「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「奇跡のシンフォニー」

2008年06月07日 21時07分59秒 | 映画
 
 生まれながらに 音の才能を持っている少年 エヴァン (11才)。

 親の顔も知らず、施設で育てられましたが、必ず両親に会えると 信じています。

 孤児院を抜け出して 母親を探しに行く子の映画 「この道は母へとつづく」 と、

 盲学校で 音楽の才能を見いだす少年の映画 「ミルコのひかり」を、

 合わせたような話です。

( 「この道は母へとつづく」 http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/51068187.html
  「ミルコのひかり」 http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/50799705.html )

 エヴァンの母ライラは チェリスト,父ルイスは ロックのギタリストで、

 エヴァンはその素質を 受け継いでいたのです。

 11年前、ライラとルイスは 巡り合わせの一夜を過ごしましたが、

 ライラの父親によって 引き裂かれました。

 エヴァンを身ごもっていた ライラは、臨月に交通事故で 手術を受け、

 そのとき父親が 無断でエヴァンを施設に渡して、

 ライラには 子供は駄目だったと 告げていたのです。

 今では ライラもルイスも 音楽から離れ、ばらばらに過ごしています。

 ある日 エヴァンは、両親に会うため 施設を出て行きます。

 初めての都会の喧騒、エヴァンの天性の耳は、そこにも音楽を聴き取ります。

 楽器の演奏などしたこともない エヴァンですが、

 初めて触ったギターを 独特な流儀で “鳴らし”、注目を集めます。

 基本的な和音を教わっただけで パイプオルガンを弾き、

 天分を見いだされて 音楽院に入学。

 エヴァンは 紛れもない神童でした。

 知らない人間が見たら 落書きにしか見えない、現代音楽のような楽譜を

 ノートに書きなぐり、狂想曲 (ラブソディー) を作曲します。

 沢山の人に 曲を聞いてもらえば、きっと両親に伝わる。

 そして ラストのコンサートシーンに、物語は紡がれていくのです。

 主役のフレディ・ハイモアが、目に見えない 音楽の世界を、

 子供とは思えないような 豊かな表情で表現しています。

 親を求める エヴァンの心、我が子を思う ライラの愛情、ライラを追うルイス、

 それぞれの思いと行動が、互いに誘い合うように 絡んでいきます。

 まさに 現代のおとぎ話。

 映画全体が ひとつの交響曲のようでもあり、

 音と映像が相まって 絶妙の情感をかもし出し、目が潤みっぱなしの 2時間でした。
 
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