あたらしき としのはじめに かくしこそ ちとせをかねて たのしきをつめ
新しき 年の始めに かくしこそ 千歳をかねて 楽しきを積め
よみ人知らず
新しい年の始めに、このようにして千年もの未来を先取りして、楽しみを積み重ねるのだ。
詞書には「おほなびの歌」とあり、左注には「日本紀には、つかへまつらめよろづよまでに」とあります。詞書は大直日の神を祭る神事の歌の意。「大直日の神」とは、禍を吉に転じる神とのこと。左注は、続日本紀に記載のある、この歌の第四句、第五句です。
今日からは巻第二十「大歌所御歌」のご紹介。「大歌」は宮中の祭事で楽器の演奏に合わせて歌う歌のことで、「大歌所」はそれを担当する役所の名です。ただ、巻の名になってはいますが、1100 まで続く巻第二十の歌にあって、大歌所に伝えられる歌は最初の五首のみです。
いよいよ古今和歌集の最後の巻。どうぞ引き続きおつきあいください。