「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

「終身刑」 法案

2008年06月05日 20時55分12秒 | 死刑制度と癒し
 
 裁判員制度を前にして、超党派で

 「終身刑」 を創設する 法案が進められているようです。

(本日付け朝日新聞)

 一般市民である裁判員に 死刑の判断をさせられるのか、

 ということが 議論のスタートだったそうです。

 しかし、終身刑賛成・反対,死刑賛成・反対という 様々な立場の議員がおり、

 考えはそれぞれ かなり異なっています。

 「市民が苦しまない制度を」 という 考えもあれば、

 「市民が一時の感情から 死刑を科してはならない」 という 意見もあります。

 もともと 終身刑の議員立法は、死刑執行停止などと合わせて 目指していたもので、

 死刑賛成派にとっては タブー視されがちだった といいます。

 しかし 死刑執行数の増加、光市母子殺害事件の死刑判決など、

 死刑の傾向が強まって、動きが変わったそうです。

 裁判員制度が始まって 死刑判決が増えることを危惧し、

 死刑存廃は議論は 置いておいて、とにかく 終身刑だけを検討しようと、

 超党派の会合が 開かれました。

 死刑論議が出てきたら辞める という議員もいるし、

 死刑廃止に向けて 何もできないよりは、少しでも前に進みたい

 という思惑の議員もいます。

 死刑廃止運動に 関わってきた人は、終身刑によって 死刑判決を減らし、

 死刑存廃の議論そのものに 繋げたいと考えています。

 しかし、終身刑が創設されて 死刑が存続されれば、

 ただ 重い刑罰を増やすだけの 結果になりかねない 危険性もはらんでいます。

 現在の日本では、無期懲役と死刑のギャップが 余りにも大きすぎることが、

 常に指摘されています。

 無期懲役は、10年を過ぎれば 仮釈放の申請ができますが、

 実際に仮釈放が認められる 平均の期間は、30年以上だといいます。

 それに対し終身刑は 仮釈放の希望がなく、生涯 牢獄に閉じ込められるわけで、

 死刑よりも残酷ではないか という意見もあります。

 でも 収入や住居などのない人が、捕まるために 犯罪を繰り返すケースも

 あるわけですから、刑務所は それほど居心地が悪いのだろうか という気もします。

 どちらにしても 議論をする人間は、

 自分で終身刑を 経験することはできないわけですから、

 海外の終身刑受刑者を 対象にした研究は できないものかと思います。

 僕としては、終身刑の導入は 急務だと思っています。

 それを契機にして、死刑存廃についても 議論が高まっていくことを

 願う次第ではあります。
 
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弁証法的行動療法

2008年06月05日 15時01分06秒 | BPDの治療について
〔http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/48490642.html から転載〕

 「パーソナリティ障害がわかる本」に 人格障害の治療として、

 境界性パーソナリティ障害の 治療を中心に 述べられています。

 その中で、最も有効な 療法のひとつとして

 注目されているのが 「 弁証法的行動療法 (DBT) 」 です。

 弁証法的行動療法 (DBT) では、

 完璧な愛情か 完全な絶望かという ボーダーの人の 二分化された見方を、

 弁証法的に乗り越えていく、思考や行動を 身に付けていくのです。
 

 DBTの 中核的な戦略として、 「有効化」 と 「問題解決」 があります。

 一般にボーダーの人は 自己評価が低いため、

 自分のやったことは 悪いことだ,価値がない,意味がないものだという、

 「無効化」 をしてしまいます。

 それに対して 「有効化」 は、ボーダーの人の 行動や感情の中にある、

 プラスの側面や 意味を見出し、ポジティブな価値を 認めることです。

 適切な言動では ないかもしれないが、現状への適応として、

 本人にとっては意義がある と理解するのです

 全てを丸ごと受け止める 受容ではなく、部分的な肯定です。

 それは、全か無かの 二分化した思考を 是正していくことになります。

 自分の愚行の中にも 一分の理があった と知ることで、

 全面的な否定に 陥ることを免れるのです。

 
 受容的な 「有効化」 に対して、「問題解決」 は 変化を求めるスキルです。

 支持的なアプローチと、自分を変えるアプローチの

 バランスを取ることが、DBTの要となります。

 変化を助ける 4つの技法があります。

(1)不測の事態への対処

(2)行動スキルトレーニング

(3)暴露に基づく技法

(4)認知の修正

 特に、自殺企図のコントロールに関する 「不測の事態への対処」 について、

 学習理論による強化と、消去の作業を 徹底して続けることが、

 長期的な問題行動の 改善につながります。

 自殺行動によって 相手を操作しようとする人に対して、それに応えてしまうと、

 短期的には良くても、長期的には 事態をさらに 悪化させてしまうからです。

[ 参考記事: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html ]
 
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