震災関連の間に年金問題が出てきているのは、財政問題・増税路線と関係しているのだろうか、とか思いながら記事を見てもいまひとつよくわからない。
最低保障年金「年収600万円超は支給なし」で最終調整
(2011年5月15日 asahi.com)
現行の基礎年金(満額月6万6千円)は加入者だけが対象で、財源は税と保険料で折半する仕組み。一方、最低保障年金はすべて税金を財源とし、ほとんど収入がなかった人も含む低所得者に支給するため、年収300万円超の所得層の多くは年金支給額が減る見通し。財源は、基礎年金より5兆円程度増えそうだ。
でも、記事の図を見ると、最低保証年金は600万で打ち切りだけど、従来の基礎年金との合計額は増えるように見える。
40年で新年金制度に移行=改革原案を提示-民主調査会
(2011年5月17日 時事通信)
によると(太字筆者)
民主党の「社会保障と税の抜本改革調査会」(仙谷由人会長)は17日、総会を開き、同党の年金改革原案を出席者らに提示した。同党の2009年衆院選マニフェストに沿って、すべての公的年金制度を一元化し、40年かけて(1)消費税を財源とする満額で月7万円の最低保障年金(2)現役時代の収入に応じた所得比例年金-で構成する新制度に移行させると明記したが、どの程度の負担で老後にどれぐらいの年金を受け取れるのかなどの詳細は示さなかった。
新年金制度では、最低保障年金と所得比例年金の合計で、すべての人が40年加入で少なくとも月7万円の年金を受け取れるようにする。ただ、最低保障年金で満額7万円を受け取れるのは現役時代の収入が少ない世帯に限定。一定の収入以上は支給額を減らし、所得比例年金の割合を高くする。
ちなみに現行の年金制度はこういう仕組み(社会保険庁「年金制度の仕組み」から)
この、現行の基礎年金+厚生年金・共済年金の上積み部分を全部所得比例年金に一体化し(=上の三角の部分)、年収600万以下の人は最低保証年金を支給し、7万円は受け取れるようにしよう、ということらしい。(それ以外は「公的年金」でない私的年金なので存続?)
要するに、今のままだと基礎年金は支払い減資が足りなくなるので上積み部分から補填しようということなのだろうか。
結局上積み部分のところを払っていた人が割りを食う感じ。
ちなみに、現在の制度が破綻しない前提だと、年収600万円のサラリーマンは国民年金と厚生年金でいくらくらい受給できるのだろうか。
年収300万~600万の層は厚生年金を支払うインセンティブがなくなってしまうのではないか。
この議論は、年金制度の積み立て不足(制度の破綻)と社会保障(生活保護)の問題を一緒にして論点を曖昧にしているような感じがする。
朝日新聞によると
新年金制度は、2015年度の移行開始を目指す。当面は現行制度の見直しから手をつけ、徐々に移行させていくため、新制度が完成して月額7万円の最低保障年金が支給されるのは開始から40年後になる。
そのため、民主党の調査会は議論を封印し、制度設計の先送りも検討。だが、年金の具体案を示さないと与野党協議の実現がさらに難しくなるため、近く具体案をまとめることとした。
要するに「腰だめ」なんですな。
なんか、年金制度はババ抜きのババみたいに「話題に触れたもの負け」という扱いのようで、問題点を先送りにしながらなし崩しにしていこうという雰囲気がありありなのが不愉快。