「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

終身刑 是か非か (1) (終身刑反対,死刑存置)

2008年06月09日 22時05分01秒 | 死刑制度と癒し
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54576590.html からの続き)

 朝日新聞で 終身刑法案の記事を受けて、終身刑是非の 特集が載りました。
(6月8日)

 3人の論者が 意見を述べており、それぞれの立場は、

 「終身刑反対,死刑存置」 「終身刑賛成,死刑廃止」 「終身刑反対,死刑廃止」

 と3様です。

 まずは、作家で元刑務官の 坂本敏夫氏、「終身刑反対,死刑存置」 の立場です。

 坂本氏は27年間、刑務官として 受刑者の処遇に当たってきました。

 その経験から 坂本氏は、終身刑の受刑者は 処遇が困難になるだろうと主張します。

 ただし、氏自身は 終身刑の受刑者に 接したことがないので、

 終身刑に対しては 想像による考えになります。

 死刑囚は 拘置所の独房に収容されますが、

 刑務官は 「殺さず、狂わさず」 を心がけ、

 刑の執行までに 贖罪の気持ちを抱かせようとします。

 その労力や精神的負担は、一般受刑者の 50人分以上になるだろうと言います。

 無期懲役の受刑者は、法的には10年で 仮釈放の申請ができるので

(実際に仮釈放されるまでの 平均期間は約30年)、

 「10年後」 を信じて 真面目に過ごします。

 しかし終身刑受刑者は その希望がなく、これ以上悪くならないのだから

 懲罰は恐れず、他の受刑者を 喧嘩に巻き込んだりするかもしれない と言います。

 けれども、「これ以上悪くならない」 というのは、

 死刑囚も 同じではないでしょうか?

 上記の理屈だと、死刑囚も 他の受刑者を巻き込む ということになります。

 実際の死刑囚の多くは、死に直面することで 命や罪の重さを認識し、

 改心の道を 歩み始めます。

 終身刑では その立ち直りの機会が失われると、坂本氏は述べています。

 しかし 終身刑囚も、死ぬまで何十年もの間、

 苦しんだり恨んだりしたまま 生きていくのは、耐えられないのではないでしょうか。

 死刑囚が 死の恐怖を克服するため 改悛していくように、

 終身刑囚も 自分の心の平安を求めて、罰を受け入れようと、

 自分の罪を見つめる努力を し始めるのではないかと、僕には思えます。

 
 死刑と無期懲役の 中間の刑罰として 終身刑を求める意見に対して、

 坂本氏は、仮釈放を認める条件を 厳しくするという 運用面の改善で、

 対応できると言っています。

 死刑廃止のステップとしての 終身刑創設意見に対しても、

 国民の多数が 死刑を支持しているなかで 死刑は減らず、むしろ、

 今までなら無期懲役になっていた人に 終身刑が言い渡されるだけだろう と言います。

 また 経済面から言っても、受刑者一人には 年間50万ほどの費用がかかり、

 高齢になれば医療費も増える と指摘しています。

 そこまでの 労力や税金を投じて、新たな刑を設けるべきなのかと。

 坂本氏は、死刑制度は存続しつつ、

 心底改悛した者には 恩赦で刑の執行を停止する などしながら、

 現状の改善をする方が先だと 提唱しています。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54654240.html
 
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