【5月9日のこと(金)晴れー韓国の旅(8)金寺の法要、四十九日】
(日の出前)
(法要の写真撮影は遠慮しました)
この日は
七七日忌の法要があり、随喜させて頂きました。二時間半にわたっての丁寧な法要でした。毎週の七日の回忌にはきちんと法要がなされるようで、昨日は別の方の六七日忌がありました。
お経はいつものように、心洗われる感じの旋律で誦されます。初めは
懺悔文のようです。やはり死者を浄めて旅立ちの準備をたすけるのでしょう。お経はなにを誦されたか? 途中で、住職の
説法が三十分ほど行われます。それは昨日も同じです。死者を送るようなときこそ、仏教について説く好機縁ですから、きちんと説法をします、と本覺住職は言われました。
儀式の間に、韓国ドラマなどでときどき見られますが、死者の遺族の方が祭壇の前に出て、敷かれたござの上で、死者に対して
五体投地の三拝をします。そして高坏のお茶碗に
お水を注ぎ、それを
香に薫じて、遺族が差し上げます。この日の遺族の順番を見ていますと、先ず娘さん夫婦、次に孫の二人(小学生くらいの二人ですが、しっかりと三拝をし
ていました)、奥さんは最後でした。これはもしかしたら、弔われる人と血のつながりの濃い順かもしれません。このような
死者儀礼は、死者に対しての衷
情を表すのに相応しい儀礼と思いました。お焼香はありませんでした。
ほとんどの誦経は僧侶だけではなく、参列者もそれぞれ経本を渡されて、同音におとなえします。また住職だけが回向の部分を唱えているのだと思いますが、実に慈悲深い心に沁みいる声に感じました。韓国語が分からないのが残念。
また釈尊の御名を何回も、参列者もともにおとなえします。このときお拝をしたと思います。

そ
して最後に、僧侶を先頭に、お位牌と御遺影を持った遺族が続き、その後に参列者全員が列を作って、大雄殿を何回か巡り、外にしつらえられた炉の前に行き
ます。そしてここで、僧侶の誦経に送られながら、写真に巻かれた黒いリボンや、お位牌の紙や、遺族の婦人たちが着ていた喪服の白い襟や、死者の旅立ちのための支度一式が
お炊きあげされます。ゴミを燃す焼却炉としては大雄殿の脇にあるのはおかしいと思って見ていた炉ですが、これで疑問がとけました。この前で遺族はまた三拝をいたします。これで、七七日忌の法要は終わりです。

このあと薬師殿で、お齋をいただきます。食前の言葉を全員で唱えます。

それぞれ自分で、自分が食べる分だけ盛りつけます。これならば、食べ残しはありませんし、合理的です。食事は完全菜食です。

食事風景。七七日忌だけではなく、前日の六七日忌でも御斎はでました。
勿論お酒はでません。日本のお齋はこの頃は仕出し屋さんの料理が多いですが、肉魚が出ますし、お酒は出ますし、食べられないで山のように残飯が出ますが、勿体ないことだと思います。
私も日本に帰ってから、ご葬儀を先日勤めさせて頂きましたが、残念ながら、さすがに、2時間の法要はできません。ご葬儀はかえって時間が決められていま
す。その制約の中で、引導法語を丁寧にするようにしました。聞いている人たちに、わからないような頌や漢文だけではなく、聞いている方にも分かる部分を長
くいれる
ようにしました。
死者を送る姿勢を、またこの韓国での経験で学ばせて頂きました。説法はそう長くはできませんが、通夜説法を少し長めにさせてもらいました。
ご葬儀以外の法事の折、さらに工夫をして、少しでも信仰に結びついた仏事を勤められるようになりたいと思います。学問的仏教の研究も、人々のお役にたち、
自らの信仰を深めさせてくれる研究でなくては意味がないと私は思っています。
旧来の友、
宇哯(ウヒョン)法尼が、法要に随喜のため来訪。再会を喜びました。
非常に有り難いご縁の法要でした。