「悔しいけど晴れ晴れしいというか、やりきった感でいっぱいです」
真剣勝負を戦い抜いた男の言葉は、どこか穏やかだった。北島康介、33歳。言わずと知れた一時代を築いたスイマーが一線を退く。
そんな北島選手も近年の成績は振るわない。3連覇がかかったロンドン五輪ではメダルを逃し、それ以降、若手の台頭や肉体的な衰えなどで、日本代表メンバーからも漏れ始めた。
リオ五輪へのラストレース
今回の日本選手権でも、100メートル平泳ぎでは2位に入ったが、代表内定にコンマ3秒届いていない。200メートル平泳ぎが、北島選手に残された最後のチャンスだった。
戦いの舞台は東京辰巳国際水泳場。自身が2009年に世界新記録を樹立した、思い出の場所だ。
赤いキャップとジャージを身にまとった北島選手が入ってくると、会場には大きな拍手が鳴り響き、ボルテージは一気に上がった。飛び込み台に立つ選手たちを観客がかたずを飲んで見守る中、北島選手のリオ五輪へのラストレースは幕を切った。
出だしは悪くない。
優勝候補の小関也朱篤(やすひろ)選手に食らいついていき、150メートルのターンを2位で折り返す。ただ時間が経つにつれ、疲れが見え始め、小関選手に引き離される。最終的に5位でフィニッシュし、ライバルと健闘をたたえ合いながら、競技人生にピリオドを打った。
世界新記録と2大会連続のオリンピック金メダル
自らの引退を有終の美で飾れなかったものの、北島選手は日本の水泳界に大きな足跡は残した。
世界への初挑戦は、2000年のシドニーオリンピックにさかのぼる。高校3年生でありながら、100メートル平泳ぎで4位に入賞した。
そのわずか3年後に行われた世界選手権では、100メートルと200メートルで見事金メダルを獲得する。共に世界記録を塗り替え、水泳界に名をとどろかせた。
その後も、アテネ、北京と2大会連続のオリンピック金メダルを獲得するなど、圧倒的な強さを誇った。
一流は「有言実行」の人物
スイマーとしての実力はもちろんこと、北島選手は「有言実行」の男としても有名だ。
「メダルを獲る」と宣言した2001年の世界選手権では、200メートル平泳ぎで銅メダル。2003年の世界選手権でも、「100mと200mで、世界新記録を出して金メダル」という宣言通りの結果を出した。
北島選手だけではない。一流のスポーツ選手には、有言実行型が多い。
イタリアの名門サッカークラブ・ACミランのエースである本田圭佑選手は、小学校の卒業文集に記した、「セリエAでレギュラーを獲得し10番を背負い活躍 する」という夢を見事に実現している。マイアミ・マーリンズで活躍するイチロー選手も、本田選手と同様に、小学校の卒業文集に「夢は一流のプロ野球選手に なること」と綴っている。
言葉は一つの牽引車
言葉と成功には密接な関係があるようだ。
大川隆法・幸福の科学総裁は著書『成功の法』の中で、言葉の力について次のように語っている。
「成功者は、常に積極的な言葉を口に出しています。成功者は、常に建設的な言葉を口に出しています。成功者は、常に明るい言葉を口に出しています。なぜなら、言葉というものは一つの牽引車でもあるからです」
北島選手は中学時代、体が硬く、オリンピックの強化指定選手にすら入っていなかったという。自助努力もさることながら、北島選手は積極的な言葉の積み重ねで、自らを奮い立たせていったからこそ、日本代表に選ばれ、水泳界に金字塔を打ち立てることができたのだろう。
北島選手の言葉に注目しつつ、引退後の人生の成功を祈りたい。
(冨野勝寛)
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幸福の科学出版 『サッカー日本代表エース 本田圭佑 守護霊インタビュー』 大川隆法著https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1182
幸福の科学出版 『成功の法』 大川隆法著https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=138
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