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八犬伝
伝承と昔話
/
2006年02月10日
今年は戌年ということで、正月に東京放送(TBS)の開局50周年記念スペシャルドラマとして「里見八犬伝」が放送された。
原作は 「曲亭馬琴」(くるわでまこと、きょくてい ばきん)(1767-1848)
本名、瀧澤(滝沢)興邦(たきざわおきくに)「滝沢馬琴」の「南総里見八犬伝」。
馬琴は 1767年6月9日、江戸深川の旗本松平信成の家中、瀧澤大右衛門興義の子として誕生。
24歳で山東京伝に弟子入り、1773年、独立。
寛政五年(1793)お百と結婚。
1814年(四十八歳)「南総里見八犬伝」執筆開始、 1842年(七十六歳)全九十八巻百六冊で完成。
その間28年を要した。
連載途中失明、息子宗伯の嫁のお路(おみち)に文字を教えながら口述筆記させて完結させたエピソードは有名。
その6年後1848年、82才で逝去。
八犬伝はわれわれの時代にも換骨奪胎されて様々な作品の形で甦り
知らず知らずの内にその伝えんとするエッセンスは伝承され続けている。
なぜこの物語はそんなに人気があるのだろうか。
八犬伝の発端を以下に述べておく。
舞台は今の千葉県の南端「安房国(あわのくに)」。
時代は、「室町時代」の中頃。
山下柵左衞門定包 (やました さくざえもん さだかね) は
主君滝田城城主、神余光弘(じんよ みつひろ)を下克上で討って暴政をふるっていたが
里見治部大輔義実(さとみ じぶのたいふ よしざね)に討たれる。
神余光弘の愛妾、玉梓(たまずさ)は、山下とも密通しており、神余の死後は山下の正妻となったが
一度は助けると言いながら自分を処刑した里見義実を恨んで怨霊となった。
里見の隣国の安西三郎大夫景連(あんざい さぶろうたいふ かげつら)は
飢饉に陥った里見領を攻め滅ぼそうとする。
里見義実は落城寸前にあきらめて
「だれか景連の首を取って来たら、褒美に娘、伏姫(ふせひめ)を嫁にやる」と戯言(ざれごと)を言ったので愛犬、八房(やつふさ)が景連の首を取って帰った。
それで伏姫は、八房と夫婦になり山中で暮らす。
八房は母犬を亡くし狸に育てられて八つの牡丹の痣がある霊犬だった。
伏姫は八房の気を受けた子を孕み自害。
伏姫の持っていた水晶の数珠百八つの玉の内の八つの大玉に「如是畜生発菩提心」の八文字がひとつずつ浮かんでいたのだが伏姫の自害に伴って数珠が飛散する際にそれぞれの玉の文字が「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」と変わり空高く飛び上がり、散り散りになり遠く飛び去ってゆく。
伏姫の婚約者金碗大輔(かなまり だいすけ)は髪を切り丶大法師(ちゅだいほうし)となって飛び去った八つの玉を探す旅に出る。
やがて各地に犬で始まる名を持ち、体に牡丹のあざがあり、文字の浮きでる玉を持つ若者が生まれる。
仁の玉を持つ犬江 親兵衛 仁 (いぬえ しんべえ まさし)
義の玉を持つ 犬川 荘助 義任 (いぬかわ そうすけ よしとう)
礼の玉を持つ 犬村 大角 礼儀 (いぬむら だいかく まさのり)
智の玉を持つ 犬阪 毛野 胤智 (いぬざか けの たねとも)
忠の玉を持つ 犬山 道節 忠与 (いぬやま どうせつ ただとも)
信の玉を持つ 犬飼 現八 信道 (いぬかい げんぱち のぶみち)
孝の玉を持つ 犬塚 信乃 戍孝 (いぬづか しの もりたか)
悌の玉を持つ 犬田 小文吾 悌順 (いぬた こぶんご やすより)
これらの八犬士が 玉の縁に導かれて集まり、活躍することになるのである。
それではこの物語の陰に隠れて見えない秘密を解き明かしてみよう。
馬琴は参考にしたといわれる『水滸伝』では百八の魂が飛び散り豪傑英雄として各地に現われるのだが、
『八犬伝』では百を削除整理して八の玉が飛び散り八犬士として世に現われることにしている。
そのわけはこれが出雲族の物語だから。
かれが一生をかけて書いたこの壮大な物語は出雲族へのメッセージであった。
百は日向の数なので百八から百を除いて出雲の霊数八だけにしてしまったのである。
ここまででも一回のブログにしては長くなりすぎたのであとは次回に譲ろう。
2月4日のブログ「豆まき」にこの物語の秘密を解く鍵があったので勘のいい人はもうおわかりになったかもしれない。
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