一寸の虫に五寸釘

だから一言余計なんだって・・・

『「弱者」はなぜ救われないのか 貸金業法改正に見る政治の失敗』

2012-10-23 | 乱読日記

案の定、安直なタイトル同様中身の薄い本。

貸金業法改正に衆議院議員として自民党小委員会委員として関わった著者が「2006年改正に係る一連の議論を見てきた著者にしか言えない事がある」という割りに、事実と後講釈ばかりで、真摯な検証がないのは残念。

マスメディアや政治が「弱者救済」のもとにデータや理論ではなく感情論で規制をしてしまうことでかえって自助の道を閉ざしてしまう、と著者は言うが、とりたてて新しいことはありません。

個人的には総量規制は疑問だったなどの言い訳はともかく、本書で事後的に提示されるようなデータが立法作業時に提示されていたら本当に意思決定の結果が変わっていたのか、という検証をきっちりとするのが「一連の議論を見てきた著者にしかできない」ことだと思うのですが、そういう分析はありません。
また上の反省にも関わらず、データや理論に基づかない記述が多く、それに解決の方向性も示していません。

 政治やマスメディアが「弱者救済」を叫び、人々の生活への国の関与が増大することで新たな「規制」が設けられ、その一方で生活保護受給への流れが増しつつある。・・・さらに「規制」でそうした弱者の自力救済の道が狭められることでモラルハザードが進行し、その多くが最下層に流れ込む。
 大量の生活保護支給のために税金は嵩み、その税金を受け取る最下層の「生活保護者」から、日々の生活費を搾り取るヤミ金までもが誕生する。この下流から最下流への転落の構図、そしてその負のスパイラルは勢いがさらに加速しつつあるように見える。このスパイラルを断ち切ることができなければ、日本は衰退の一途をたどるであろう。

本書にはなぜかフリージャーナリストの「現場ルポ」なるものが挿入されています。
著者の大蔵官僚→衆議院議員→落選→広島大学経済学部教授(現在)という経歴、そして本書が金融財政事情研究会から出ていることを考えると、本書自体が互助会活動の一環のように思われ、個人的にはそっちの方が興味があります。

 

 

コメント
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