小鷹狩り
かりにくる われとはしらで あきののに なくまつむしの こゑをきくかな
かりに来る われとは知らで 秋の野に 鳴くまつ虫の 声を聞くかな
小鷹狩り
狩りに来たことを私自身すっかり忘れてしまい、そして私がかりそめにやって来たとも知らずに、秋の野に松虫の声が聞こえていたことであるよ。
「かり」が「狩り」と「仮」、「まつ」が「まつ(虫)」と「待つ」の掛詞になっています。「まつ虫」が、自分の来訪を待っている恋人の象徴と考えると、さらに「なく」は「鳴く」に「泣く」が掛かっているとも言えるでしょう。