)、岡本(161)、林(173)、中田(182)、中村(178)。デンソーは稲井(166cm)、本川(176)、赤穂ひまわり(184)、赤穂さくら(184)、高田(183)。
スタメンの平均身長はENEOS172.2cm、デンソー178.6cm。平均身長の数値(172.2対178.6)だけ見ると、その差がピンと来ないが、平均身長差6.8cmは、とてつもなく大きい。特にフォワード、センター3人の平均身長の差は大きい(ENEOS177.7cm、デンソー183.7cm)。リバウンドやリング下のシュートなどのペイントゾーンで大きく劣勢に陥りそうな6cm差である。
ENEOSは吉田、大崎(旧姓・間宮)、藤岡の引退、故障の渡嘉敷、梅澤ガディシャ、大沼、その上、宮澤も肩の故障でスタメンから外れるという状況。
宮崎の成長や相変わらずの岡本の縦横無尽のプレーである程度の得点は見込めるとは言え、戦術の多彩さ、個々の能力の高さで、どこからでも誰でも得点できる従来チームと比べると、大幅な戦力ダウンは否めない。
特に問題なのは、渡嘉敷、大崎、宮澤の超強力ペイントゾーンの弱体化。これはスピードや運動量でカバーするしかない。(スピードで高さを補うと言っても、ENEOSは大型チームではあったが、吉田、岡本、藤岡、宮崎が組み立てるバスケはスピードもパスワークやコンビネーションも秀逸だった。なので、従来のチームと比較してまうと、“スピードでカバーする”という方策では難しいように感じるが、戦う相手は過去の自チームではなく、富士通やトヨタ自動車なので、スピードでカバーは有効な方策である。もっとも、スピードと運動量でカバーするしかないのだが)
デンソーは赤穂姉妹&高田の超強力ペイントトリオに得点力抜群の本川、この4人は全日本でもスタメン級のプレーヤー。ガードの稲井も冷静にオフェンスを組み立てるリードオフマン。万全なENEOSに対しても伍するチーム力を持っている。
ゲームは、高田を中心にスイスイ得点を挙げるデンソーに対し(高田はこの試合32得点)、宮崎と岡本のスピードとテクニックで何とか得点を挙げるENEOSで、前半は36ー36と得点上は互角。
第3Q中盤、ENEOSが44ー38とリードを奪い、《さすがENEOS、なんだかんだやっているうち、勝利するのかなあ》と思ったが、デンソーディフェンスがプレッシャーを強めると、オフェンスが停滞し、オフェンスが単独プレーになってしまった。ターンオーバーも増えた。デンソーもターンオーバーを犯すシーンもあったが、流れの良い3ポイントシュートや、オフェンスリバウンドを取り、セカンドチャンス、サードチャンスを活かして得点を重ねた。……第3Qを終え、デンソー56ー48ENEOS。第3Q中盤以降の得点は、デンソー18対4ENEOSと大差。
第4Q。ENEOSは中村が2度、ディフェンス陣が待ち構えているリング下に攻め込むがターンオーバーするなど、オフェンスが機能しない(第3Qでも同様なシーンが見られた。中村だけの問題ではなく、チームオフェンスの問題)。岡本と宮崎が何とかねじ込むだけ。対するデンソーはペイントゾーンを攻めるそぶりを見せてENEOSのディフェンスを収縮させて、フリーの状態からロングやミドルシュートを決めて得点を重ねていき、残り6分でデンソー67ー52ENEOSと得点差が15に開いた。
残り5分で69ー54と依然15点差。岡本がトップの3Pライン付近でボールを保持するも、他のメンバーに動きがなく、パスを出せずやむを得ずロングシュート。これがリングに吸い込まれ69ー56。このプレー、展開に窮したのか、他のメンバーが開いて、岡本のプレイゾーンを開けたのかは不明だが、ENEOSの望みをつないだシュートだった。
ここからENEOSの反撃が始まった。デンソーのエンドラインでのスローインからプレスをかけたのだ(実は、この1つ前のスローインの時も)。高田のやや不用意なスローインを宮澤がスティール。シュートを試みるが2人にマークされ無理だと見るや、身体を捩って後方へ執念のパスを出し、宮崎が3Pシュート。JX59ー69デンソー。
さらに、本川がペイントにボールを入れようとしたパス(これもかなり不用意)を宮崎がカット。素早くフロントコートにボールを運び、パスをもらった林が3Pシュート。外れたが、完全にENEOSペース。
デンソーの攻撃だが、パスが回らない。ENEOSはボールマンにプレスをかけ、パスカットにあと一歩だったが、アウトオブバウンド。デンソーベンチはタイムを取らない。宮崎の3Pシュートの時点、遅くとも本川のパスがスティールされた時点でタイムを取るべきだったと思うが、取らなかった。(アウトオブバウンド時はショットクロックが2.7秒だったので、取りにくい)
ここでスローインを受けた高田が、すかさずジャンプシュート。マークしていた宮沢が高田の肘に触れてしまい、ファール。非常にもったいないファール。フリーシュート2本を高田が決め、ENEOSの流れを止めたかに見えたが、宮崎がすかさずドライブインを決め、71ー61と再び10点差(残り3分49秒)。
デンソーのオフェンスだが、早い時点からENEOSがプレッシャーを与え続け、宮澤がパスカット。そのまま、ドリブルシュートを決め、ENEOS 63ー71 デンソー(残り3分34秒)。
ここでようやくタイムアウト。
デンソーのエンドラインからのスローイン直後から、ENEOSはまたもプレッシャーをかけ、あと一歩というところでファールを取られる。事なきを得たデンソーだが、《勝てそうだ》と思ったところから、点差もプレーも追い込まれた感がある。
スローイン後、本川が3Pシュートを放つが、外れる(シュートまでのパターンはよかったが、明らかに外れていた)。このリバウンドを宮澤が取りかけるが、手からこぼれ、デンソーのボールに(残り2分59秒)。
救われたデンソーだが、オフェンスがぎこちなく、本川のドライブをENEOSが2人でプレスし、ボールを奪う。石原が3Pシュートを放つが、外れる。
デンソーのオフェンス、稲井のドライブインに宮崎がファール(4つ目、チームファールも4つ目)。稲井のフリースロー。1本外し、ENEOS 63ー72 デンソー(残り2分26秒)。
ENEOSのスローインを今度はデンソーが激しく動き、チェックを強くして、パスカット。この辺り、じりじりした攻防が続く。デンソー・本川はオフェンスに時間をかけ、ショットクロック残り10秒まで動かず、そこからドライブイン。外れるも、リバウンドはデンソーが保持。ただし、リングに当たっていなかったので、ショットクロックが残っておらず、遠い位置から稲井がシュートを放つが届かず、ENEOSボール。
ここで石原がドライブを決め、しかも、ファールをもらいバスケットカウント。フリースローも決め、ENEOS 66ー72 デンソー(残り1分51秒)。
残り1分51秒で6点差。十分、射程距離だ。6点差と7点差は戦術的にも心理的にも大きな違いがある。
デンソーのオフェンス。パスを回すがシュートへのプロセスが開けない。ENEOSのマークも厳しい。結局、24秒バイオレーションになり、ENEOSボールに(残り1分27秒)。
ENEOS・宮沢のスローイン。ハーフライン付近の岡本へのロングパス。これを岡本がドリブルでフリースローライン付近まで持ち込み、サイドライン付近で開いていた林が3Pシュート……これが外れ、デンソーのオフェンス(残り1分22秒)。アウトオブバウンドがあり、デンソーのスローイン(残り1分10秒)。ここで、ENEOSがまたも激しいチェックで楽にボールを入れさせず、デンソーのパスミスを呼び、ENEOSボールに(残り1分9秒)。
ここで、スローインのボールを宮崎が受け、ふわりゆらりとドライブし、シュートイン!……ENEOS 68ー72 デンソー(残り1分04秒)。
デンソー・稲井がリング下に切り込み、斜め45度で開いていた高田にナイスパス。ほぼフリーの高田、当然3Pシュートかと思いきや、ドライブを選択。マークに駆け寄った宮崎が遅れ気味だったので、かわしてドライブもあり得るのだが、宮崎を払おうとした手が、突き飛ばす形となり、明らかなチャージング。攻撃権はENEOSに(68ー72、残り41.5秒)。(宮崎、足が攣(つ)る)
ショットクロック残り10秒で、ENEOS・岡本のジャンプシュートが外れ、宮澤が保持し、続けざまのシュート。これも外れ、今度はデンソーは保持するも、デンソーのパスに岡本がスチールを狙い、ルーズボールとなってコート外に出かけたところで、岡本がコート外にジャンプ、キャッチし体を捻って、宮崎にパス。パスを受けた宮崎はドリブルしながらマークマンとの間合いを計り、距離が空いたところで3Pシュート。かなりリングから距離があったが、ネットに吸い込まれた。ENEOS 71ー72 デンソー(残り12.6秒)
なぜ、宮崎へのマークが空いたのか?
宮崎をマークしていたのは稲井。しかし、稲井は宮澤をマークしていた赤穂さくらとスイッチして宮澤のマークへと反転して動いた。なので、赤穂さくらが宮崎をマークしなければならないのに、逆に2,3歩下がってしまった。マークが空いた宮崎、直前に足が攣ったこともあり、当然、3Pシュート。
不可解なのは、赤穂さくら。
ENEOS の宮崎・宮澤の二人の動きはピック&ロールぽい動きだったが、宮澤はスクリーンする意思は全くなく、稲井の後ろをすり抜けようとした。なので、稲井はそのまま宮崎をマークできたはず。実際、稲井もそのつもりだったが、なぜか赤穂が宮崎を注視して、宮澤のマークを外してしまう。それを見た稲井が、反転して慌てて宮澤のマークに向かった。
ここまでの赤穂さくらの動きも不可解だったが、稲井が宮澤のマークに向かったのなら、さくらは当然宮崎をチェックしなければならないはずなのに、なぜか引いてしまった。それから宮崎のマークに走ったが間に合わず……非常に不可解だった。
残り12秒6、1点差。デンソーは、高田にパスを入れる。ENEOSとしては、フリースローの上手い高田にはファールをしたくなかったが、高田に止む無しのファール。ところが、ここで 高田がフリースローを2本とも外してしまう。高田が1本落とすのも珍しいが、2本とも落とすとは!
残り5分で15点差になり、ようやく勝てそうだと思ったが、ミスが重なり、相当悪い流れで、逆転されるという恐怖や焦燥感。高田も自らのプレーに不甲斐なさを感じていたのかもしれない。フリースローが外れたリバウンドは、ジャンプボールシチュエーションになり、ボールの保持権はENEOSの番。
残りは7秒5。まだ、7秒5を守り切れば、デンソーの勝利となる状況だが、もう互角の勝負だ。いや、ENEOSが有利か。心理的にも有利だが、強引さに注意してドライブすればファールをもらえる公算が高い。ENEOSには、その打って付けの選手が宮崎と岡本の二人いて、マークしようにも分散は避けられない。岡本のシュートは外れたが、高田もファールを取られ、ENEOSの思惑通り、岡本のフリースローとなる。岡本、慎重に2本沈め、ENEOS 73ー72 デンソー(残り5秒1)ついに逆転!。
この時のENEOSのシチュエーションは、先ほどの《7秒5を守り切れば》というデンソーのシチュエーションと、時間的にはさほど変わらない。ただし、この時のデンソーの場合はエンドラインからのスローインで、フロントコートに持ち込むまでに2秒くらい要してしまう。さらに、ENEOSのようにセットプレーもできず、動きの中でプレーを選択しなければならない。稲井の放ったボールは、リングの縁を走るように跳ね、ボードにぶつかった後、床に落下した。………………大逆転でENEOSの勝利。
マリーナ・マルコビッチ デンソーヘッドコーチ「コメントをするのが難しい。ずっと良いプレーをしていましたが、最後に何が起こったのか分からないゲームでした」
(コーチは「38分」と言っているが)デンソーは35分間、非常に良いプレーをしたが、最後の5分間は空洞のプレーになってしまった。第4Qのタイムアウトが遅かったように思う。
高田32点7R、赤穂ひ11点8R5スティール、赤穂さ10点7Rと活躍。本川が不調で6点。2Pのフィールドゴールは0-7(3Pは2-4)だった。
ENEOSは岡本21点6R3スティール、宮崎21点8アシスト3スティールと縦横無尽の活躍。石原も要所で活躍(12点2スティール)、苦しい所を繋いでいた。
《岡本は最後までスピードが落ちずによく動くなあ。最後のフリースローも落ち着いて決めていたなあ》と感心していたら、
「今までで一番緊張した。1本外すと(同点になって、オーバータイム・延長戦なる)、もう体力が残っていないので」と。そうだったのか!
宮澤も21点7R3スティール。リバウンドを押さえたり、絡むので、相手の二次攻撃を阻んでいるのが大きい。高さがあるうえ、動きも早いので、相手のオフェンスへのプレッシャーを掛けられる。ただ、気になるのは……体重オーバーなのではないだろうか?皇后杯の時も感じたが、更に進行しているような気がする。若干、足腰が怪しかった。
”久しぶり”という感覚はあったのですが、「ウインターカップ2019 [女子決勝]桜花学園-岐阜女子 (簡単感想)」で2019年12月31日以来というのはびっくり。本来ならば、吉田亜沙美の再引退、藤岡麻菜美の引退、昨年(2020年)12月の皇后杯などの記事を書かなければいけないのですが……なんという体たらく(ていたらく)!
正直言って、バスケットの記事は大変で、余力がない時に書くのは結構しんどいです。あ、でも、将棋の記事も、『相棒』のレビューも大変(ドラマレビューは手抜きはできるが、セリフを拾い出したら内容も濃密になって大変)。
………苦労が大きい記事でも、多忙な時でも、結局、悔しさや怒りや感動のエネルギーが大きければ書いてしまう。新型コロナウイルスに関しては、不満が溜まっているんだろうなあ…。将棋の記事なんかは、ある程度書いてエネルギーを発散させてしまい、放置してしまっている記事がたくさんあるような気がする……
記事が溜まっていることを言い訳に、簡単感想です。
ENEOSのスターティングメンバーは宮崎(167cm)、岡本(161)、林(173)、中田(182)、中村(178)。デンソーは稲井(166cm)、本川(176)、赤穂ひまわり(184)、赤穂さくら(184)、高田(183)。
スタメンの平均身長はENEOS172.2cm、デンソー178.6cm。平均身長の数値(172.2対178.6)だけ見ると、その差がピンと来ないが、平均身長差6.8cmは、とてつもなく大きい。特にフォワード、センター3人の平均身長の差は大きい(ENEOS177.7cm、デンソー183.7cm)。リバウンドやリング下のシュートなどのペイントゾーンで大きく劣勢に陥りそうな6cm差である。
ENEOSは吉田、大崎(旧姓・間宮)、藤岡の引退、故障の渡嘉敷、梅澤ガディシャ、大沼、その上、宮澤も肩の故障でスタメンから外れるという状況。
宮崎の成長や相変わらずの岡本の縦横無尽のプレーである程度の得点は見込めるとは言え、戦術の多彩さ、個々の能力の高さで、どこからでも誰でも得点できる従来チームと比べると、大幅な戦力ダウンは否めない。
特に問題なのは、渡嘉敷、大崎、宮澤の超強力ペイントゾーンの弱体化。これはスピードや運動量でカバーするしかない。(スピードで高さを補うと言っても、ENEOSは大型チームではあったが、吉田、岡本、藤岡、宮崎が組み立てるバスケはスピードもパスワークやコンビネーションも秀逸だった。なので、従来のチームと比較してまうと、“スピードでカバーする”という方策では難しいように感じるが、戦う相手は過去の自チームではなく、富士通やトヨタ自動車なので、スピードでカバーは有効な方策である。もっとも、スピードと運動量でカバーするしかないのだが)
デンソーは赤穂姉妹&高田の超強力ペイントトリオに得点力抜群の本川、この4人は全日本でもスタメン級のプレーヤー。ガードの稲井も冷静にオフェンスを組み立てるリードオフマン。万全なENEOSに対しても伍するチーム力を持っている。
ゲームは、高田を中心にスイスイ得点を挙げるデンソーに対し(高田はこの試合32得点)、宮崎と岡本のスピードとテクニックで何とか得点を挙げるENEOSで、前半は36ー36と得点上は互角。
第3Q中盤、ENEOSが44ー38とリードを奪い、《さすがENEOS、なんだかんだやっているうち、勝利するのかなあ》と思ったが、デンソーディフェンスがプレッシャーを強めると、オフェンスが停滞し、オフェンスが単独プレーになってしまった。ターンオーバーも増えた。デンソーもターンオーバーを犯すシーンもあったが、流れの良い3ポイントシュートや、オフェンスリバウンドを取り、セカンドチャンス、サードチャンスを活かして得点を重ねた。……第3Qを終え、デンソー56ー48ENEOS。第3Q中盤以降の得点は、デンソー18対4ENEOSと大差。
第4Q。ENEOSは中村が2度、ディフェンス陣が待ち構えているリング下に攻め込むがターンオーバーするなど、オフェンスが機能しない(第3Qでも同様なシーンが見られた。中村だけの問題ではなく、チームオフェンスの問題)。岡本と宮崎が何とかねじ込むだけ。対するデンソーはペイントゾーンを攻めるそぶりを見せてENEOSのディフェンスを収縮させて、フリーの状態からロングやミドルシュートを決めて得点を重ねていき、残り6分でデンソー67ー52ENEOSと得点差が15に開いた。
残り5分で69ー54と依然15点差。岡本がトップの3Pライン付近でボールを保持するも、他のメンバーに動きがなく、パスを出せずやむを得ずロングシュート。これがリングに吸い込まれ69ー56。このプレー、展開に窮したのか、他のメンバーが開いて、岡本のプレイゾーンを開けたのかは不明だが、ENEOSの望みをつないだシュートだった。
ここからENEOSの反撃が始まった。デンソーのエンドラインでのスローインからプレスをかけたのだ(実は、この1つ前のスローインの時も)。高田のやや不用意なスローインを宮澤がスティール。シュートを試みるが2人にマークされ無理だと見るや、身体を捩って後方へ執念のパスを出し、宮崎が3Pシュート。JX59ー69デンソー。
さらに、本川がペイントにボールを入れようとしたパス(これもかなり不用意)を宮崎がカット。素早くフロントコートにボールを運び、パスをもらった林が3Pシュート。外れたが、完全にENEOSペース。
デンソーの攻撃だが、パスが回らない。ENEOSはボールマンにプレスをかけ、パスカットにあと一歩だったが、アウトオブバウンド。デンソーベンチはタイムを取らない。宮崎の3Pシュートの時点、遅くとも本川のパスがスティールされた時点でタイムを取るべきだったと思うが、取らなかった。(アウトオブバウンド時はショットクロックが2.7秒だったので、取りにくい)
ここでスローインを受けた高田が、すかさずジャンプシュート。マークしていた宮沢が高田の肘に触れてしまい、ファール。非常にもったいないファール。フリーシュート2本を高田が決め、ENEOSの流れを止めたかに見えたが、宮崎がすかさずドライブインを決め、71ー61と再び10点差(残り3分49秒)。
デンソーのオフェンスだが、早い時点からENEOSがプレッシャーを与え続け、宮澤がパスカット。そのまま、ドリブルシュートを決め、ENEOS 63ー71 デンソー(残り3分34秒)。
ここでようやくタイムアウト。
デンソーのエンドラインからのスローイン直後から、ENEOSはまたもプレッシャーをかけ、あと一歩というところでファールを取られる。事なきを得たデンソーだが、《勝てそうだ》と思ったところから、点差もプレーも追い込まれた感がある。
スローイン後、本川が3Pシュートを放つが、外れる(シュートまでのパターンはよかったが、明らかに外れていた)。このリバウンドを宮澤が取りかけるが、手からこぼれ、デンソーのボールに(残り2分59秒)。
救われたデンソーだが、オフェンスがぎこちなく、本川のドライブをENEOSが2人でプレスし、ボールを奪う。石原が3Pシュートを放つが、外れる。
デンソーのオフェンス、稲井のドライブインに宮崎がファール(4つ目、チームファールも4つ目)。稲井のフリースロー。1本外し、ENEOS 63ー72 デンソー(残り2分26秒)。
ENEOSのスローインを今度はデンソーが激しく動き、チェックを強くして、パスカット。この辺り、じりじりした攻防が続く。デンソー・本川はオフェンスに時間をかけ、ショットクロック残り10秒まで動かず、そこからドライブイン。外れるも、リバウンドはデンソーが保持。ただし、リングに当たっていなかったので、ショットクロックが残っておらず、遠い位置から稲井がシュートを放つが届かず、ENEOSボール。
ここで石原がドライブを決め、しかも、ファールをもらいバスケットカウント。フリースローも決め、ENEOS 66ー72 デンソー(残り1分51秒)。
残り1分51秒で6点差。十分、射程距離だ。6点差と7点差は戦術的にも心理的にも大きな違いがある。
デンソーのオフェンス。パスを回すがシュートへのプロセスが開けない。ENEOSのマークも厳しい。結局、24秒バイオレーションになり、ENEOSボールに(残り1分27秒)。
ENEOS・宮沢のスローイン。ハーフライン付近の岡本へのロングパス。これを岡本がドリブルでフリースローライン付近まで持ち込み、サイドライン付近で開いていた林が3Pシュート……これが外れ、デンソーのオフェンス(残り1分22秒)。アウトオブバウンドがあり、デンソーのスローイン(残り1分10秒)。ここで、ENEOSがまたも激しいチェックで楽にボールを入れさせず、デンソーのパスミスを呼び、ENEOSボールに(残り1分9秒)。
ここで、スローインのボールを宮崎が受け、ふわりゆらりとドライブし、シュートイン!……ENEOS 68ー72 デンソー(残り1分04秒)。
デンソー・稲井がリング下に切り込み、斜め45度で開いていた高田にナイスパス。ほぼフリーの高田、当然3Pシュートかと思いきや、ドライブを選択。マークに駆け寄った宮崎が遅れ気味だったので、かわしてドライブもあり得るのだが、宮崎を払おうとした手が、突き飛ばす形となり、明らかなチャージング。攻撃権はENEOSに(68ー72、残り41.5秒)。(宮崎、足が攣(つ)る)
ショットクロック残り10秒で、ENEOS・岡本のジャンプシュートが外れ、宮澤が保持し、続けざまのシュート。これも外れ、今度はデンソーは保持するも、デンソーのパスに岡本がスチールを狙い、ルーズボールとなってコート外に出かけたところで、岡本がコート外にジャンプ、キャッチし体を捻って、宮崎にパス。パスを受けた宮崎はドリブルしながらマークマンとの間合いを計り、距離が空いたところで3Pシュート。かなりリングから距離があったが、ネットに吸い込まれた。ENEOS 71ー72 デンソー(残り12.6秒)
なぜ、宮崎へのマークが空いたのか?
宮崎をマークしていたのは稲井。しかし、稲井は宮澤をマークしていた赤穂さくらとスイッチして宮澤のマークへと反転して動いた。なので、赤穂さくらが宮崎をマークしなければならないのに、逆に2,3歩下がってしまった。マークが空いた宮崎、直前に足が攣ったこともあり、当然、3Pシュート。
不可解なのは、赤穂さくら。
ENEOS の宮崎・宮澤の二人の動きはピック&ロールぽい動きだったが、宮澤はスクリーンする意思は全くなく、稲井の後ろをすり抜けようとした。なので、稲井はそのまま宮崎をマークできたはず。実際、稲井もそのつもりだったが、なぜか赤穂が宮崎を注視して、宮澤のマークを外してしまう。それを見た稲井が、反転して慌てて宮澤のマークに向かった。
ここまでの赤穂さくらの動きも不可解だったが、稲井が宮澤のマークに向かったのなら、さくらは当然宮崎をチェックしなければならないはずなのに、なぜか引いてしまった。それから宮崎のマークに走ったが間に合わず……非常に不可解だった。
残り12秒6、1点差。デンソーは、高田にパスを入れる。ENEOSとしては、フリースローの上手い高田にはファールをしたくなかったが、高田に止む無しのファール。ところが、ここで 高田がフリースローを2本とも外してしまう。高田が1本落とすのも珍しいが、2本とも落とすとは!
残り5分で15点差になり、ようやく勝てそうだと思ったが、ミスが重なり、相当悪い流れで、逆転されるという恐怖や焦燥感。高田も自らのプレーに不甲斐なさを感じていたのかもしれない。フリースローが外れたリバウンドは、ジャンプボールシチュエーションになり、ボールの保持権はENEOSの番。
残りは7秒5。まだ、7秒5を守り切れば、デンソーの勝利となる状況だが、もう互角の勝負だ。いや、ENEOSが有利か。心理的にも有利だが、強引さに注意してドライブすればファールをもらえる公算が高い。ENEOSには、その打って付けの選手が宮崎と岡本の二人いて、マークしようにも分散は避けられない。岡本のシュートは外れたが、高田もファールを取られ、ENEOSの思惑通り、岡本のフリースローとなる。岡本、慎重に2本沈め、ENEOS 73ー72 デンソー(残り5秒1)ついに逆転!。
この時のENEOSのシチュエーションは、先ほどの《7秒5を守り切れば》というデンソーのシチュエーションと、時間的にはさほど変わらない。ただし、この時のデンソーの場合はエンドラインからのスローインで、フロントコートに持ち込むまでに2秒くらい要してしまう。さらに、ENEOSのようにセットプレーもできず、動きの中でプレーを選択しなければならない。稲井の放ったボールは、リングの縁を走るように跳ね、ボードにぶつかった後、床に落下した。………………大逆転でENEOSの勝利。
マリーナ・マルコビッチ デンソーヘッドコーチ「コメントをするのが難しい。ずっと良いプレーをしていましたが、最後に何が起こったのか分からないゲームでした」
(コーチは「38分」と言っているが)デンソーは35分間、非常に良いプレーをしたが、最後の5分間は空洞のプレーになってしまった。第4Qのタイムアウトが遅かったように思う。
高田32点7R、赤穂ひ11点8R5スティール、赤穂さ10点7Rと活躍。本川が不調で6点。2Pのフィールドゴールは0-7(3Pは2-4)だった。
ENEOSは岡本21点6R3スティール、宮崎21点8アシスト3スティールと縦横無尽の活躍。石原も要所で活躍(12点2スティール)、苦しい所を繋いでいた。
《岡本は最後までスピードが落ちずによく動くなあ。最後のフリースローも落ち着いて決めていたなあ》と感心していたら、
「今までで一番緊張した。1本外すと(同点になって、オーバータイム・延長戦なる)、もう体力が残っていないので」と。そうだったのか!
宮澤も21点7R3スティール。リバウンドを押さえたり、絡むので、相手の二次攻撃を阻んでいるのが大きい。高さがあるうえ、動きも早いので、相手のオフェンスへのプレッシャーを掛けられる。ただ、気になるのは……体重オーバーなのではないだろうか?皇后杯の時も感じたが、更に進行しているような気がする。若干、足腰が怪しかった。