「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

現実認識のゆがみ -- 妄想と解離 (1)

2008年06月02日 21時42分37秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 非現実的な思考への退行が BPDに見られることが、昔から報告されていました。

 妄想観念も 目立った症状です。

 BPDの解離は しばしばストレスによって生じます。

 精神が 肉体から離れる感じがし、夢の中にいるようだといいます。

 それは突然現れ、突然解決します。

 精神病様症状は思いがけないだけに、人を驚かせます。

 あとになって BPDの人が正常に戻ると、周りの人は 

 そのできごとが 現実だったのかどうか、自分の感覚を 疑ってしまうほどです。

 心子にも このような症状が現れました。

 心子に 初めて解離症状が起きて、不意に 死人のような無表情になり

 動かなくなってしまったとき、僕は不気味な感触に 捕らわれたものです。

 その時は 解離のことも よく知りませんでした。

 他に 精神病様症状には、猜疑心,妄想,錯覚 (現実に対して知覚が歪む),

 幻覚 (実際にないものが見える),混乱した思考と会話,非現実感などがあります。

 BPDの人は 自分の周囲や、自分自身も本物ではないと 感じることがあります。

 突然起きる これらの症状は 通常短期間で、

 見捨てられ感や 他のストレスによって生じます。

 解離性同一性障害や 物質乱用,うつ病と 併発することが多いものです。

 解離は うつなどでも生じますが、BPDや女性に より出現しやすいと言われます。

 解離現象は 「分裂」 している状態であり、

 辛い体験を 直接受けないように、意識から切り離す必要性から 生じるものです。

 異なった状況に適応するために、自分の人格の異なった要素を 呼び出すことを、

 内面への分裂であると 言う人もいます。

 BPDの解離は、多重人格と言われる 解離性同一性障害 (DID) とは違って、

 分裂した個々の人格は それぞれ他の人格の言動を 記憶しています。

 心子も、広義のDIDだったと 主治医から解釈されましたが、

 各人格の意識が どこかで繋がっているため、

 お互いの体験を 共有しているということでした。

 BPDとDIDはの共通点は、

 分裂という症状があること,しばしば子供時代の トラウマがあることです。

 それ故、このふたつの障害には 密接な関係があるとされています。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54546095.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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