漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 418

2024-06-07 04:27:21 | 貫之集

山里に住む女、子の日する

あしひきの やまべのまつを かつみれば こころをのべに おもひやるかな

あしひきの 山辺の松を かつ見れば 心をのべに 思ひやるかな

 

山里に住む女が、子の日する

山辺の松を見ながら、その一方で小松の根を引く野辺に思いを馳せているのです。

 

 第四句の「のべ」は「野辺」と「延べ」の掛詞になっています。「子の日」は「ねのび」と濁って読み、「根延び」に掛けて根が長く延びる小松を引き抜いたり若菜を摘んだりして、宴を催して長寿を祝う行事のことですね。