褒めまくる映画伝道師のブログ

映画の記事がメイン。自己基準で良かった映画ばかり紹介します。とにかく褒めることがコンセプトです。

映画 隠された記憶(2005) すっかり忘れていた記憶だったのに

2010年10月11日 | 映画(か行)
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 最近の映画は続編やリメイク作品が多くマンネリ化してきたと思う反面、アクの強い個性を全面に出している監督も多い。そんな超個性的な監督の1人にオーストリアのミヒャエル・ハネケ監督が挙げられるだろう。
 ちなみに彼を個性的と表現しつつも、実は彼の映画を観るのが今回紹介する隠された記憶を含めて、3本目はっきり言って見た本数は少ないぐらいだ。
 しかし、ミヒャエル・ハネケ監督の映画作品と聞けば、観る前から色々な意味で覚悟を決めて観ることが必要だ。彼の名前を知らずして、そしてちょっとした映画の前評判だけ聞いて彼の映画を観てしまうとだいたいの人は約2時間を無意味に過ごしてしまう可能性が高い

 僕が初めて観た彼の映画はファニー・ゲーム。この映画を観て嫌悪感を抱く人は多いだろう。しかし、この映画を僕は覚悟を決めて大絶賛し、そして皆さんにあえてお勧め映画だと声を大にする
 今でも名作とされるスタンリー・キューブリック監督の作品に時計仕掛けのオレンジという映画があるが、あのデザイン、スラング、暴力性を描きながらも楽々と人間性を批判してしまったこの作品は、その内容からは今日でも名作と呼ばれる映画

 しかし、時計仕掛けのオレンジを名作と呼ぶのなら、ファニー・ゲームも名作と言って良いと思う。
 明らかにこのファニー・ゲームは暴力を通り越して、○人(さつじん)を他の映画では踏み込めなかった領域を軽く飛び越えてしまっている。
 ハリウッド映画におけるアクション映画の世界において悪役が殺されるようなシーンに拍手喝采している多くの人に是非ファニー・ゲームを見て欲しい
そしてハネケ作品として恋愛映画の名作だと褒めている人も多くいるピアニストという映画があるが、正直この映画を褒めるところは全く僕にはない。恋愛映画といえば男女がさわやかに結ばれてハッピーな作品、あるいは結ばれない男女の姿を描いても精神的に結ばれる作品を思い浮かべる作品もあるが、そのような安らぎを少しも見出せない恋愛映画。
 不快指数100パーセントに達する恋愛映画は、ミヒャエル・ハネケ監督だから許される領域だろう。

 そして今回紹介するハネケ作品の隠された記憶も観る前から覚悟がいるサスペンス映画
 ある幸せな一家に、自分の家をただ延々と写されるビデオテープと、そこに同封されている紙切れに幼い子供が描いたような人が血を吐いている幼稚な絵。
 果たしてそのビデオと幼稚な絵を送ってきた犯人は誰だ?というストーリー展開だが、非常に描かれている世界が小さ過ぎる状況設定で、なるべく大げさなストーリーの方が面白いという"映画"の特性を考えると、途中で観るのを止めてしまいたくなる人が多いと思う。
 しかしこの映画をハネケ作品だと最初から覚悟を決めて観ていると驚愕のシーンは出てくるし、ちょっとした出来事に対する上流階級に属する人間の傲慢さと、アルジェリアからの移民にとっての切実さの対比がフランス社会の移民問題として描かれている。
 ありきたりのサスペンス映画に飽きたという人は必見の隠された記憶を紹介します

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 人気キャスターのジョルジュ(ダニエル・オートゥイユ)は妻のアン(ジュリエット・ビノシュ)と息子のピエロの3人暮らし。平和な暮らしをしていた。
 そんなジョルジュ(オートゥイユ)の家に、ただ自宅を正面から延々と撮られたビデオテープが送られてくる。
 そのようなビデオとともに、幼稚な絵であるが人が血を吐く絵も一緒に同封されていた。



 最初は気にもしていなかったジョルジュ(オートゥイユ)とアン(ビノシュ)だったが、つにジョルジュ(オートゥイユ)の生まれ育った実家を写したビデオが送られてきた。
 やがてジョルジュ(オートゥイユ)は40年前の少年時代のことを思い出す。その40年前のある事件とは
 少年時代、ジョルジュ(オートゥイユ)の家にアルジェリアからの移民の子供で彼より少し年上のマジッド(モーリス・ベニシュ)が養子として一緒に暮らすことになったが、ある出来事からジョルジュ(オートゥイユ)はマジッド(ベニシュ)を家から追い出す事件があった
 しかし、ジョルジュ(オートゥイユ)にとっては40年も昔の出来事であり、それほど大した出来事だとも思っていなかった。

 だが次々と送られてくるビデオの内容が次第に嫌がらせを帯びるようになってきて、ジョルジュ(オートゥイユ)にはビデオの犯人がマジッド(ベニシュ)以外に考えられない。しかし、あの40年前の出来事以来マジッド(ベニシュ)に出会ったことも無ければ、今彼が何をしているか?さっぱりわかっていない。

 ある日、見知らぬアパートを撮ったビデオがジョルジュ(オートゥイユ)の家に送られてきた。ジョルジュ(オートゥイユ)がそのアパートを僅かにビデオに写っている手掛かりから探し出すと、そのアパートに住んでいたのは、あのマジッド(ベニシュ)だった。

 ビデオを家に送りつけてくる犯人がマジッド(ベニシュ)だと確信したジョルジュ(オートゥイユ)だったが、マジッド(ベニシュ)はビデオが何のことかわかっていない様子をしていた。ビデオを送ってきたのはマジッド(ベニシュ)かと思われたが

 そんな時ジョルジュ(オートゥイユ)の息子のピエロが夜になっても帰って来なくて、心配になったジョルジュ(オートゥイユ)は警察と一緒にマジッド(ベニシュ)のアパートへ向うが・・・果たしてビデオを送ってきた犯人はマジッド(ベニシュ)なのか?
 衝撃のシーンと気の抜けないラストシーンは映画を観てください

 最初は画面が止まっていて、しかもその画面の映りが悪くなるのを観て、僕が観ている
DVDが壊れているのかと思ったらビデオを巻き戻しているシーンだった
 ハネケ監督の映画だと知らずに観てしまうと、このファーストシーンから嫌になるだろう。扱っている題材は最初は小さ過ぎる内容だと思っていたら、途中からショッキングなシーンがあり、そこから盛り上がり・・・実はその後も淡々とストーリーは進む
 この映画は犯人探しのサスペンス映画で、しかもラストシーンの画面左下の辺りで、この映画の犯人らしきヒントを見せてくれる。
 ところがこのヒントになるところで、ビデオを送ってくる犯人がわかる仕掛けになっているはずなのだが、ハネケ監督は観客を納得させるような映画を撮らない。
 僕なりにこの映画の結論を持っているけれど、人によって色々な解釈が出来ると思う。
 しかし、ビデオが送られてくるぐらいなど大したことが無いと思っていても、そのようなことが何回も続くと流石に怖くなってくるね

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