「境界に生きた心子」

境界性パーソナリティ障害の彼女と過ごした千変万化の日々を綴った、ノンフィクションのラブストーリー[星和書店・刊]

医療ルネサンス 「境界性人格障害」 の連載記事アップ

2008年06月04日 10時18分38秒 | ボーダーに関して
 
(http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54456307.html からの続き)

 読売新聞・医療ルネサンス  「境界性人格障害」 の連載記事が、Webページにアップされました。

http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/renai/

 現時点で 5月26日,27日,28日の記事があります。

 順次 アップされていくと思います。

 ご覧になってみてください。
 
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現実認識のゆがみ -- 妄想と解離 (2)

2008年06月03日 21時16分47秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
( http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54529668.html からの続き)

 BPDと解離の関係について、

 遺伝子が関与しているかもしれない という研究もされています。

 特定の染色体が、BPDの解離現象に 強い関連があると言われます。

 また、解離を起こしている人の 脳内の代謝変化を調べると、

 外的なできごとによって 情緒反応をきたしている部分に、

 異常な活性化が起きていることが 明らかになりました。

 特に前頭野の 異常な反応は、解離状態のBPDの人が 自傷するとき

 痛みを感じないことの 説明になるかもしれません。

 解離症状は、体内のエンドルフィン (モルヒネに似た働きをする) に

 関連するという 仮説があります。

 重度のストレスがあるとき、痛みや不安を減少させる 鎮静物質の分泌が促されます。
 

 BPDの 急性の精神病様症状は、統合失調症や双極性障害,薬物中毒にも似ています。

 しかし 治療方法は異なるので、正確な診断が重要です。

 精神療法は BPDの治療の中心ですが、他の疾病に施されることは 余りありません。

 統合失調症や双極性障害は 慢性的で、脳内の変化による 疾患と見なされており、

 薬物療法と行動療法が 適すると考えられています。

 抗精神病薬は BPDの現実認識のゆがみを 軽減します。

 不安とうつにも 効果があります。
 

○BPDの精神病症状との付き合い方

 BPDの人が 非現実感や妄想を経験しているとき、論理的な会話は役立ちません。

 その人を落ち着かせるよう、優しく語りかけることが 初期の最善の方法です。

 見捨てられることの恐怖は、多くの場合 精神病様症状を突然引き起こしますが、

 静かな心地よい環境で、親しく信頼できる人に 守られることが最適です。

 ナイフなどの危険物は 取り除きます。

 一人のときは 家族や友人の 助けを借りましょう。

 医療スタッフの援助が 必要なこともあります。

 これらの症状は 一過性であることが多いため、徐々に、または 突然に消失します。

 穏やかで安全な 環境が整えば、すぐに現実感を 取り戻すことができます。

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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現実認識のゆがみ -- 妄想と解離 (1)

2008年06月02日 21時42分37秒 | 「BPDを生きる七つの物語」より
 
 非現実的な思考への退行が BPDに見られることが、昔から報告されていました。

 妄想観念も 目立った症状です。

 BPDの解離は しばしばストレスによって生じます。

 精神が 肉体から離れる感じがし、夢の中にいるようだといいます。

 それは突然現れ、突然解決します。

 精神病様症状は思いがけないだけに、人を驚かせます。

 あとになって BPDの人が正常に戻ると、周りの人は 

 そのできごとが 現実だったのかどうか、自分の感覚を 疑ってしまうほどです。

 心子にも このような症状が現れました。

 心子に 初めて解離症状が起きて、不意に 死人のような無表情になり

 動かなくなってしまったとき、僕は不気味な感触に 捕らわれたものです。

 その時は 解離のことも よく知りませんでした。

 他に 精神病様症状には、猜疑心,妄想,錯覚 (現実に対して知覚が歪む),

 幻覚 (実際にないものが見える),混乱した思考と会話,非現実感などがあります。

 BPDの人は 自分の周囲や、自分自身も本物ではないと 感じることがあります。

 突然起きる これらの症状は 通常短期間で、

 見捨てられ感や 他のストレスによって生じます。

 解離性同一性障害や 物質乱用,うつ病と 併発することが多いものです。

 解離は うつなどでも生じますが、BPDや女性に より出現しやすいと言われます。

 解離現象は 「分裂」 している状態であり、

 辛い体験を 直接受けないように、意識から切り離す必要性から 生じるものです。

 異なった状況に適応するために、自分の人格の異なった要素を 呼び出すことを、

 内面への分裂であると 言う人もいます。

 BPDの解離は、多重人格と言われる 解離性同一性障害 (DID) とは違って、

 分裂した個々の人格は それぞれ他の人格の言動を 記憶しています。

 心子も、広義のDIDだったと 主治医から解釈されましたが、

 各人格の意識が どこかで繋がっているため、

 お互いの体験を 共有しているということでした。

 BPDとDIDはの共通点は、

 分裂という症状があること,しばしば子供時代の トラウマがあることです。

 それ故、このふたつの障害には 密接な関係があるとされています。

(続く)
http://blogs.yahoo.co.jp/geg07531/54546095.html

〔 「BPDを生きる七つの物語」 (星和書店) より 〕
 
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