週刊ダイヤモンド1/31号「新興市場の断末魔」を購入。
週刊ダイヤモンド特有の扇情的な見出しとしつこいまでの「○○ランキング」に辟易しながらも面白く読みました。
特に細野祐二氏の「新興市場型『粉飾決算』」が最近の投資ファンドを利用したりする手口を従来の粉飾決算と比べて「自社株を出口とした粉飾」「財務諸表内外の粉飾利益の出し入れ」という切り口で説明していてわかりやすかったです。
(著書の『法廷会計学vs粉飾決算』 や『公認会計士vs特捜検察』 より肩の力が抜けていて読みやすくもあります。)
そして記事以上に面白かったのがGrandeさんのブログでのこの記事についてのエントリ。
こちらをはじめとして4つも特集エントリを立てていらっしゃいます。
業界にいる専門家としてのコメントには味わいがあるとともに勉強になります。ぜひ併読をおすすめします。
たとえば以下のくだりなどは勉強になります。
GC企業がイコール問題企業というのはいかがなものか?
これについては、普通のGC企業のイメージダウンにつながるので、猛烈に抗議しておきます。
(中略)
といいますか、疑義があるからといってダメなわけではないのですよ。
GC注記の意味というのは、「このままいくと1年ぐらいでつぶれてしまうヤバイ状況が発生しています。
が、会社が適切な対応策を用意しているので大丈夫です。
それについて監査人として保証しますね。」
という意味なんです。
ですから、GCついてようがなにしようが、つぶれたらダメなんですよ、基本的に。
「ヤバイけど1年ぐらい大丈夫」というお墨付きのはずなんですから。
だから大手が降りるという事態になる。
そして最近の不表明事例で揉めているのは、「会社が適切な対応策を用意しているので大丈夫です。」の箇所なわけですね。
GC注記で揉めて不表明になるということは、ヤバイ状況がそのままですよと、そういう意味ですから、ほんとヤバイんです、ええ。
このへんをふまえたうえで、昨日のつぎのリリースを見るとそれぞれの意味合いがよくわかります。
継続企業の前提に関する注記のお知らせ
(平成21年1月27日 パシフィックホールディングス株式会社)
当社は、本日開催の取締役会において、平成20年11月期の決算短信及び有価証券報告書における継続企業の前提に関する事項について、下記の通り注記することを決議しましたのでお知らせいたします。
(中略)
当該状況を大幅に改善するための当社の対応は、以下のとおりであります。
(中略)
かかる事態を受けて、当社は中柏ジャパンと協議を行い、優先株式の発行による増資(約47,000百万円)を実現するため、当該優先株式における発行価格その他発行条件を改めて見直しを行い、投資家と引き続き協力を行うことについて同意を得ております。
平成20 年11 月期計算書類に対する監査意見不表明に関するお知らせ
(平成21年1月27日 パシフィックホールディングス株式会社)
このたび、会社法規定の計算書類の監査において、会計監査人である監査法人トーマツは、当社の継続企業の前提である株式会社中柏ジャパンに対する第三者割当による優先株式の発行及びそれを前提とした経営計画の実行による業績回復の可否について、当該監査時点では適正な監査意見を表明するための合理的な基礎を得ることが出来ないと判断いたしました。これにより、会社法第436 条第2項第1号および会社法第444 条第4項の規定に基づく監査について、監査意見
の表明をしない旨の監査報告書を受領いたしました。
改めてGrandeさんのコメント
GC注記で揉めて不表明になるということは、ヤバイ状況がそのままですよと、そういう意味ですから、ほんとヤバイんです、ええ。
冨山氏の尽力よりも資産の劣化のスピードが速かったということでしょうか。