漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 569

2024-11-05 05:48:39 | 貫之集

わがための あだにざりける としつきは おもひもなさで ゆきかへりつつ

わがための あだにざりける 年月は 思ひもなさで 行きかへりつつ

 

私にとって無駄でしかなかった年月は、思いを叶えることもなく過ぎ去って行く。

 

 第二句「ざりける」は「ぞありける」が縮まった形。叶わぬ恋を嘆く歌ですが、最後の「つつ」が、わずか二文字で今もなお願いが叶わないまま時が過ぎている、別から言えば恋心は消えることなく続いていることを表現していますね。