英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『家政婦のミタ』 第10話

2011-12-16 22:10:15 | ドラマ・映画
 ミタさん泣く
 ミタ(松嶋菜々子)の心を覆う氷が、阿須田家の面々の温かい心などによって徐々に融かされていく。
 しかし、今回、急ぎ過ぎというか、強引というか……ミタの心の変化を描くために、阿須田家の面々がその道具になってしまっていた。
 もちろん、海斗(綾部守人)の宿題の母親への感謝状のエピソードは秀逸で、毎回、核がしっかりしていて、感動してしまう。
 けれども、「一緒に食事しよう」とか希衣(本田望結)のランドセル購入につき合あってとか、「授業参観に来て」とか、「入学式に来て」とか、「耳かきして」とか、「勉強教えて」とか、ミタのダウンジャケットやキャップや腕時計について尋ねたりとか、ミタの心情にお構いなく、ズカズカ踏み入るような事ばかりする。前回、ミタが念を押したこと(食事する、出かける)さえ、お願いする。しかも、「念を押したはずです」とミタが言い、「念を押すって何?」と希衣が訊ねて、「約束すること」と結(忽那汐里)が説明したのにである。恵一(長谷川博己)も、「約束は守らないとダメだぞ」ぐらい諭さないと
 それに、ミタが渋ると呪文「業務命令(でいいから)」を唱える阿須田一家。「業務命令」というと柔らかい響きだが、結局「命令」だよね。
 それでなくとも、家政婦として阿須田家の世話をしたり、阿須田一家の団欒を見ることは、ミタが封印していた亡き夫と息子との思い出を呼び起こすことになるというのに。阿須田家の面々はまったく無頓着。


 ここまで先送りしてきた「自殺した母」「うららの恋心」のピースをここではめ込んできたか!
母への感謝状
 自分たちを残して自殺した母に、子どもたちは「捨てられた」という思いを抱えていたが、海斗に「母への感謝状」が出たことで、真正面から向き合うことになった。
 そういう気持ちから、素直に感謝状を書けないでいる海斗や他の兄弟に、「あれは事故です。母は後悔したはずです」と諭す。自殺した理由にするには苦しい説明で、自殺しようとした事実は変わらないが、母親の後悔したという気持ちを信じ、「事故」だと思うということでいいんじゃないかと思った。
 海斗の作文は素晴らし過ぎ!次に読む子がかわいそうかも。
 こっそり、花丸と「大変よくできたと思います」と書いておいたミタさん、なかなか乙である。私も嬉しくなってしまった。それに、こっそり廊下に来ていたし。

ヤケになるうらら
 恵一を諦めるために見合いをするが、やけくそ状態で見合いの席で悪態を突く。
 義之もうららの恵一への思いを察するが、複雑だろうねえ。

「あたしなんかいない方がいいんだって、みんなのために」
「あなた(見合い相手)の言うとおりにします。自分から何かやると、ろくなことないし」

 以前、結がミタとうららが入れ替わっている夢を見たが、上の台詞のうららの心境はまさにミタ状態。
 そんな中でも、うらららしさを発揮!……見合いの席のグラスには口紅がついていて、コースターがグラスから離れないし、結に見つからないよう柔道部のランニングに紛れ込んで身を隠そうとするが、なぜか突然、彼らが屈伸運動(笑)。
 自分をコースターに例え「いつも踏みつけにされて、必要じゃない時は付いてくる」……うまい!

 そんなうららも、恵一に自分の気持ちを告白(どこが良いんだろう?)

★融かされていくミタの心
思い出の遊園地で、いつものようにランチをテーブルに並べ…呟く
「ごめんね。二人とも責めてるでしょ、わたしひとりだけが幸せになるなんて。
あの人たちを愛してしまいそうで怖いの。
私が愛したことで、あの人たちが不幸になるのが怖いの。
だから、早くそっちに連れてって!」

涙をこぼすミタ。

 そこへ突然、阿須田家の子どもたちの姿が!(さすが、忍者(義之)の孫)
「自分を責めるのはやめて!」
「これからは、俺たちがこれ、全部食べるから」
と、みんなで無理やり食べ尽くす。
 なくならないランチをずっと見続けてきたミタの呪縛を解く様に、ランチが消えていく……

涙をぽろぽろ流しながら
「お願いですから、これ以上優しくしないでください(1オクターブ高い声)。
わたくしは、主人と息子が死ぬ前の私には戻れないんです。戻ってはいけないんです」

「私たちは、ミタさんに愛されても、絶対死なない。どんなに辛いことがあっても、絶対幸せになる。だから、一緒に帰ろう、ミタさん」

泣けますね……


 一段落して、阿須田家の一幕

業務命令で「笑って」とお願いするが、やはり、拒否されるが、
「笑う以外なら、何でも聞いてくれるんだよね」と切り出す。
「私にできることなら」とミタ。
なかなか交渉上手だ。
そこで、希衣の奥の手、「ミタさんの石」を出し
「私のお母さんになって」と。

「承知しました」………え?

その他、突っ込みなど
①「母の死は事故だった」と気持ちに決着をつけた子どもたち、しかし、恵一も「もう、過去の事をぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ後悔するのは止めます。……これから、子どもたちと一緒に今と未来だけを見つめて生きていきたいんです。……」
 あんたは過去を背負って生きなきゃいかんだろ!
②隣のおばさんは、最後までひどい奴だった。少しは反省するかと思ったが。人に「死ね」と言ったのに、自分は全く悪くなく、全部人のせいにする、ある意味「幸せな人」である。
③海斗の担任は教師を辞めるべき。母親を亡くしたばかりの児童がいるのに、あんな宿題、しかも授業参観の日に発表させるなんて。書くのはもちろん辛いし、皆の発表を聞くのも辛いだろう。

今週のミタさん
・人間だった……ぼんやりしたり、赤い血を流した
・ゴルゴでもなかった

今週のミタえもんのカバン
 しょうが湯、ばんそうこう、ライター


【ストーリー】(番組サイトより)
 再び阿須田家で働くことになった三田(松嶋菜々子)は、亡くなった夫と息子の幻覚をたびたび見るようになる。三田は激しく動揺する。

 海斗(綾部守人)は、授業参観で母親への感謝状を読むことになった。自殺した母への思いを書くのをためらう海斗に三田は声をかけそうになるが・・・

 一方、恵一(長谷川博己)への思いを断ち切りたいうらら(相武紗季)は、やけになって見合いをする。阿須田家の人々は不思議に思う。うららの真意を知っている三田は、思わず自分から口を開こうとする。三田の中で何かが変わり始めていた。晴海(白川由美)は「言いたいことがあったらあれすれば?人間らしさを取り戻そうとしているのよ」と、三田を励ます。

 海斗は、納得できないながらも父親への感謝状を書き始めていた。三田は、海斗から書きかけの作文を取り上げて破り捨て、「お母様への感謝状を書くべきだ」と初めて自分の意見を言う。

 阿須田家の人々への愛情が深まる三田。海斗は母への思いを作文に書いた。恵一は三田に「授業参観に行ってほしい」と頼むが・・・

 そんな矢先、夕食の準備をする三田を手伝おうとした希衣(本田望結)が火傷を負ってしまう。やはり自分が周りの人を不幸にするという呪縛から逃れられない三田は遊園地へ赴く。

 死んだ夫と息子の幻覚と向き合うために…。
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『科捜研の女』 第9話「警察犬vsDNA鑑定 アリバイ崩しの誤算」 【追記あり】

2011-12-16 17:21:49 | ドラマ・映画
新メンバー加入
 物理研究員・乾健児(泉政行)が、前話、東京にいる父の看病のため退職した。その前のエピソードの時、多少の前振りがあったが、かなり唐突。前話で父とのことで悩むいぬいが描かれていたが、最後の方までやめるような雰囲気がなかったので、ラストで「えっ、辞めちゃうの?」という感じだった。
 代わりに加入したのが、相馬涼(長田成哉)。思ったことをストレートに口にし、行動もマイペースで、一緒に仕事をするのは遠慮したいタイプだ。
 しかし、榊マリコ(沢口靖子)に遠慮がちな他の所員が言えないことをマリコに対しても発言したり(口走ったり)、彼の無頓着な言動に過激に反応する吉崎泰乃(奥田恵梨華)の様子が面白かった。
 また、民間の嘱託指導員・神林彩(森田彩華)と嘱託犬で柴犬のハナが可愛い。特に登場のシーンは微笑ましかった。

無理がある犯人の行動
 犯人の匂いを追うため、警察犬担当の香坂怜子(伊藤かずえ)がハリーが出動し容疑者を突き止めるが、アリバイがあり、失敗?
 玲子のハリーを信じる心と、事件の真相を科学で突き止めようとするストーリーであった。時間が経過しており、ハリーの老化?と疲労、柴犬・ハナの愛らしさと頼りなさで、ハラハラの展開だった。
 しかし、その展開にするために、犯人の行動が不可解なものになってしまった。
 二人が組んで犯行を行うと言っても、実際は単独行動で、実行しない方は何の助けもしていない。普通の単独の引ったくりとどこが違うのかが分からない。それなのに、奪った金は山分けなんて、どう考えても不合理。
 今回、岩谷修司(宮崎吐夢)が引ったくりを実行して、その結果、殺人まで犯してしまった。コンビのもう一人の金田陽一(松尾諭)に相談するが、普通、関わりがない、自分とは関係ないと突き放すのではないだろうか?
 それなのに分け前をもらうなんて、間の抜けた話だ(その1万円札が共犯の証拠となってしまう)。

 ハナの活躍により、岩谷を突き止めたが、大騒ぎになり岩谷に気づかれてしまう。挙句の果てに、「岩谷だ!」と大声で叫び(逃げろと言ったようなもの)、逃げられてしまう。
 ここで、しっかり彼を確保しておけば、彼は殺されずにすみ、金田も殺人を犯さなくてすんだのに。大失態だと思う。土門(内藤剛志)さんも、しっかりして欲しい。

 ハリーの失敗か?というドキドキ感を出すため、犯行を歪なものにしてしまった点は残念だ。

【ストーリー】(公式サイトより)
京都市内の路上で、男性がひったくり犯に刺されて死亡する事件が起きた。被害者・沢村大輔(真鍋拓)は婚約者の梓麻衣(小野真弓)とデート中で、麻衣のバッグをひったくった犯人を捕まえようとして、刺されてしまったらしい。

現場に急行した榊マリコ(沢口靖子)たち科捜研メンバーは、刑事と押し問答している若い男を見てビックリする。彼こそ、その日から科捜研に物理研究員として配属された相馬涼(長田成哉)で、相馬はなぜか科捜研に顔を出すより先に捜査一課に挨拶に赴き、そこで第一報を聞いて現場までついて来たという。

「まずは科捜研に行って、所長の指示を仰いで」というマリコの言葉も聞かず、相馬は勝手に検査機器を持ち出して現場近くの血痕を捜索、犯人が落としたらしい手袋を発見する。

まもなく、逃亡した犯人の足跡を追うべく、警察犬のハリーと鑑識の警察犬担当者・香坂怜子(伊藤かずえ)が出動してきた。ハリーは相馬が発見した犯人の手袋の匂いを追跡、宅配便のアルバイト・金田陽一(松尾諭)に向かって吠えたてる。ところが、金田の顔を見た麻衣は、彼は犯人ではないと否定して…!?

【ゲスト】伊藤かずえ 森田彩華 小野真弓
【脚本】櫻井武晴
【監督】伊藤寿浩

-追記-
 ハリーが現場から匂いを追って金田にたどり着きましたが、岩谷と金田が接触し、その時に付いた匂い、あるいはひったくりの分け前の1万円札に、ハリーが反応したことになる。
 ということは、岩谷の逃走経路にたまたま仕事中の金田がいた時、匂いを追跡中のハリーが出会わしたことになり、相当不自然な偶然である。
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『謎解きはディナーのあとで』 第9話 「聖夜に死者からの伝言をどうぞ」

2011-12-15 17:25:15 | ドラマ・映画
 今回は、謎解きは来週でということで、推理についてはあまり言うことはないです。麗子(北川景子)が影山(櫻井翔)を小馬鹿にするという逆バージョンがあったが、どうせ裏があるんだろうと思うと、得意気な麗子が哀れに思えてしまう。
 また、正調「小馬鹿シーン」も影山が何かを隠しているせいで、切れがないように思えた。

 そのかわり、風祭警部(椎名桔平)が大暴れ。
風祭警部の独演会
①凶器発見時の驚く視点の違い…「僕も同じもの(トロフィー)を持っている」
②変な自慢…肩を壊すというジンクスを破った(肩を壊すほど投げる機会がなかった?)
③数々の?動機…ねたみ、嫉妬、ジェラシー(全部、同じです)
④人の話を聞け!
  麗子「犯人は最初から剣持留美(上原美佐)を殺害つもりで呼び寄せたのではないでしょうか?」
  警部「いいや!これは何者かが剣持留美を呼び出すために仕掛けた罠なのさっ」
  麗子「だから、私、そう言ったじゃないですか!」
  警部「ぅん?」
⑤変な自信
「あ~あ、まったくわからない。だからその辺のことは無視しよう。意味不明な行動に振り回される必要はない。なにしろ、ダイイングメッセージがあるんだからねえ」
⑥意味不明、もしかして、駄洒落?
「アリバイなんて、バイバイッ」
⑦意味不明Ⅱ
「めり~、かざまつりっ!」Ⅹ(えっくす)のポーズを取る
⑧意味不明Ⅲ
「えっっくす!」(ポーズ決め)
「もしかして、大きな声で叫ぶと、何か起こるのかもしれないと思ってねぇ」

 影山が犯人と思わせる展開で、事件のキーポイントを隠しているので真相が見えてこない。
 「突っ込み」は得意でも「推理」は苦手な私だが、一応、整理してみます。
A犯行の状態からの考察
 招待状を出したことから計画的(今のところ誰が出したか不明)。犯行が計画的だとするとあらかじめ凶器を考えるはずで、凶器のトロフィーが編集者・佐藤武雄(石黒賢)の少年時代のモノであり、その存在を知る者は少ないので、犯人は佐藤ということになる。
B顔をあまり見せない天道静子(高橋ひとみ)
・本当に実在するのか?
・2時ごろに倒れていたのは、本当に天道本人なのか?…既に殺されていた留美
・天道が沙織のアリバイを証言するはずはないと思っていた様子の影山……影山は天道はいない(亡くなっている)はずと思っていたのではないか
C宮地沙織(三浦理恵子)のアリバイ
 沙織のアリバイを天道が証言。しかし、この天童が沙織だとすると沙織犯人説が有力となる。凶器をトロフィーにしたのは佐藤に罪を着せるため。
キーポイント、キーワード、謎
・昔、バースデーケーキを買いに来た子、天道の娘・里美(菊池和澄)はクリスマスケーキを買いに行く→店員が間違えて渡す、ふたりの交流
・影山は何を探していたのか?
・沙織を誰が殺したのか?(佐藤しかいない)
・事情聴取中、里美は何故倒れたか?…犯人の目星がついた?
その他
 真下の部屋に物を投げ入れるのは至難の業

 来週の最終回は30分拡大スペシャルだそうです。影山を犯人に見せかけ、来週に引っ張り視聴率をアップし、最終回開始間もなく事件解決し、別の事件(進展)という2話構成なんてないよね。
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女流棋士トップの棋力 【補足あり】

2011-12-14 22:47:57 | 将棋
 昨日、「将棋雑感 各棋戦状況」という記事で、シゲさんからコメントをいただき、女流棋士トップの棋力の言及において不十分な点があったことに気づきました。

 まず、その記事でのコメントをご紹介します。

*************************************
初めてコメントします。「女流のトップは奨励会1級程度という見られかたをされるかもしれない。」とありますが、今の女流棋士が全員10代に戻って1級編入試験を受験したとしても、合格するのは簡単ではないというのが今回の結論です。今の奨励会1級女性の加藤さん、伊藤さん、里見さんが相手では皆さん強すぎて、たとえ清水六段でも2勝するのは容易でないでしょう。持ち時間1時間なので、早見えする人でないと厳しいようですが、如何ですか?
*************************************


 なるほどと思いました。私の記事は不正確、不十分でした。
 そこで、次のようなレスをしました。

#####################################
確かに仰る通りで、清水女流六段が女流のトップと考えるのならば、「奨励会1級以下」いえ、「1級未満」といった方が妥当だと思います。
 で、「女流棋士のトップ」という表現ですが、①第一人者のみを指すのか、②トップグループを構成する数人を指すのかで、若干変わってきます。
 ①清水女流をトップと位置づけるのは、現在タイトルを保持していない点から言うと不適当ですが、女流名人位戦A級リーグで2年連続全勝という点を考慮すると、トップ(トップグループの意味ではなくランク1位)に準ずる位置と言えばいいのでしょうか?
 まあ、世間的には清水女流がトップと考えるでしょうから、「1級未満」と表現すべきですね。
 ②トップグループという見方をすると、里見女流三冠の捉え方が問題になります。
 彼女をトップと見ると、現在奨励会1級で勝率がほぼ5割なので、女流のトップは「1級程度」でいいような気がします。
 しかし、奨励会に在籍するので、純粋な女流棋士と言えないとするならば、彼女を除外して考えないといけません。
 女流棋士のトップグループは奨励会の何級かについては、このコメントを含めて、新たな記事で述べたいと思いますが、現状の返答としては「奨励会1級以下」とさせてください。本文も訂正しました。
 持ち時間1時間では、加藤さん、伊藤さん、里見さん相手では厳しいと思います。
#####################################


 世間では、短絡的に清水女流六段=女流トップで、「女流トップが奨励会1級に破れた」=「女流棋士は奨励会1級より弱い」というふうに捉えるだろうなあと思い、表現や内容の吟味がゆるくなってしまいました。
 今日の記事では、個人の話ではなく、女流のトップグループの棋力について考えたいと思います。

 さて、里見女流三冠の奨励会での現状、加藤奨励会1級、伊藤奨励会1級の女流王座戦での成績などを考慮すると、上述のように「女流棋士のトップは奨励会1級以下」が妥当のように思います。
 しかし、「奨励会1級」の実力がよく分からない。単純に考えると、プロ棋士と認められる四段の4階級下の棋力ということになり、かなりの実力差があると思われるが、実際は段級の額面ほどの差はない。
 奨励会の段級は(プロ棋士もそうだが)相対的なもので、絶対的なものではない。1級者全員が高レベルでしかも微差で切磋琢磨している場合、お互いが星をつぶしあい、なかなか1級から抜け出すことが出来ない状況になっている場合だって考えられる。
 さらに、時代によってもその棋力は上下している。最近は羽生効果やインターネットなどによる情報の質・量の高レベル化による棋界全体の棋力がアップしたと言われている。当然、アマチュア、小学生、奨励会も棋力アップしている。その中で切磋琢磨している奨励会員、一方、四段クラスのC級2組やフリークラスに在籍する中堅棋士とでは額面通りの差があるとは思えない。
 このように書くと、新四段は簡単に中堅、ベテラン棋士に勝って、順位戦で好成績を上げられるかというと、そう甘いものではない。今まで短時間の将棋しか指しておらず、順位戦の長時間の持ち時間と独特な雰囲気、そしてベテラン棋士の老獪な差し回しに翻弄される新四段も少なくない。
 それはともかく、奨励会1級は時代や奨励会全体の棋力の分布状況で変動的であり、また、世間一般が考えるより遥かにレベルが高いと言える。

 以上のことを頭において、女流棋士トップの棋力はどのくらいかを検証してみたい。
①元奨励会員の女流棋士での考察
 矢内女流四段は奨励会を2級で退会しているが(2001年1月)、当時は奨励会と女流棋士の両立が認められていて、女流棋戦でも活躍している。ウィキペディアによると1998年2級に昇級しているが、それ以前の1995年10月に女流王位戦で清水市代に挑戦するが、0-3で敗れている。また、1997年10月に女流王位戦で清水市代を相手にフルセットを制し、初タイトル獲得している。翌年、清水相手に防衛失敗。その後も退会するまで、2度倉敷藤花戦で清水に挑んだが、いずれも0-2で敗れている。
 矢内女流を物差しとすると、女流トップ(この場合は清水女流)は当時の奨励会2級以上となる。

 甲斐智美女流王位の場合、途中から奨励会と女流の両立が認められず、1998年女流名人位B級でA級昇格の成績を上げたものの女流棋士を休会し、奨励会に6級で入会。2003年8月 、奨励会を2級で退会(最高位は1級)し、2010年4月にマイナビ女子オープンで矢内を下して女王位についている。
 甲斐女流の場合は、奨励会退会直後にはそれなりの成績は上げたが、女流のトップに居たとは言えず、退会後に地道に実力を伸ばしてきた印象だ。となると、奨励会2級より女流トップは上となる(当時において)。

 その他の奨励会経験者は中井女流六段、千葉女流四段、竹部女流三段がいるが、中井さんはだいぶ前なので(ごめんなさい)、今回は省略。竹部女流は奨励会の級位が不詳なので、今回は省略。千葉さんの場合、2005年に中井さんを降して女流王将位についていて、奨励会退会後かなりの時間を経過したが、7回目の挑戦で悲願達成ということなので、退会後、女流のトップに近い成績を上げていたと言える。

 以上から、過去の奨励会に在籍した女流棋士の実績からは、女流のトップは少なくとも当時の奨励会2級以上はあったということになる。

 【補足】
 岩根忍女流二段を失念していました。岩根さん、申し訳ありませんでした。
 岩根女流は1995年、奨励会に6級で入会し、2004年、奨励会を1級で退会している。2004年に女流1級でで女流プロに編入している。え?奨励会1級なのに女流1級?
 その後、2006年にきしろ杯で優勝しているが、奨励会1級に見合う活躍はしていない。女流棋戦独特の雰囲気…があるかどうかは不明だが、女流棋戦に馴染まなかったのかもしれない。あるいは、約10年在籍した奨励会を退会した傷が深かったせいかもしれない(想像です)。
 2009年になると、1月、きしろ杯で2度目の優勝を果たし、3月、マイナビ女子オープンの挑戦者となる(矢内女王に0-3で敗れる。タイトル戦第1局後出産し、日程をずらして第2局、第3局を行った)。
 2010年、 倉敷藤花戦で、里見香奈倉敷藤花に挑戦、惜しくも1-2で敗れる。
 NHKアナウンサーの妻(夫がどんな職業でも大変です、はい)として、二児の母として、棋士として大変な面もあるが、その実力を発揮しつつある。
 



②男性棋士との対戦成績
 将棋連盟のホームページ(記録のページ)によると、今年度の女流棋士の対男性棋士の成績は、5勝24敗、勝率.172。ちなみにアマチュアと男性棋士との対戦成績は3勝14敗で勝率.176であるので、女流トップはアマチュアトップと同レベルではないかと思われるが、そうではない。
 アマ棋士が男性棋士と対局する場合、新四段や若手棋士がほとんどで、女流棋士はそうでない棋士も含まれている。
 アマトップの棋力を計るのに適任の人物がいる。それは瀬川晶司四段で、氏は奨励会の三段まで上ったが、三段リーグには4年(8期)在籍したが、中位以下の成績にとどまり年齢制限で退会している。
 その後、アマチュア棋界で活躍し、アマ名人にもなっている。銀河戦などのアマプロ戦の活躍が目覚ましく(17勝6敗、勝率0.739……早指し戦で対局相手も少し……)、プロ編入試験の機会が与えられ、見事クリアして念願の棋士になっている。

 三段リーグで苦労した氏が、アマトップになったということは、アマトップは三段よりやや下と推定されるが、1人についての考察なので、信憑性に欠けるかもしれない。
 そこで、レーティングを算出しているサイト「将棋連盟 棋士別成績一覧」
「2011年度 棋士ランキング」によると、奨励会員(三段)は1501点で92位勝又清和六段と同点、アマチュアトップは1382点で133位の富岡英作八段(1395点)の下、女流棋士は1212点で158位(最下位)の武者野勝巳七段(1227点)の下となっている。
 トップは渡辺竜王・王座1907点、2位は羽生王位・棋聖1891点、3位3 広瀬七段 1809点、4位郷田九段1806点、5位佐藤九段1792点、6位豊島六段1789点、、7位丸山九段1780点、8位久保棋王・王将1770点、9位佐藤(天)六段1765点、10位深浦九段1752点。
 1900点付近が時代を背負う超一流棋士、1800点付近が九段格(トップ棋士)と考え、100点が1段差と単純に考えると、1700点八段、1600点七段、1500点六段、1400点五段、1300点四段、1200点三段となり、奨励会三段は六段、アマトップは五段弱、女流トップは三段に相当することになる。
 これを奨励会三段を基準にすると1500点が三段で、アマトップは二段弱、女流トップは奨励会1級となる。

 ということで、今回の結論として女流トップは奨励会1~2級とさせていただきます。
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将棋雑感 各棋戦状況

2011-12-13 19:22:41 | 将棋
★竜王戦
 4-1で渡辺竜王が防衛。
 強い。強さの王道を歩んでいる。丸山九段も手段を尽くしたが、角換わり腰掛銀の先手番で主導権を握るのがやっとという感じ。微差で終盤に持ち込まれると、丸山九段が勝つ気がしなかった。
 丸山九段については、いろいろ思うことがあるが、長くなるのでまた別に機会に。
 【参考記事】
「竜王戦第一局 渡辺圧勝」(10月24日記事)
「竜王戦第三局 ~油断~」(11月15日記事)

★日本シリーズ
 羽生王位・棋聖が渡辺竜王・王座に逆転勝ち。最近死語に近くなったが、久々の「羽生マジック」が出た。個人的には、この言葉、好きではないのだが、それを使用したくなるほど、羽生ファンにとっては嬉しい勝利だった。ここのところ、王座戦0-3を含めて、竜王にはやられっぱなしだった。
 それはともかく、羽生二冠、早指し将棋は強い(NHK杯3連覇中、日本シリーズも連覇)

★順位戦
 羽生二冠が6連勝。1敗同士の対局は谷川九段が渡辺竜王を下し2位をキープ。羽生ー谷川の大一番は一局挟んだ第8戦目に組まれている。
 B級1組は橋本七段(順位12位)が6勝2敗でトップ。順位5位の行方八段と順位6位の山崎七段が6勝3敗、順位3位の深浦九段が5勝3敗で続いていて、橋本七段自身も「残り4局もあるので、まだまだ大変」という旨の発言をしている(『囲碁・将棋フォーカス』)。
 それでも「残り一人の昇級者が誰になるのか…」というリップサービスを忘れないのが氏らしい。橋本七段の最終局は深浦九段、これが大一番となりそうだが、意外と両者が抜け出し来期A級の9位争いとなっているかもしれない。
 それよりも次次局の阿久津七段の嫌がらせ?が要注意だ。
 B級2組は広瀬七段が7戦全勝。別格の強さを見せている。ここ数年、広瀬七段の順位戦7局目までは勝率10割に近いのではないだろうか。
 1敗で畠山(成)七段(順位8位)、2敗で中川八段(3位)、北浜七段(4位)、南九段(12位)、飯塚七段(16位)、森下九段(23位)で続いているが、昇級は北浜七段までに絞られた感がある。南九段以下は、自らが残り3戦全勝をしても、上位4人のうち3人が崩れないと逆転できない。(「崩れる」というのは、広瀬、畠山が2敗、中川、北浜が1敗すること)望みは薄い。

★王将戦
 今期も屈指の強力メンバーがそろった挑戦者決定リーグ、そして、今年も豊島六段が、広瀬七段、三浦八段、森内名人、佐藤九段、羽生二冠を連破して5連勝。昨年の挑戦が勢いだけでないことを立証した。
 この時点で可能性があるのは、3勝1敗の佐藤九段のみ。最終日が空き番の豊島六段は他のメンバーとは1局先に最終局を迎える。ここで勝てば、文句なしの全勝での挑戦権獲得。しかし、渡辺竜王がA級の意地を見せ連勝を止めた。
 しかし、5勝1敗で日程を終え、対抗の佐藤九段が羽生、広瀬を連破してようやく同率決戦に持ち込めるという状況なので、豊島六段絶対有利と見られた。しかし、ここで佐藤九段が三連勝し、大逆転の挑戦権獲得。強い時の佐藤九段は本当に強い!
 この最強リーグの最終成績は、佐藤九段、豊島六段5-1、渡辺竜王・王座4-2、羽生王位・棋聖3-3で以上が残留。陥落は広瀬七段3-3、三浦八段1-5、森内名人0-6。

 さて、このリーグ戦の結果で、言いたいことがあるのですが、その内容を想像がつく方は、かなりの当ブログ通ですね。(近々書きます)

★棋王戦
 勝者ゾーンは郷田九段、敗者ゾーンは広瀬七段が勝ち上がった。
 居飛車正統派の郷田九段が、久保棋王・王将の振り飛車をどのように撃破するのか、あるいは久保二冠が郷田九段の豪腕をどうかわしていくのか観たいが、久保、広瀬の振り飛車王決定戦も観たい。
 まずは、挑戦者決定戦の郷田-広瀬戦が楽しみだ。

★女流王座戦
 女流棋界に君臨してきた清水女流六段と加藤奨励会1級という興味深い対戦となったが、3勝2敗で加藤奨励会1級が初代の王座に就いた。
 安直には結論づけられないが、世間的には女流のトップは奨励会1級以下(記事アップ当初「1級程度」という表現をしましたが、「1級以下」に訂正します)という見られかたをされるかもしれない。
 近年、独自の指し回しで女流棋界に君臨してきた清水女流六段、例えば、ゴキゲン中飛車に対する6三金型など玉が薄くなり、指しにくい、勝ちにくい指し方だと言える。しかし、里見女流三冠、甲斐女流王位らは優位に持ち込むものの、粉砕するに至らず混戦に持ち込まれている。清水女流六段はこの戦型の弱点や強みを熟知していて、それに適応した指し方や大局観を持っており、対局者は慣れていない。
 また、清水女流六段は、(戦型によらず)勝負形に持ち込む指し方は流石であった。
 しかし、勝ちを読み切る気力・棋力が少し足りないように感じる。そのせいで、終盤、最終的に競り負けてしまうことが多い。中盤で時間を消費し、時間切迫して苦しい終盤戦になる。そして、この時間切迫なることこそ、「清水将棋」に染みついた中盤~終盤重視の将棋の作りによるもので、弱点と言えるかもしれない。
 数年前までは終盤までに自分の得意な局面に持っていけば、勝てていた。そういう、姿勢が終盤を弱くしていった。ここ1、2年は、「時間切迫で勝てなかったのではなく、時間がある程度あっても勝てなかった」、そんな風に感じるのである。

★女流名人位戦A級リーグ
 清水女流六段が二年連続で九戦全勝で挑戦権獲得。他のメンバーがだらしがないと言わざるを得ない。
 降級は4勝5敗の中井女流六段、千葉女流三段、1勝8敗の早水女流二段。4勝5敗が6人並ぶ大混戦で、順位下位の両者が降級となった。
 応援している矢内女流四段と中井女流六段と千葉女流三段のうち、ふたりが降級という傷心の結果だった。わりと有利な立場の二人が揃って負け、他の対戦も両者が降級するように作ったようなよもやの結果だった。
 矢内さん、甲斐女流王位に勝って奈落(B級)に叩き落とさんとダメでしょう!
(矢内さんは甲斐さんに女王位を奪取され、その年にA級陥落し、一気に女王から平民に陥落してしまった)
 早水さん、どうせなら全敗してくれれば良いのに、なぜ、千葉さんに勝つ?
(私が早水さんの立場でも全敗は避けたいし、どんな対局でも全力を尽くす)
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不思議な採点 パトリック・チャン

2011-12-12 23:16:54 | スポーツ
 フィギュアスケート、グランプリファイナルが終了しました。
 このシリーズ、6カ国を転戦しその獲得ポイントの上位6名がファイナルに進出するというシステムで、選手も主催者もテレビ局もなかなか大変なのではないだろうか。視聴者も全部見るのは大変で、NHKが放送していた頃は、シングルだけはなくペアやアイスダンスも放送してくれたので、もっと大変だった。(テレビ朝日は、ペアやアイスダンスはフィギュアスケートではないと思っているらしい)
 今年になって、参加選手の規定が変更されたようで、前年までは1大会の参加者が12名だったが、それが10人に減った。理由は知らないが、多くの選手を見たいので残念な変更だ。
変更はもう一点あり、前年度の世界選手権の6位までの入賞者には3回出場することが可能になったらしい。参加選手が10人に減らされ、有力選手には出場機会が増えるという不公平な変更だ。
 もともと、このポイント制には問題点がある。演技の点数ではなく、順位による獲得ポイントによってファイナル進出を争うので、高得点を上げて順位が3位と皆が不調、或いは有力選手が少なくて(主催者が調整すると思うが、それでもバラつきが生じる)、得点が低くて1位とでは、1位の方がポイントが高くなってしまう。
 今シリーズ、女子シングルでは、コストナーとレオノアが3回出場の権利を行使した。3回出場してその良い所取り(良い結果2つを合計すればよい)なので、かなり有利である上、大会のレベルに偏りが生じる可能性が増す。昨年までは、前年度世界選手権の上位6人をシード選手として、抽選で均等に割り振っていた。実際に、出場3回目のロシア大会に2位に入った
レオノアがファイナルに進出している。

 と、またしても前置きが長くなってしまいました。
 正直、どんな大会もシステムも不備が生じるのは仕方がない。しかし、規定を変更するのに改悪になってしまうのはいただけない。今回の変更はテレビ局の意向が働いているのではないかと疑ってしまう。(参加選手を絞って有力選手を多くしたい)
 さて、そんなグランプリファイナルも終了し、男子シングルはパトリック・チャンがショートプログラム、フリー共に最高点を出し優勝した。
 ここで、話は遡ります。
 私のブログ師匠のnanaponさんがブログ『即席の足跡』「知らん振りシリーズ」という記事でフィギュアスケートの話題(キム・ヨナと浅田真央の得点に関する熱烈ブログの紹介)で、私に振ってきたのでコメントをさせていただきました。(よそ様のブログでも、長々とコメントしています)

 
【11月26日コメント】===========================
 私の場合、フィギュアスケートの技術的なことは良く分かりません。ジャンプの高さや回転が足りているか、着氷の滑らかさ、ステップの切れや、スピンの軸のぶれなど、ある程度見ているつもりですが、ジャンプ時のエッジの違いやステップの難易度は分かりません。
 参考にするのはシーズンベスト。シーズン序盤では当てになりませんが、シーズンの終盤になると、シーズンベストと言うのは、その選手のプログラムのベストの90%の出来と想定して、現在の演技がプログラムの何%をこなしているかで、シーズンベストより5点マイナスなどと予想して観ています。
 得点発表前の選手の表情も参考になります。

 キム・ヨナ選手の採点には疑問を持っていますが、チャン選手の採点もかなり疑問を持っています。
 バンクーバー五輪の時、相当ひどい出来で、本人も相当しょげていましたが、発表された得点を見て、にっこり。

 その後も、彼の点数は高過ぎの状況が続いています。 そもそも、プログラム全体の演技を5つの観点から評価するPCS(Program Components Score)は理解不能な採点方式です。

スケート技術 (Skating Skills)
要素のつなぎ (Transitions)
実行力/遂行力 (Performance/Execution)
振り付け (Choreography)
曲の解釈 (Interpretation)

 非常に抽象的な要素で、これが得点の半分を占めているのは変です。
 つい熱くなって、長くなってしまいました。
========================================


 ショートプログラムでは壁に激突し転倒(連続ジャンプの出来が良く飛び過ぎただけで、しっかり着氷はしていたので、転倒の減点はあるがジャンプの減点はないという考え方もできる)フリーでは手を突いたりよろめいたり、とても最高点を出すような内容ではないと思ったが、両方とも最高点だった。とても不思議。
 これだけ疑問の採点が続くと、何かあるのではと思ってしまう。確かに、彼のスケーティング技術は優れていると思う。ただ、あれだけミスが多いと、それだけでは補えないと思う。
 パトリック・チャンの採点だけに言及してきましたが、他の選手の得点にも疑問を感じることは多い。しかし、パトリック・チャンに関してはずっと毎回その疑問が生じてしまう(しかも、はっきりと)。
 もちろん、私には分からないもの凄い技術を駆使したスケーティングということもあるだろう。だが、各国のコーチや、テレビ解説者が採点について疑問を呈しないというのも不思議で、パトリック・チャンの技術が秀逸な証しか、それとも、大人の事情があるのか……

 で、私の上記の判断基準の登場だ。
 今シーズンの彼のベストはカナダ大会の253.74点。今回のファイナルでは260.30点。
 シーズンベストを基準に考えると、ファイナルの得点は実に不可解ということになる。しかし、カナダ大会の彼の演技もグダグダだったので、ファイナルの彼の得点も極めて妥当なのである。
コメント (6)
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『相棒 Season 10』 第8話 「フォーカス」

2011-12-11 10:54:06 | ドラマ・映画
【記事中に「じさつ」や「ごうかん」などの語句が含まれていると、gooブログではトラックバックを受け付けないようです。かな表記やスペースを挿入するとOKのようです。(詳しくは12月5日の記事で)】

 通り魔事件の瞬間をスクープした報道カメラマンの有沢(比留間由哲)が殺害された。週刊誌に通り魔犯の顔写真が掲載された通り魔の復讐かとも思われたが、当然、そんな単純なことではなく
 真犯人・交番相談員の谷川(佐川満男)がいて、その動機が表(自分の保身)と裏(じさつ者・内海佳苗を守る)があり、報道カメラマンの写真展の真意も誤解されていた。犯人の犯行動機と被害者の真意が、それぞれ二重構造になっていたという、相棒らしい捻りのあるストーリーだった。

 「スクープを撮って世間に受ければいい」というような、一般的な報道カメラマンではなく、人が刺されても無関心な大衆心理、、凶悪犯の多面的な人間性、じさつ者の直前の笑顔や関係者の思いなど、テーマを持っていたようだ。
 ただ、そういうテーマがあったにせよ、被害者を助けず、写真を撮り続けるカメラマンの性(さが)には抵抗があり、カメラマンのの行為を「この笑顔が失われてしまった悲劇を世に伝えたかったのです。それこそが、報道カメラマンとしての彼の魂だったのでしょう」という右京の言葉と、犯人の泣き崩れる姿で締めくくっているのには、釈然としないものを感じる。
 ドラマの締め方としては理解できるが、カメラマンの行為を正当化しているみたいで、彼の行為に対しても、右京(水谷豊)&尊(及川光博)の言及が欲しかった。

その他の細かいこと
①写真に写っている廃品回収業者の車、谷川の「業者のスピーカーの声が大きくて、刺された女性の声が聞こえなかったのだろう」という証言が、合致しているようで、騒音に関する条例で、その時間はスピーカーを使用していなかったという事実から、谷川は現場にいなかったという推理は面白かった。
 ただ、取り締まり対象が車で移動してしまうので、取り締まりが困難ということもあり、実際は順守されていないようだ。私としては、選挙カーの方が遥かに喧しく、取り締まり対象にして欲しい。
②有沢がコンビニに行くと言って外に出た時、雨が降っていないにもかかわらず傘を持って言ったことから、時間のかかる用事(人に会うなど)があったのではないか……流石の推理だ。
③事件とは直接関係のないストーカー行為をしていた男の行動を暴いたのも流石と思ったが、彼の証言が有沢の真意を知る手掛かりになるとは。
④復元された写真の共通点……「ピントが被害者に合っていない」には気づけなかった。そして、それも、有沢の真意を知る手掛かりになるとは。

①~④、それとクシャクシャにされた週刊誌云々については右京らしい考察で面白かった。
ピントが合っていないことも、タイトルの「フォーカス」に重ねているのもうまいなあ。

⑤女性を刺した犯人の逮捕時、狭い廊下をぐるぐる回るドタバタ劇は、今シリーズ活躍度が低い一課トリオの見せ場を作るため?カメラマンさんは大変だと思った。

⑥有沢の同業者が「戦場カメラマンはいいよな」という主旨の台詞を言っていたが、あの戦場カメラマン風の格好って……

⑦人が刺されても知らぬふりという傍観者効果は信じられない。でも、何か他のドラマで、確か『CONTROL 犯罪心理捜査』の初回冒頭で松下奈緒が撃たれた時も、周囲の反応はこんな感じだったような気がする。

⑧谷川の優しさに笑顔で答える香苗。あの笑顔を見せた同じ日に、自ら命を絶つのは理解できない。谷川の優しさを理解し、感謝していたのに。
 しかし、当事者の心境は、第三者には理解できないものなのかもしれない。


【ストーリー】(番組サイトより)
通り魔事件の瞬間をスクープしたカメラマンが殺害された。
週刊誌に通り魔犯の顔写真が掲載されたため通り魔がカメラマンに復讐したのか?
捜査一課が通り魔の行方を必死に追う中、遺留品のカメラを見ていた右京(水谷豊)は写真がいくつか消去されていることに気づき…。
殺されたカメラマンが本当に撮りたかったものは何だったのか…!?
消された写真からあぶりだされる新たな真実とは!

ゲスト:佐川満男 比留間由哲

▲脚本・監督

脚本:守口悠介 監督:橋本一
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2ヶ月が経ちました。(推定生後3ヶ月)

2011-12-10 18:26:34 | いちご
 いちごが家に来てから、ほぼ2ヶ月が経ち、生後3ヶ月(推定)になりました。
 「ひと月経ちました(11月11日)」(11月18日記事)から、間が空いてしまいました。この間、何もなかったのかというと、それなりにいろいろありました。
 11月25日に6種混合ワクチン(2回目)を摂取、このときの体重は1250gで、前回検診(11月11日)は1050gなので、2週間で200g増で、順調な体重増だそうです。
 ところが、当初から食欲が旺盛でポッコリお腹のいちごは、便通に苦労していて、毎回かなり頑張らないとだめでした。そして、とうとう、便秘に。2日半ほど便通がない。それでも、元気で食欲は旺盛(食い意地の張ったやつである)でしたが、ちょっとまずいのではと病院に。……やっぱり、便秘。こんなに小さいのに、便秘になったのは初めてだそうで、先生も感心していました(誉めてないって)。
 まだ、小さいので、一度の浣腸はできないということで、何回かに分けてしなければならなく、半日預かってもらいました。
 ………無事開通。
 半日後、薄い茶色のしみとほのかなにおいを伴って帰宅です。
 2回目の予防接種のときに、その1週間後にはお風呂のOKが出ていたので、便秘解消後の4日後の日曜日(12月4日)に、初入浴体験となりました。


 他の方のネコさんもそうですが、お風呂に入ったあとの目は瞳に力がないですよね。入浴は嫌がりましたが、意外と抵抗は弱かったです。
 タオルでよく拭いて、乾燥してくると、毛は滑らかで、心なしかふわふわしてきました。

 ちょっとご機嫌そうです。

 これはその3日後の写真。

 特にどうこういう写真ではありませんが、なんとなくホルンスタイン(乳牛)を思い出してしまいました。

 体重は11月30日浣腸前1400g、浣腸後1350g。12月7日の検診では1400gでした。
 前足の麻痺は、まだ若干残っていますが、長期の抗生剤の投与は貧血などを起こすというので、停止して様子を見ることになりました(12月7日)。
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歳時メモ 初雪

2011-12-09 17:18:26 | 歳時メモ
 福井では平年より7日遅い初雪(昨年と同じ)。わが町ではちらつく程度だったが、福井市の方(坂井平野)では通行に影響が出たようだ。ノーマルタイヤのままの車がのろのろ運転で、その影響で渋滞になったとのこと。(福井市の観測データ的には降雪、積雪は0)
 落葉が盛ん、あるいはほぼ終了の木々が多いが、まだ紅葉(こうよう)が残っているものもある。
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『馬弾の射手』 中田章道七段作 解答

2011-12-09 17:12:46 | 詰将棋
12月4日記事
「『馬弾の射手』 中田章道七段作」の解答です。



 持駒に金があれば、2五に金を打って一手詰。金がないので代わりに銀を打ってみますが、△3五玉(失敗図)と逃げられ失敗します。


 初手はいろいろ浮かびますが、慣れた方なら▲1五飛成(途中図1)が第一感だと思います。

 △1五同玉の一手に▲1六銀△2四玉までは一本道。ここで▲2五銀上と▲2五銀引が有力ですが、取り敢えず▲2五銀上(途中図2)としてみます。(ssayさん、出題記事のコメントで「右」と説明しましたが、「上」の方が良いです。「右」でも間違いではありませんが)


 失敗図同様2五の駒が銀なので、するりと3五に抜けられて失敗かと思いますが

 ここで、いままでじっと息を潜めていた馬が、その威力を発揮します。
 ▲1三馬!(詰め上がり図)

 なんと、詰みです。
 1三の馬が玉を射抜くような詰め上がり図ですね。
 直前の▲2五銀上で▲2五銀引だと4五に逃げられてしまいます。

 さて、今一度、失敗図をご覧ください。

 詰め上がりが分かると、1三の飛車が邪魔だということに気づくでしょう。
 問題図で飛車がいなければ、▲2五銀打△3五玉▲1三馬の3手詰めでした。

 「詰将棋にすごく慣れた方」なら、飛車の邪魔駒消去の意でで▲1五飛成。ところが、「詰将棋に慣れた方」は、第一感で▲1五飛成が浮かび、結果的に邪魔駒消去することになって詰ましてしまいます。あまりに初手が第一感の手なのが、この詰将棋の弱点かもしれません。


 とは言っても、初手は▲1五飛成の他にも、▲1四飛成、▲2三飛成、▲3三飛成など候補手がいろいろあります。
 特に▲3三飛成は、

敢えて玉を攻め駒の龍と銀の裏側に逃がすという不利感を利用した詰将棋という匂いがします。
 △3五玉に▲4五銀成!(誘惑図2)

 とすれば、龍、馬、成銀が一気に利いて詰みます………が、4五に銀は成れない(反則)ので詰みません。
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