先日30~40代の頃、会社で一緒だった仲間で集まった。もう30年会っていない人も、2~3年に一度会っている人もいる。この歳になって集まれば、まずそれぞれの健康状態の確認から始まる。そしてもう一つが昔の仲間たちの消息の確認になる。30年前一緒に働いた仲間もそれぞれの相性があって、その人独自のネットワークが確立されている。そんなネットワークの情報を持ち寄れば、疎遠になっていた仲間たちの消息も広範囲に分かってくる。
「そういえば○○は今どうしている?」、「○○は△△達と定期的にゴルフに行っているらしいよ」、「XXは昨年すい臓がんで亡くなったそうだ」、「□□は奥さんを亡くして、今は一人で暮らているらしいよ」等々、それぞれが持っている情報を交換しあい、自分の情報を更新して最新のものに置き換えていく。今ならSNSで情報の取得ができるのだろうが、我々の年代はアナログな飲み会での情報交換が主流である。
集まった6人の共通の知人は70~80人だろうか。しかし6人ともがその後の詳しい消息を知らない人がいた。「◎◎は今どうしているのだろう?」、「彼とは数年前まで年賀状の交換をしていたが、今は途絶えている」、「昔の仲間の会合にも一切出てこないから、どうしているかわからない」、そんな風にネットワークの中には引っかからない人が何人か出てきた。「彼は自分勝手でわがままな奴だった」、「彼はしたたかな男だったよなぁ~」、・・・・皆が語るその人の性格は大体共通の認識である。
何人か上がった消息の分からない人達、その多くは会社の中で出世した人に多い。そしてその人達は共通して仲間意識が欠如しているように思えるのである。例えば、上司には平身低頭するが部下や目下にはやたら偉ぶる人。自己保身のためにはその場限りの嘘をつき、仲間をも裏切るタイプ。人事評価を餌に公私混同して部下を使う人、人を下に見、やたら尊大な態度を取る俺様タイプ、等々である。基本的には協調性がなく、自分の出世栄達のためにはなりふりかまわない人である。
組織の中では当然競争がある。会社の中で生き抜き出世を目指せば、和気藹々と言うわけにも行かず、敵も見方も派閥も出来てくる。その中で自分をどう処していくのか、その人の人間性が出てくることになる。今までの私の経験からすると、出世する人には大きくは2つのタイプあるように思う。一つは組織の中を上手に泳ぎ回る人、もう一つは能力もあり人一倍努力もする人である。
会社の中では利害得失があるから、そこでの人間関係も形だけのものも多く存在する。上手く世渡りしてきた人はどちらかと言えば似非(エセ)の人間関係で成り立っていたように思うのである。組織にいる間はそれはそれで通用しても、一旦組織を離れてしまえば、その関係は何の効力も持たないことになる。一般的に組織を離れ時間が経つと会う機会も少なくなり、今までの人間関係も途絶えがちになるが、そういう人はそれがさらに顕著になり、孤立して行くように見える。
話は変わって、相手の気持ちが読めず独善的な物言をして相手を怒らせ、次第に付き合う仲間がいなくなり孤立している知人がいる。先日ひょっこり彼と駅で出くわし喫茶店で話した。その時こんな話をしていた。「俺は昔と同じように接しているのに、相手が用事を入れて会おうとしない。仕事を離れてしまえば、みんな冷たいもんだよ」、「リタイアしてから山登りが唯一の楽しみだったが、去年の秋に足を痛めて登ることができなくなった。今は散歩するぐらいで、何んの目的も無くほとんど人にも会っていない。女房もパートなので家に一人でいると、それが自体がストレスになる」、ストレスが高じてか酒の量が増え、ストレスが原因なのか最近ドライマウスで、夜何度も起きるようになったと話していた。
大勢の人の中で何十年と仕事をしていたのに、急に仲間を失い孤立していくことでのストレス、それは分かるような気がする。いずれ自分自身もそうなる日が来るのだろう。ある先輩によると、「老後の付き合いもあまり多いとお金が掛かる。出来れば3~4人ほど本当に親しい人がいれば、いろんな意味で助けになる」と言っていた。以前このブログにも書いたことがあるが、ある高齢の女流作家の老後対策の話で、「いつ一人になるかもわからないから、自分の事は自分で出来るようにしておくこと」、「歌を唄うことでも、物を作ることでも何でも良いから、自己表現の手段を持っておくこと」、そして「孤立しないように自分のネットワークはしっかりもっておくこと」と言っていた。やはりこの3つは老後の必須条件のように思われる。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます