ネタは降る星の如く

とりとめもなく、2匹の愛猫(黒・勘九郎と黒白・七之助)やレシピなど日々の暮らしのあれこれを呟くブログ

『職場いじめ あなたの上司はなぜキレる』

2007-03-14 08:00:00 | 読書
『職場いじめ あなたの上司はなぜキレる』金子雅臣(平凡社新書) リンク先はamazon.co.jp

 前著『壊れる男たち―セクハラはなぜ繰り返されるのか』(リンク先はamazon.co.jp)では、セクハラの加害者として告発された男性たちが、自らの加害者性を意識できず、著者が同性の相談員であることに気を許して口にする言い訳や屁理屈に一定の女性観や職場観が見られて非常に興味深かった。

 今回は、職場いじめの実態について具体例は冒頭でいくつか挙げられているものの、なぜそのような事例が発生したのかという分析や、どう解決したのかという方法論も提示されていない。

 副題の「あなたの上司はなぜキレる」についても、明確な回答は示されない。なぜ職場のモラールダウンが起こるか、年功序列の崩壊、成果主義の導入、リストラといった一般的な説明が延々と続く。

 扱いがむずかしい人たちの対処法について述べられているものの、相談員として接した著者が成功したアプローチを体験的に書いているので、実際に難しい相手を上司や部下として職場で接しなければならない読者にとって役に立つかどうかは疑問が残る。かなり心理学系の本を読んでいる自分としては、書かれている対処法についてはそこそこの線ではあるけれど利害関係やパワーのあるなしといった生々しいダイナミクスの働く場では参考程度だろうなという気がする。この程度のアドバイスなら他にいい本はあるだろう。

 最終章の「相談屋が教えるパワハラ撃退術」も「人間関係は変えられる」「思い込みは変えられる」「対応の仕方で人間関係は変わる」といった内容が中心で、職場いじめに悩んでいる人にとって救いのある策となるのかどうか……うーん。職場いじめに発展する前の段階であれば役に立つ内容なのだろうと思うのだが。

 読み進めていくうちに、職場いじめに悩んでいる人向けに書いているのか、それとも相談員として活躍している著者が成功してきた対人アプローチ論を披露したいだけなのか、何だかわからなくなってきた。後半は斜め読み……すみません、気を入れて読めませんでした。