monologue
夜明けに向けて
 



 最近、「中古典」がブームになっているという。
聞き慣れないことばだが第1回小林秀雄賞を受賞した文芸評論家斎藤美奈子氏の造語ということである。
中途半端に古いベストセラー小説のことで改めて読み直してみると意外におもしろいらしい。
ベストセラーは常に時代とセットになっているので十年後「電車男」を読んでもなにが受けたのかわからないかもしれない。それでも、結局繰り返し描かれるのは人間の性(さが)なので「中古典」とされる作品もたまに光を当てて読み返すとはまるのだ。
洋楽の世界では本の「中古典」にあたるのは「オールデイズ」かも。
でも、それは、現代のどの曲にもラップが入るヒップホップの曲に閉口したオジサンオバサンたちが集まってひとつのジャンルとして聴き続けている。かれらはヒップホップには食傷しても洋楽は好きなのだ。
「中古典」本も一時のブームではなく洋楽の世界の「オールデイズ」のようにひとつのジャンルを形成する日が来るのだろうか。
 斎藤美奈子氏は女性を元気にする「L文学」ということばも使用している。
レデイ、リブ、ラブなどのLだそうだが造語能力が高い新感覚の評論家だ。
今度はこのことばに脚光が当たりそうである。
fumio

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