もろこしの よしののやまに こもるとも おくれむとおもふ われならなくに
もろこしの 吉野の山に こもるとも おくれむと思ふ われならなくに
左大臣
たとえあなたが唐土の吉野の山に籠ったとしても、一人取り残される私ではないのだがなぁ。
「もろこしの 吉野の山」とは、もちろん実際に中国に吉野山という山があるということではなく、吉野の山が遠く中国にあって、その遠いところにあなたが籠ったとしても、という誇張表現。この大げさな物言いが諧謔歌たる所以でしょう。
作者の左大臣(ひだりのおほいまうちぎみ)は藤原時平のことで、0230 以来の登場。古今集への入集はこの二首です。