荒川
駅からの散歩 No.321 埼玉県大里郡寄居町 9月24日
台風15号が猛烈な勢いで首都圏を駆け抜け、夏の空気を一掃し秋の空気に入れ変えてしまった。
秋になれば、やはり散歩は郊外が良い。今日は東武東上線を使って寄居まで行ってみることにする。
朝は少し肌寒く半袖では心もとないので長袖のTシャツを着て出かける。西武新宿線で本川越まで、
そこから歩いて東武線の川越市駅へ、そこで乗り換え小川まで、そこからさらに乗り継いで寄居まで、
所沢からたっぷり2時間を要した。
駅を降りると、客待ちのタクシーが並んでいるが誰も利用する人はいない。駅に隣接してライフと言う
スーパーがあり、自転車で来た買い物客が一人、店の前に自転車を止めようとしていた。閑散とした
駅前の風景、ひっそりとした地方都市独特の雰囲気を醸し出している。駅前の観光案内所で地元の
地図をもらい歩きはじめる。駅から20分も歩くと荒川にぶつかる。鉢形城跡など見て、右岸を上流に
向って歩く、まばらに人家があるが、人とはほとんど出くわさない。長閑としたこの空気、時の流れが
スローダウンしたようにさえ感じる。
荒川に添って歩くうちに、この景色いつか見たような気がしてくる。今まで色々な所を歩いているから
似たような雰囲気の所もあるのだろう、これも一つのデジャブだろうか?そう思いながら歩いていた。
しばらく歩くと右手に宗像神社がある。神社の前に池があり、真ん中に噴水がある。この神社やはり
見たことがあるのではないか?少し自分の記憶を手繰ってみることにする。しかしもう何百回の散歩
の中で、参拝した神社仏閣は何千の数になるだろう。この神社、自分の頭の中の検索システムでは
記憶のファイルから見つけ出すことはできなかった。
私の散歩のコンセプトは「未知の町を味あう」である。定番の散歩コースを歩くのではなく、できれば
全く歩いたことのない町を歩いて見たい。そこにも人々の暮らしがある。家並みがあり、学校があり、
公園があり神社仏閣がある。そしてそこには今の景色になるまでの長~い歴史があったはずである。
以前ある女流画家(池口史子?)がこんなことを言っていた。ヨーロッパの田舎を旅していて、イタリア
にはイタリアの風景があり、フランスにはフランスの風景があることを思い知った。自然の中に暮らし、
何を残し何を変えていくのか?そこにそれぞれ民族の美意識がある。どの森を残し、どの木を残し、
どんな畑を作り、どんな家を建てるのか?自然を取捨選択してきた結果が今の風景を作っている。
確かそのような内容だったと思う。
日本の各町にもその町の成り立ちや歴史がある。そこで暮らして来た人々の生活がありその事情や
都合が折り重なって行き、その町特有の雰囲気と風景を作ってきたのであろう。同じ中央線の隣の
街でも中野と高円寺とは雰囲気が違う。さらに西へ進んで、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪と微妙に肌合い
が違っている。白金や代官山を歩けば、自分が異物のように思え、疎外感を感じて落ち着かない。
歴史のある地方都市に行けば品格を感じ、田舎町を歩けば時間のゆるやかな流れにほっとする。
街を歩きながら、そんな空気感を味あうのは、珈琲好きが色んな香りや味を楽しんでいるのに似て
いるかもしれない。
宗像神社を過ぎると単線をまたぐ踏切がある。線路は廃線になったかのように草が生い茂っていた。
「この踏切渡ったことがある」、もはやデジャブや空似ではなく、この道を歩くのは2度目であることが
確かなことだと思わざるを得ない。「寄居町」その名は何度も聞いたことがあり、一度は行って見ようと
思っていた。以前西武線の東飯能から八高線で寄居に向かったことがある。しかしあまりの乗り継ぎ
の悪さで、途中から引き返したことがあった。だから寄居町には行ったことは無いと思い込んでいた。
何かキツネにつままれたような感覚である。それからは歩くほどに記憶はよみがえって来て、自分の
記憶の不甲斐なさが情けなくなってくる。
翌週月曜日、会社でパソコンに保存している過去の写真ファイルを探して見た。2007年8月4日、
4年前に確かに寄居町に行っていた。その時は西武秩父経由で秩父鉄道に乗り換えて行っている。
持って行った案内書が違うから、駅から歩いたコースが多少違っていた。導入部が違っていたから
直には思い出さなかったのだろう。そう自分自身に言い訳をしてみるものの、以前茨城県古河市でも
まったく同じことがあった。これで2度目である。自分の記憶に陰りが見え始めた。これがだんだんと
進行して行って、しだいに直近のことも思い出せなくなるのかもしれない。そう思うと少し不安である。
寄居駅
東武線、八高線、秩父鉄道の3線が交わる
駅前観光案内所
各種案内地図やレンタル自転車など地元観光に力が入っている
西念寺
鉢形城跡
鉢形城跡 右手は荒川
鉢形城は戦国時代の城跡である。現在は国の史跡に指定され往時の姿が残っている
正喜橋から荒川を見る
荒川 玉淀河原
宗像神社
八高線
1時間に1本の八高線は線路に草が生い茂る
正龍寺
正龍寺
線香鉢の上に梵鐘がある
善導寺
善導寺
秩父鉄道
少林寺
少林寺の背後から五百羅漢の山道が伸びている。
文政(1816年~ )人々の浄財で完成した羅漢は536体ある。
五百羅漢
この顔誰かに似ている
円良田湖(つぶらたこ)
周囲4km、円良田湖の周囲には1500本の桜が植えられ春には花見でにぎあう
円良田湖から荒川までの用水路
秩父鉄道 波久礼駅
空はすっかり秋
駅からの散歩 No.321 埼玉県大里郡寄居町 9月24日
台風15号が猛烈な勢いで首都圏を駆け抜け、夏の空気を一掃し秋の空気に入れ変えてしまった。
秋になれば、やはり散歩は郊外が良い。今日は東武東上線を使って寄居まで行ってみることにする。
朝は少し肌寒く半袖では心もとないので長袖のTシャツを着て出かける。西武新宿線で本川越まで、
そこから歩いて東武線の川越市駅へ、そこで乗り換え小川まで、そこからさらに乗り継いで寄居まで、
所沢からたっぷり2時間を要した。
駅を降りると、客待ちのタクシーが並んでいるが誰も利用する人はいない。駅に隣接してライフと言う
スーパーがあり、自転車で来た買い物客が一人、店の前に自転車を止めようとしていた。閑散とした
駅前の風景、ひっそりとした地方都市独特の雰囲気を醸し出している。駅前の観光案内所で地元の
地図をもらい歩きはじめる。駅から20分も歩くと荒川にぶつかる。鉢形城跡など見て、右岸を上流に
向って歩く、まばらに人家があるが、人とはほとんど出くわさない。長閑としたこの空気、時の流れが
スローダウンしたようにさえ感じる。
荒川に添って歩くうちに、この景色いつか見たような気がしてくる。今まで色々な所を歩いているから
似たような雰囲気の所もあるのだろう、これも一つのデジャブだろうか?そう思いながら歩いていた。
しばらく歩くと右手に宗像神社がある。神社の前に池があり、真ん中に噴水がある。この神社やはり
見たことがあるのではないか?少し自分の記憶を手繰ってみることにする。しかしもう何百回の散歩
の中で、参拝した神社仏閣は何千の数になるだろう。この神社、自分の頭の中の検索システムでは
記憶のファイルから見つけ出すことはできなかった。
私の散歩のコンセプトは「未知の町を味あう」である。定番の散歩コースを歩くのではなく、できれば
全く歩いたことのない町を歩いて見たい。そこにも人々の暮らしがある。家並みがあり、学校があり、
公園があり神社仏閣がある。そしてそこには今の景色になるまでの長~い歴史があったはずである。
以前ある女流画家(池口史子?)がこんなことを言っていた。ヨーロッパの田舎を旅していて、イタリア
にはイタリアの風景があり、フランスにはフランスの風景があることを思い知った。自然の中に暮らし、
何を残し何を変えていくのか?そこにそれぞれ民族の美意識がある。どの森を残し、どの木を残し、
どんな畑を作り、どんな家を建てるのか?自然を取捨選択してきた結果が今の風景を作っている。
確かそのような内容だったと思う。
日本の各町にもその町の成り立ちや歴史がある。そこで暮らして来た人々の生活がありその事情や
都合が折り重なって行き、その町特有の雰囲気と風景を作ってきたのであろう。同じ中央線の隣の
街でも中野と高円寺とは雰囲気が違う。さらに西へ進んで、阿佐ヶ谷、荻窪、西荻窪と微妙に肌合い
が違っている。白金や代官山を歩けば、自分が異物のように思え、疎外感を感じて落ち着かない。
歴史のある地方都市に行けば品格を感じ、田舎町を歩けば時間のゆるやかな流れにほっとする。
街を歩きながら、そんな空気感を味あうのは、珈琲好きが色んな香りや味を楽しんでいるのに似て
いるかもしれない。
宗像神社を過ぎると単線をまたぐ踏切がある。線路は廃線になったかのように草が生い茂っていた。
「この踏切渡ったことがある」、もはやデジャブや空似ではなく、この道を歩くのは2度目であることが
確かなことだと思わざるを得ない。「寄居町」その名は何度も聞いたことがあり、一度は行って見ようと
思っていた。以前西武線の東飯能から八高線で寄居に向かったことがある。しかしあまりの乗り継ぎ
の悪さで、途中から引き返したことがあった。だから寄居町には行ったことは無いと思い込んでいた。
何かキツネにつままれたような感覚である。それからは歩くほどに記憶はよみがえって来て、自分の
記憶の不甲斐なさが情けなくなってくる。
翌週月曜日、会社でパソコンに保存している過去の写真ファイルを探して見た。2007年8月4日、
4年前に確かに寄居町に行っていた。その時は西武秩父経由で秩父鉄道に乗り換えて行っている。
持って行った案内書が違うから、駅から歩いたコースが多少違っていた。導入部が違っていたから
直には思い出さなかったのだろう。そう自分自身に言い訳をしてみるものの、以前茨城県古河市でも
まったく同じことがあった。これで2度目である。自分の記憶に陰りが見え始めた。これがだんだんと
進行して行って、しだいに直近のことも思い出せなくなるのかもしれない。そう思うと少し不安である。
寄居駅
東武線、八高線、秩父鉄道の3線が交わる
駅前観光案内所
各種案内地図やレンタル自転車など地元観光に力が入っている
西念寺
鉢形城跡
鉢形城跡 右手は荒川
鉢形城は戦国時代の城跡である。現在は国の史跡に指定され往時の姿が残っている
正喜橋から荒川を見る
荒川 玉淀河原
宗像神社
八高線
1時間に1本の八高線は線路に草が生い茂る
正龍寺
正龍寺
線香鉢の上に梵鐘がある
善導寺
善導寺
秩父鉄道
少林寺
少林寺の背後から五百羅漢の山道が伸びている。
文政(1816年~ )人々の浄財で完成した羅漢は536体ある。
五百羅漢
この顔誰かに似ている
円良田湖(つぶらたこ)
周囲4km、円良田湖の周囲には1500本の桜が植えられ春には花見でにぎあう
円良田湖から荒川までの用水路
秩父鉄道 波久礼駅
空はすっかり秋
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