きみがよに あふさかやまの いはしみづ こかくれたりと おもひけるかな
君が代に あふさか山の 岩清水 木隠れたりと 思ひけるかな
壬生忠岑
こうしてあなた様の御代に生れ合わせたとはいうものの、逢坂山の岩清水が木々の中に隠れているように、自分もずっと日の目を見ないままだと思っておりました。
「君」は醍醐天皇のこと。日の目を見ない人生を嘆く歌とも、日の目を見ない人生と思っていたがそうではなかったことに感謝する歌とも解釈できますが、この場所に配置されていることも含めて、やはりここは醍醐天皇の命を受けて古今和歌集を編纂・奉呈できたことの感慨の歌と考えたいところです。