( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54654240.html からの続き)
3人目は、死刑廃止の番組などを 手がけてきた、映画監督・坂上香氏です。
坂上氏の TV番組や映画,著作は 僕もいくつか見ており、影響も受けました。
坂上氏は、米国の終身刑囚を取材した 映画 「ライファーズ」 で、
更生の可能性がないという 烙印を押された受刑者でも、
変わることができるという 事実を伝えました。
また、「アミティ」 という 受刑者更生プログラムで、
受刑者を自分の罪に 徹底的に向き合わせることを 紹介しています。
(参考記事 http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/30977301.html )
アミティを体験した 受刑者の言葉があります。
「 釈放されるかどうかが 問題なのではない。
たとえ 刑務所から出られなくても、自らの牢獄から 自分を解放することはできる」
刑務所の 中でも外でも、変わるチャンスがあれば 人は変われると、
坂上氏は訴えます。
だが、だからこそ、社会に戻れる可能性を 絶つ刑罰には、
死刑であれ終身刑であれ、賛成できないのだと。
僕は 終身刑を死刑の代替刑として 考えていましたが、
この主唱には インパクトがありました。
終身刑があれば 死刑は減るのではないか という人の気持ちに 共感しながらも、
期待はできないと 語ります。
アメリカの幾つかの州で 終身刑が導入されましたが、
死刑も終身刑も ともに増えただけで、死刑廃止には向かわなかったそうです。
(ただ、死刑を廃止して 終身刑を導入すれば、
どういう結果になるか 分からないのではないでしょうか。)
なお、欧米の終身刑の多くは、仮釈放の可能性があるということです。
翻って 日本の仮釈放は、例えば ’07年では、
1670人の無期受刑者のうち 3人だけで、
日本の無期懲役が 軽いと思われるのは 誤解だと指摘しています。
日本の刑務所は 労役が中心で、受刑者に 「なぜ罪を犯したのか」 という
問題に向き合わせる機会は ほとんどありません。
人間として 変わる機会がないまま 刑務所を出所した人は、
罰せられたことへの 復讐心に満たされ、暴力の連鎖が 繰り返されるのだと言います。
いま議論すべきは、罪を犯した人が いずれ社会に戻ってくる 前提で、
彼らが変わるために 刑務所の中と外で、何をしたらいいか ということだと、
坂上氏は強調しています。
〔 朝日新聞 (6月8日) より 〕