monologue
夜明けに向けて
 



みんなに親しまれていた長期療養患者、89才の犬塚健市氏(ワンちゃん)が退院した時かけた、「おめでとう」や「お元気で、素晴らしい余生をお送りください」などのことばになにか伝えきれないもどかしさ、物足りなさ、虚しさ寂しさを感じ、退院する人をみんなで祝福して楽しく送る歌を作ることを決めてから、あれやこれやで日々を重ねるうちに本気で歌詞を考え始めた。入院を表すことばを実際に患者となって入院して初めて実感したベッドが身体に馴染む、という表現で表すことにした。それからだれにも邪魔されることなく集中できる夜中に頭の中で歌詞を練り上げた。そしてパソコンにインストールしてある作曲ソフト「シンガーソングライター」にメロデイを打ち込み始めたのはもう神無月が過ぎ去り霜月と呼ばれる11月1日だった。8月の終わりに入院して季節は夏から秋を通り越そうとしていたのである。
fumio


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