つれなきを いまはこひじと おもへども こころよわくも おつるなみだか
つれなきを 今は恋ひじと 思へども 心弱くも 落つる涙か
菅野忠臣
つれない人を、今は恋するまいと思うけれども、心弱いことにこぼれる涙であるよ。
最後の「か」は詠嘆を表す終助詞。とてもわかりやすい歌ですね。
作者の菅野忠臣(すがの ただおん)はどんな人物かは不詳で良く分かっていません。この歌が889年頃に行われたとされる寛平御時后宮歌合の中にありますので、9世紀を生きた人物ということになるでしょうか。古今集への入集はこの一首のみです。