一面ツタの葉で覆われた建物。
なかなかのインパクトですね。
実は、御覧のとおり、札幌市指定の「都市景観重要建築物」、現在の「札幌景観資産」に指定されている建物なのです。
どういう建物かというと、「レンガの館」といい、現在は、西区エリアのコミュニティFMである「FM三角山放送局」のスタジオとして使われている他、コミュニティホールとして地域住民にも広く利用されている場所です。
昭和4年(1929年)に「日本食品製造合資会社」の缶詰工場として建てられたのが発端で、北海道産のトウモロコシや麦を使って、日本では初めて、コーンフレークやオートミールが製造されていました。
後ほど地図を貼り付けますが、ここはJR琴似駅のすぐ側で、既に現在地に開設されていた鉄道の乗降場が利便性の向上に寄与していたこと、琴似に入植した屯田兵達の兵村が近くにあったこと、そして、これまた近くを流れる琴似発寒川の水を農産物加工に利用していたことなどが、大量生産を可能にした要因だったそうです。
かつては喫茶店や小劇場として利用されており、平成13年(2001年)7月31日に札幌市景観資産に指定され、琴似駅前再開発により一時期移転したものの、平成17年(2005年)末に再び現在地に戻って来ています。
ツタの葉の隙間から見えるレンガの積み方。
どうしても気になってしまいますが、これは「イギリス積み」のようですね。
(「イギリス積み」と、それに対する「フランス積み」の意味はこちらを)
と、この記事はここで終わらせるつもりでいたのですが、ちょうど昨日、たまたま近くを通りかかってみると・・・、
はい、御覧のとおり、きれいにツタの葉が刈られていました。
(ツタの葉の絡まる様子は、5月下旬の撮影)
FM三角山放送局のスタッフさんが、定期的に手入れをされているそうです。
この建物は、「日本食品製造合資会社」の社長が、アメリカのサクラメントにある、デルモンテ社のレンガ造りの工場をモデルに建てたとされているそうです。