「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

治療方法 (6) (SET/UP)(1)

2008年06月30日 20時37分00秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54891882.html からの続き)

 コミュニケーションの 「SET」 「UP」 システムを 紹介しています。

 「SET」 とは、

 Support (支援),Empathy (共感),Truth (真実) です。

 BPDの人と コミュニケーションを取るには、この3つの全てが必要です。

 「UP」 は、

 Understand (理解) と Perseverance (忍耐) で、

 BPDの人と周囲の人の 両方が目指すものです。
 

・支援,共感,真実

 まず  「支援」は、BPDの人に対して、

 「私」 を主語にした 「I (アイ) メッセージ」 で 伝えるようにします。

 例えば、「私はあなたのことが 気になっています」 「私はあなたの力になりたい」

 などのように。

 次に 「共感」 を伝えるときは、BPDの人の苦痛を 認めて受け入れる、

 「あなた」(BPDの人) を 主語にした表現をします。

 「あなたはこんなに 辛く感じているんですね」 のようにです。

 共感は、BPDの人が どのように感じたかであり、

 周囲がどう感じるか ではありません。

 同情 (「私はあなたがかわいそう」) でもなく、

 同一視 (「私も同じ経験をしたから分かる」) でもありません。

 同情は苛立ちを挑発し、

 同一視は 「そんな簡単に分かるわけがない」 という 怒りを引き起こします。

 支援と共感が伝わったとき、コミュニケーションは うまく続いていきます。

 3つ目の 「真実」 は、BPDの人が 問題を解決するために どうしたいのか、

 説明責任を表しています。

 支援と共感が、「私」 「あなた」 の 主観的な表現なのに対し、

 真実は 客観的にどうであるかということです。

 どんなに周りが 支援し共感しても、

 最後はBPDの人が 自分に責任を持たなければなりません。

 真実は、咎めることがないよう、中立で冷静に 表現することが肝要です。

「あなたのために 私は○○ができます。 ××はできません。

 あなたはどうしますか?」

 実践的な問題解決に 最も重要なことですが、

 BPDの人には 一番難しい作業なのです。

 責任転嫁して紛らわすのではなく、

 自分が責任を負うことによって 「分裂」 に向き合い、

 被害者感情に溺れる気持ちを 克服しなければならないからです。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54964092.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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