漢検一級 かけだしリピーターの四方山話

漢検のリピート受検はお休みしていますが、日本語を愛し、奥深い言葉の世界をさまよっています。

貫之集 567

2024-11-03 07:15:40 | 貫之集

あきかぜの いなばもそよに ふくなへに ほにいでてひとぞ こひしかりける

秋風の 稲葉もそよに 吹くなへに ほに出でて人ぞ 恋しかりける

 

秋風が稲葉にもそよそよと吹くと、人も呼ぶと「そうだよ」と答えてくれそうな気がして、いっそう人が恋しく思われるのであるよ。

 

 風にそよそよと吹かれる意の「そよ」を、人の「そよ(そうだよ)」という声に準えての詠歌。なかなか特異な発想かもしれませんね。
 この歌は、玉葉和歌集(巻第十二「恋四」 第1645番)に入集しています。