「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

自殺的行動と自傷行為 (6) (弁証法的行動療法)

2008年06月16日 21時39分44秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/53994177.html  からの続き)

 弁証法的行動療法 (DBT) は、

 BPDの 自殺行為や自傷行為を 減らすために開発されました。

 ワシントン大学の マーシャ・リネハンが創始者です。

 歪んだ思考を訂正して、不適切な行動を変化させるという、

 認知行動療法の形を取ります。

 目的は 現在の気分や行動を 変えることであって、

 過去を振り返って 意識下の洞察をすることは 重要ではありません。

 そこが、精神分析的精神療法と異なる点です。

 「白か黒か」 の思考に直面し、そこから脱却して、

 「白と黒」 の状態を目指します。

 「 or 」 ではなく 「&」 であり、

 相反するものを 共に受容するという、逆説や矛盾を強調します。

 今の自分自身を 受け入れると同時に、将来に向け 自分を変えていくという、

 弁証法的な矛盾に 焦点を当てるのです。

 曖昧さに耐えられない BPDの人にとって、それは欲求不満を招くでしょう。

 自己受容は、重要な努力目標です。
 

 DBTは 次の4つの要素で 構成されます。

1.集団療法

  ソーシャルスキルを向上させます。

2.個人療法

  動機付けを維持し、対処法を補強します。

3.電話相談

  治療以外の場での 技術の応用をします。

4.チームコンサルテーション

  治療メンバーのサポートをします。

 リネハンは、治療者の持つべき特性について、こう言っています。

「 患者の今ある能力を 理解し、適応行動や自己コントロール力を 強化し、

 BPD患者が自分で対処できるときには 手助けをしない。」

 患者を問題に 直面させる際には、温かさと厳しさの バランスを保ち、

 毅然とした態度と ユーモアが大切です。

 DBTが最優先するのは、自傷行為を防ぐことです。

 第二には、治療を継続させることです。

 それらが達成されたあとで、生活の質の向上を 目指していきます。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕

〔参考記事: http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/45269689.html 〕