『王様ランキング』のアニメをサブスクでイッキ見した。
(作品については以下のサイトを参照。
面白い。一見童話、というか絵本的なキャラクターに見えて、漫画らしい仲間を作っていく成長物語にもなっているし、内面的葛藤もキャラクター毎に適切配分されているし、今時の作品らしくテンポも速い。
息子に聴いたところ、作者は中年の挫折組で、40歳過ぎてからネットでバズったところから、の逆転勝利作品、とのこと。
お話の枠組みは、全く無力で誰よりも弱く耳が聞こえず口も利けない主人公の王子が、父親の遺言では次の王になるはすだったのに、諸々の思惑が重なって王位に就くことができずに暗殺の危機を乗り越えて落ち延びるという典型的な貴種流離譚の結構だが、一人一人のキャラクターに付与された荷物、というか強いられた宿命のようなものが簡潔にしかもキチンと書き分けられているのがすばらしい。
思えば『鬼滅の刃』もそうだったが、それぞれのキャラクターが抱える各々の物語を蔑ろにすることなく、メタ的な解釈をするのではなくてそれらの物語をキチンと束ねて言ってくれる「無力さ」の秘密(別に隠されてはいないが)がここにもある。
隠された物語が明らかにされる、必要はない。それは一つのカタルシスに過ぎない。
今も求められているのは
「たった一つの冴えたやり方」
ではないのだ、と改めて思わせてくれる一作。
マンガについては『ゴールデンカムイ』を読むべくまんが喫茶に籠もらねばならないのだが、その前に、らねばならないことがあるので、そのやらねばならない原稿の代わりに、サブスク映像逃避をしている。
しかし、面白かった。
お暇なら観ておいて良いかもー
。