「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

治療方法 (2) (治療者の適性)

2008年06月19日 17時42分33秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54755202.html からの続き)

・毅然とした態度

 患者に共感を示すときにも、毅然とした態度が重要です。

 BPDの人の要求に 全て応えようとしても不可能だし、

 非現実的な期待を 膨らませてしまいます。

 断固として 一線を画する必要があります。

 BPDの人は、治療者が休暇を取ることに 失望し、罪悪感を植えつけようとします。

 しかし 誰にも休暇は必要ですし、自分の楽しみを 犠牲にするのは不健全です。

 リフレッシュすれば、次に起こる激変にも 対応できるでしょう。

 BPDの人も、ストレスフルな状況に 向き合う必要性や、

 自分に対する責任を 学んでいくでしょう。
 

・治療者としての適性

 治療者は 様々な難しい問題に取り組む、技術,経験,情熱が必要です。

 BPDの人を 受容する消極的な関わりより、

 積極的な関わりを持つ方が 成功する傾向があります。

 治療の基本は、激しい感情の揺れを 少しでも落ち着かせ、バランスを取ることです。

 専門家でないと、BPD患者の矛盾した感情を どう受け止めていいのか分かりません。

 卓越した知性の証は、

 ふたつの相反する考え方を 同時に受け入れることだ、と言われます。

 治療者は 患者のあるがままの姿を受容し、他方で 変化を促さなければなりません。

 DBTにおける 基本的なパラドックスです。

 患者を無条件に認めながら、あなたの認知は歪んでいると 言わなければなりません。

 患者自身が責任を引き受けるよう 促す一方で、

 患者の自己憐憫や責任転嫁を 理解しなくてはいけません。

 相手にイライラさせられても、相手を受け入れて 支えることを、

 患者自身にもするよう 示さなければならないのです。

 共感性が高く、賢明で、確信を持った専門家と 繋がっているんだという感覚を、

 BPDの人に持ってもらうことが、治療者の資質として 一番大切です。

 患者が主治医を 好きでなければならず、カリスマ性も必要です。

 多くの治療者は BPDの治療を敬遠します。

 そのために 正確な診断がされなかったり、診断が遅れたりして、

 治療に行き詰まってしまいます。

 それは双方にとって 不幸なことです。

 他の治療者の協力を得られる、オープンさと体制が必要でしょう。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54837215.html
 
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