裁判員制度を前にして、超党派で
「終身刑」 を創設する 法案が進められているようです。
(本日付け朝日新聞)
一般市民である裁判員に 死刑の判断をさせられるのか、
ということが 議論のスタートだったそうです。
しかし、終身刑賛成・反対,死刑賛成・反対という 様々な立場の議員がおり、
考えはそれぞれ かなり異なっています。
「市民が苦しまない制度を」 という 考えもあれば、
「市民が一時の感情から 死刑を科してはならない」 という 意見もあります。
もともと 終身刑の議員立法は、死刑執行停止などと合わせて 目指していたもので、
死刑賛成派にとっては タブー視されがちだった といいます。
しかし 死刑執行数の増加、光市母子殺害事件の死刑判決など、
死刑の傾向が強まって、動きが変わったそうです。
裁判員制度が始まって 死刑判決が増えることを危惧し、
死刑存廃は議論は 置いておいて、とにかく 終身刑だけを検討しようと、
超党派の会合が 開かれました。
死刑論議が出てきたら辞める という議員もいるし、
死刑廃止に向けて 何もできないよりは、少しでも前に進みたい
という思惑の議員もいます。
死刑廃止運動に 関わってきた人は、終身刑によって 死刑判決を減らし、
死刑存廃の議論そのものに 繋げたいと考えています。
しかし、終身刑が創設されて 死刑が存続されれば、
ただ 重い刑罰を増やすだけの 結果になりかねない 危険性もはらんでいます。
現在の日本では、無期懲役と死刑のギャップが 余りにも大きすぎることが、
常に指摘されています。
無期懲役は、10年を過ぎれば 仮釈放の申請ができますが、
実際に仮釈放が認められる 平均の期間は、30年以上だといいます。
それに対し終身刑は 仮釈放の希望がなく、生涯 牢獄に閉じ込められるわけで、
死刑よりも残酷ではないか という意見もあります。
でも 収入や住居などのない人が、捕まるために 犯罪を繰り返すケースも
あるわけですから、刑務所は それほど居心地が悪いのだろうか という気もします。
どちらにしても 議論をする人間は、
自分で終身刑を 経験することはできないわけですから、
海外の終身刑受刑者を 対象にした研究は できないものかと思います。
僕としては、終身刑の導入は 急務だと思っています。
それを契機にして、死刑存廃についても 議論が高まっていくことを
願う次第ではあります。