ふくからに あきのくさきの しをるれば むべやまかぜを あらしといふらむ
吹くからに 秋の草木の しをるれば むべ山風を あらしといふらむ
文屋康秀
吹くやいなや秋の草木がしおれる。なるほど、だから山風のことを嵐というのだろう。
巻第五「秋歌下」の冒頭に、六歌仙の一人、文屋康秀の歌が 0008 以来久しぶりの登場です。百人一首(第22番)にも採られた有名な歌ですね。機智、というほどではありませんが、「嵐」という文字を分解すると「山風」となることを捉えた言葉遊びです。なお、写本によってはこの歌の作者を康秀の子の朝康としているものもあるようです。