久し振りに立花御大の記事に言及させていただく。
立花隆の「メディア ソシオ‐ポリティクス」第116回
政界を大混乱に巻き込んだ安倍首相電撃辞任の真相
『週刊現代』は買ったことがないのだが、今回は買ってやろう。
「政治とカネ」の問題で次々と大臣を辞めさせざるを得なかった安倍政権だが、一番黒いのはご自分だったわけだ。そりゃ、「お友達」たちのスキャンダルに甘くもなるものだわ……(嘆息)。
でも、もう、カネをめぐるスキャンダルに対する国民の許容量はかつてないほどに低くなってきていると思う……自分たちの年金が支払われるかどうかも危うくなっている時に、億単位の金を平気で裏金にする政治家たちの金銭感覚は受容れられないもの。
立花隆の「メディア ソシオ‐ポリティクス」第116回
政界を大混乱に巻き込んだ安倍首相電撃辞任の真相
「遺産相続で3億円の脱税」報道
はじめ永田町に流れた情報は、「週刊文春」が安倍首相の一大スキャンダルを出す予定になっているということだった。早速、「週刊文春」に問い合わせると、「それはウチではないです。『週刊現代』らしいです」ということだった。
毎日新聞の夕刊が小さな記事で報道したことであるが、安倍首相自身が、これが噴出したら命取りという一大政治資金スキャンダルをかかえていたというのである。
それは、父の安倍晋太郎氏から首相への資産相続の際に、晋太郎氏が資産を自らの政治団体に寄付する形にすることで、首相は相続税をまぬがれていたという「脱税」疑惑なのである。週刊現代の記事では脱税額は3億円にものぼるという。
安倍内閣は第1次、第2次とも、成立当初から政治資金の問題に悩まされてきた。しかしそれはいずれも、佐田玄一郎行革担当相の政治資金問題、松岡利勝農水相の「ナントカ還元水」問題、赤城徳彦農相の事務所費問題など、有名な諸事件をとっても、金額的にはそれほど大きな問題ではない(億単位の金額ではない)。これが本当ならば、それに比較して、この遺産相続問題はケタちがいに金額が大きい。
突然の辞任会見の引き金になったもの
安倍晋太郎氏が亡くなったのは、91年のことであるから、いま現在脱税で訴追されるかどうかという話ではないが、このようなことは、世の常識の問題として、政治資金の問題にとりわけ厳しくあたってきた内閣の長として、ヤミからヤミに葬ってあとは知らんぷりできるという話ではない。
これが事実ならば、過去の話ではあっても、これは政治的にはいま現在でもホット情報として扱われるべきアクチュアルな話である。安倍首相には道義的に説明責任がある話だ。安倍首相の在任中にこんな話がオモテに出たら、安倍内閣はそれだけでふっ飛ぶこと確実なスキャンダルだったといってよい。
この話を、「週刊現代」が取材して、今週末土曜日発売予定の号に載せるはずになっていた。
そのために、「週刊現代」は安倍事務所に真偽確認と、その理由釈明の問い合わせの書筒を送り、返答の期限を昨日の午後2時に設定していたと伝えられる。
その午後2時になったら、安倍首相の突然の記者会見が開かれ、政界関係者全員が唖然として見守る中で、突然の辞意表明が行われたわけである。
『週刊現代』は買ったことがないのだが、今回は買ってやろう。
「政治とカネ」の問題で次々と大臣を辞めさせざるを得なかった安倍政権だが、一番黒いのはご自分だったわけだ。そりゃ、「お友達」たちのスキャンダルに甘くもなるものだわ……(嘆息)。
でも、もう、カネをめぐるスキャンダルに対する国民の許容量はかつてないほどに低くなってきていると思う……自分たちの年金が支払われるかどうかも危うくなっている時に、億単位の金を平気で裏金にする政治家たちの金銭感覚は受容れられないもの。