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そこで読まれたのははナボコフの『ロリータ』、フェッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』、オースティンの『高慢と偏見』ヘンリー・ジェイムズの『デイジー・ミラー』……。
作者が大学を辞めてからテヘランを去る二年間の間の読書会の様子が書かれた回顧録である。
だから、小説ではない。
しかし、解説の西加奈子も書いているが、
この本は小説のコトバを具体的な生活の中で読むことのリアリティの濃密さがこれでもか、というくらい詰め込まれている。
筆致は穏やかだが、それだけにこの本は私たちに、様々なレベルで様々な意味で「読むこと」の意味を問い直すよう迫ってくる。
今ここでこの本を読むこと、あの小説を開くこと、そういうことを内省的に深く深く考えていくことを自然と始める自分がいる。
来週この本の読書会をする予定だ。
幾重にも折り重ねられた「読むこと」と「生きること」のエネルギーが、本の中から溢れてくるのを感じる。
ぜひともお勧めしたい一冊。