「 また やられた 」 とトンボが畑から帰ってきました。
昨年に続きスイカを植え せっせと世話をしておりました。
そのスイカが昨年同様 ハクビシンに食べられたのです。
玉が卵大になったとき 35日後の収穫日をツルに巻き
楽しみにしておりました。
ところが34日目に畑へいくと スイカの皮だけが残り
赤い実は食べられております。
昨年も同じで 32日目に皮だけが残っており
今年は雑草で隠しておいたのに と言います。
数本植えた苗は このあたりでたびたび目撃される
イノシシの 砂浴び でけ散らされわずか1本残った
苗が結実しておりました。
ん? ハクビシンは字が読めるのか?
農夫の野良仕事を木の上から見て
しめしめ あと数日でごちそうだね
と待っていたのです。
昨年の轍は踏まん! と雑草で隠してあったのに‥‥
と農夫は悔しがりますが 彼らは嗅覚で見つける
ものでしょうか。
以前 車を運転中にハクビシンを見ました。
道をゆっくり横切る姿を見て 最初は犬かと停まると
歌舞伎役者のように鼻筋が通り これがハクビシンか
早よう 写真々々 とデジカメを捜しました。
ゆっくりと道を渡ったハクビシンは 手が木にかかると
これが速いのなんの さっきのゆったり歩きとは大違いで
あっという間に林に消えました。
以前は 山奥でないと見かけなかった彼らが
今では 白昼バス道にも出てくるようになりました。
昔に比べ 彼らにも食糧難があることと思います。
父ハクビシンがスイカを見つけ 気長に熟れるまで待ちました。
「 父ちゃんまだ? 」 と子供たちにせかされても
父はきっぱりと言います。
「 もうちょい待つのだよ 」
数日が経ちました。
ときは今! 妻や子供を連れた月明かりの中で
一家は久しぶりに腹いっぱいになりました。
「 やっぱり父ちゃんはすごいね 」
と妻や子供に褒められ 父ハクビシンは
得意げに白い鼻をひくひくさせます。
農夫は残念しきりですが これはこれで
ええではないか と思うんですよ。