ロサンジェルス西南区クレンショー地区10thアベニューにあった日本人学生がシェアハウスして共同生活している大きな家に居候させてもらっていた頃、夜みんなでオルベラストリート(オルベラ街)に遊びに行こうということになった。わたしはそのころ付き合っていた妻を同伴した。オルベラストリートは1779年から1781年にかけてメキシコから移ってきた人達が住み着き「天使たちの女王の広場(El Pueble de Nuestra Senora la Reina de Los Angeles de Porciuncula)」と命名した街。それがロサンジェルス(Los Angeles)の由来なので、ロサンジェルス発祥の地とも呼ばれる。
オルベラ街はレンガ敷きの小さな路地でメキシコ料理店や土産物屋が軒を連ねている。わたしたちはそのうちのクラブらしき店に入った。みんなで酒を飲んでいるとステージで大きなギターや小さなギターなどを抱えたメキシコ音楽のショーが始まった。そしてなにか歌を歌えと客席をまわる。わたしたちが日本人であると気づくと「上を向いて歩こう」を歌い始めた。そして一緒に歌えと促す。友達がみんなでわたしに奨めるのでわたしは席を立って妻とステージに上がった。バンドがバックを弾き始めるとバンドの歌手がリードするように歌うのでわたしもマイクを持って歌った。すると途中でバンドの歌手は歌うのをやめた。それでわたしは「上を向いて歩こう」を初めから最後まできちんと歌った。店中がどよめき拍手で湧きかえった。「上を向いて歩こう」は米国で1位になった曲で大好きだったので幸いそのとき歌詞を覚えていたのだ。あれから数十年たったけれどロサンジェルスに行ってオルベラストリートに遊びに行く日本人は「上を向いて歩こう」を歌わされる可能性が強いから練習しておいた方がいいなどと思う。
fumio
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