徹底的受容とは、
自分や他人を 価値判断したり批判したりせず、 状況を観察することです。
しかし、 肯定的な価値判断もまた、 問題である可能性があります。
圧倒されるような感情を持つ人は、
相手が自分によくしてくれるときは その人を好きですが、
彼の気分を害することをすると、 彼は怒り、
その人に 「悪い人」 というレッテルを貼ります。
私たちは、 信頼している人に 傷つけられることもあります。
完璧な人やものなどはないので、
誰かを100%よい, 信用できると判断してしまうと、 失望しやすくなるのです。
だからといって 誰も信用すべきでないというのではありません。
人や状況に対して、 よいか悪いかなど、
肯定的, 否定的な価値判断をせずに アプローチするべきということです。
これは 「初心者の心」 と呼ばれます。
どんな状況や関係にも、
それらを全く初めて見るかのように 入っていくべきだという意味です。
この繰り返し起こる目新しさが、
現在の瞬間に 以前の価値判断を 持ち込むことを防ぎ、
マインドフルでいることが可能になるのです。
状況を新鮮なままにしておくことは、 感情をよりよく 管理する点でも役立ちます。
〔「弁証法的行動療法 実践トレーニングブック」星和書店
(マシュー・マッケイ,ジェフリー・C・ウッド,ジェフリー・ブラントリー)
訳/遊佐安一郎,荒井まゆみ〕より
[星和書店の許可のうえ掲載]