龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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いよいよ読み出す『白銀の墟 玄の月』小野不由美

2020年01月13日 17時04分54秒 | メディア日記
年末から読もう読もうと思っていた『十二国記』の新刊
『白銀の墟 玄の月』(全4冊)
にようやく手を着けた。
読み始めるための準備に1ヶ月余りかかった勘定になる。

だが、小野不由美の代表作であり、日本のファンタジーの代表作の一つでもある『十二国記』のシリーズは、短編を含めても16年以上前から新刊が出ていない。
だからシリーズ最新刊がでたからといって直ぐには読み始めることが出来ない。

個別のエピソードを描いた短編なら別だが、シリーズ本編、さかも最大の四冊ボリューム、となれば、この新刊を読むためにはまず既刊本10冊以上を復習しなければならない、ということになる。
これは古くからの『十二国記』ファンの多くが肯いてくれるはずだ。実際周りにいる多くの読者は本棚の奥を探しあるいは図書館に行き(あろうことか図書館では友人のひとりと鉢合わせまでした)、旧作の読み直しを「強いられた」のだ(笑)

私自身は20年も前に妻に渡したきりだったので、違う家に住む今となっては改めて調達するしかない。退職後の身にとって一度読んだ本を買うのはしんどい。図書館を探し回ってようゆく一セット発見し、読み始めた。
一旦巻を開けばグイグイ読者を引き込む力はスゴい。
前日譚の『魔性の子』を含めて1日1.5冊ぐらいのペースでシリーズ本編の長編は読み終えたのだが、不思議なことに残りの短編集二冊にたどり着いて、パタリと読む手が止まってしまった。
その理由はまだわからない。ただ既刊をコンプリートしてから次にいきたいと思うが故に、身動きがとれないまま年末年始を過ごしてしまった。
年の始めから別の本を数冊読んでいるうちにようやく「短編集2冊(『華胥の夢』と『丕緒の鳥』)は後回しでもいいか、と思い直し、今日の午後から読み出した。
今度は夜寝られるのかどうかが心配になる。

人騒がせだかうれしい限りの新刊四冊。ここまで来たからには読者である私の寿命が尽きぬうちになんとかシリーズ完結編まで読みたいものだが……。
というわけで、読みます!
万が一小野不由美の『十二国記』シリーズ未読の方がいらっしゃいましたら、とにかくぜひ、とオススメしておきます。
『空色勾玉』の荻原規子、『獣の奏者』の上橋菜穂子と並んで、お勧めできる日本のファンタジー作家です。
『稲荷山戦記』のたつみや章も大好きですけどね。

あとはやっぱり日本のファンタジーといえば『光車よ、まわれ!』天沢退二郎ですかねえ。


長尾龍一『リヴァイアサン』を読む

2020年01月13日 13時03分04秒 | メディア日記
25年前出版された講談社学術文庫の
『リヴァイアサン』長尾龍一
を読んだ。とても面白かった。20世紀前半のドイツにおける
ヨハン・ケルゼン
カール・シュミット
の2人についてその法律論および国家論を、それぞれのホッブズ受容を比較検討しながら考察していく一冊。
今年読む予定の
ホッブズ『リヴァイアサン』
に取り掛かる準備運動としては好適な文庫本だった。

マルキシズムとナチズムを眼前に踏まえつつ、アナーキズムとカトリシズムを縦軸に置き、「自然状態」、「自然法」、「擬制的」な国家・神の人格、などなど、基本的なものの見方に触れつつ説明を展開してくれている本で、非常に勉強になった。レオ・シュトラウスとの距離、ルソーの「取り上げ方」、スピノザの「ダメさ」の扱い、また、ケルゼンとシュミットの二人に限らずホッブズが歴史的にどう受容されてきたか、などなどの整理もあって、国家論に興味がある素人にとってはとても得るものが多かった。

勝手なことをいわせてもらえば、最終的な著者の主張は正直チャンチヤラおかしいという感じはする。だが、そんなことは大した問題ではない。
この本を読んでみると学問って、その人の主張が問題じゃないんだということが少しだけ分かってきた感じだ。
もう一度國分さんの『近代政治哲学』をおさらいしてからホッブズにチャレンジしてみようかな。