( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54638823.html からの続き)
今日は、死刑廃止の運動をしてきた 大学教授・菊田幸一氏の意見です。
菊田氏は、死刑に替わる 受け皿として、終身刑導入を主張してきました。
当初は、仮釈放のない終身刑は 死刑と同じく残虐であり、
重罰化に加担するもので 死刑廃止に逆行すると批判され、
終身刑を口にするのも 難しい雰囲気だったそうです。
今も 死刑廃止論者の間では、終身刑反対意見が 根強いといいます。
ところが、被害者感情を重視して 重罰化傾向が高まり、死刑執行数も増えてきました。
また、裁判で無期懲役を 言い渡す際に、「仮釈放には慎重に」 と注文をつけ、
死刑と無期の落差を 埋めようとする判決も 出てきました。
裁判員制度を前にして、終身刑導入を求める声も 聞くようになりました。
死刑存廃を考える 橋渡しの意味で、具体的に議論が されるようになったことを
菊田氏は評価しています。
死刑制度を支持する 8割の世論があるので、終身刑には仮釈放をもうけず、
厳しい刑として 理解を得るべきと言っています。
終身刑が残酷な刑か ということに対して、ある死刑囚の言葉を 紹介しています。
「死刑囚が 精神を病むのは、いつ処刑されるか 分からない状況に 置かれるためだ。
3畳一間に 死ぬまで閉じ込められていても、死刑執行がないと分かっていれば、
その中の生活も また人生だ。」
終身刑は受刑者の処遇を困難にする という意見に対しては、
米国での調査の結果を 伝えています。
長期より短期の 受刑者の方が、出所の可能性があるだけに むしろ、
強い不満を抱いたり 激しく権利を主張したりし、処遇が難しい 傾向があったと。
また、過去の死刑確定囚 100人以上を調べたところ、
終身刑があれば死 刑判決にならなかったと 推定される事例が、
2割あったといいます。
少なくとも死刑判決が 減るのは確かだと、菊田氏は述べます。
昨日の記事の坂本氏は、従来なら 無期懲役になっていた人に
終身刑が言い渡されるだけで、死刑判決は減らず、重罰化になると 予想しています。
しかし 菊田氏の見解のほうが、若干 実証的かもしれせん。
ニュージャージー州では、死刑と終身刑が 併存していましたが、
死刑が長年 執行されず、ついに死刑が 廃止されたそうです。
菊田氏は、そういう段階を 踏んでいくためにも、
受け皿としての終身刑を 訴えています。
(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54670087.html
〔 朝日新聞 (6月8日) より 〕