monologue
夜明けに向けて
 



カリフォルニアサンシャインその15

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 経済的にいよいよ逼迫して早くなんとかしなくてはならない。そんなとき、10thアベニューの学生寮のようになった家に転がり込んできた女子学生が夜、日本人街(リトル・トーキョー)の日本食レストランでアルバイトを始めてその店のピアノバーでエンターティナーを探しているという。早速、GTOにギター、譜面その他を積んでその店に向かった。店を探して夜のリトル・トーキョーをグルグル廻っていると不審車両と思われたらしくLAPD(ロサンジェルス警察)のオートバイに停められた。わけを言うとその店の場所を教えてくれた。店のオーナーは女性ピアニストを探していたのだがオーナーにギターの弾き語りをしてみせると仕方ないと思われたのか採用された。夜9時から朝2時まで演奏する。それが米国での初めての仕事だった。オーナーの意向は女性ピアニスト好みだったがわたしの演奏はバーテンダーやスシ職人など従業員には評判が良かった。その店は「栄菊」といって「子連れ狼」で有名な若山富三郎がオーナーのロイさんと仲が良かったのでアメリカにヴァケーション休暇に来ると寄るという話だった。芸能事務所の関係で日本の有名ジャニーズ系男性アイドルグループもやってきた。ある時見かけも態度もかっこいいバーテンダーが立派な特製オーデオ装置を備えたワンボックスワゴンにわたしを連れ込み「天国への階段」を練習しているのでギターでバックの演奏してくれと迫る。ハードロックのボーカリストになるのが夢のようだった。女性ロックボーカリストになろうとして長い夜を何度も練習しに来る女性もいた。わたしを含めてみんなそれぞれの夢にむかってさまざまにもがきながら進んでいた。その世界で成功するにはよほどの運と実力が必要なのだけどみんな途中であきらめてしまう。ネヴァー・ギヴ・アップ!
fumio

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