龍の尾亭<survivalではなくlive>版

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映画 『特捜部Q Pからのメッセージ』を観た。

2022年01月13日 08時00分00秒 | メディア日記

デンマークの推理作家エーズラ・オールスンという人の特捜部Qシリーズの映画化作品。
北欧ミステリによくある、少年少女の誘拐・殺人・虐待の事件。
犯罪者とその犯罪は気分が悪くなるほど糞&闇だが、カールという心の傷を負った直情型の主人公と、シリア系難民を出自とする冷静で包容力のあるアサドの相棒関係は見どころが多い。
今回は少年・少女誘拐に、信仰に関わる対立や奇行・偏見・抑圧・狂信もからんで、切ない展開の中にも考えさせるものがある。
刑事物の定番、なのだろうが、北欧のミステリ&映画のストーリー展開における刑事の追い詰め方は、日本の刑事物の追い詰め方とは違っていて、向こうのものは主人公が精神的に病んでいたりアル中だったりすることが多い。アメリカ風のタフでハードボイルドな主人公(アル中を含む)ともまた違ったウェットさ、内面の暗部を感じさせる。

日本のそれも、刑事のトラウマは設定されていることは多いが、この主人公のように同僚から手の震えを指摘されてへこむ、みたいなことはあまりない。日本では、「症状」というより「激情・感情」の問題として描かれる傾向がありそうだ。

素材は一緒でも、描かれる傾向性が違う。それが作品の味わいの違いにもなっている気がする。

犯人が殺人を犯すディテールも、被害を受けた者たちがさらに厳しい目にあう感じは、日本のテレビドラマではたぶんあまり見ない感じだ。映画ということもあるのかもしれないが、大人の見世物、という感じがする。

時間があったら観るのは悪くないけれど、おすすめしたいものでは必ずしも、ない。

映像で観るよりは暇な休日の昼間、文庫本で別世界を楽しむのに適した一冊。

週末の夜に部屋を暗くして一人で観るのはどうかな。